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私の愛した召喚獣  作者: 樹兎
第四章 暗雲
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アイネムの婚約

【アイネムの婚約】


□■□ 伊能警部 視点 □■□

 正当防衛とは言え人を殺してしまった。魔物ではなく人をだ。。。盗賊とは言え俺は人を殺した。

 

 恐らく正当防衛か緊急避難が成り立つだろうが撃たれた男の目を大きく見開いた顔が忘れられない。。

 良い訳に過ぎないが、明確な殺意があった訳ではない、殺す気満々の盗賊がむかってきていて怖かったというのが正直なところだったりするが、一人の盗賊相手に3発も打ち込んで殺意が無かったと言う言い訳はかなり苦しい・・・

 

 屋敷に帰ってきてから風呂に入って食事の時はあまり食欲が無かったので早々に切り上げて床についた。

 寝ようとしてもなかなか寝付けない。目を閉じると俺が撃った男が倒れて死ぬ間際にこちらを恨めしく睨んでいた目が焼き付いて眠れない。。。

 

 現場の惨状は酷い物だった。

 盗賊の首は転がり、血の海の中に倒れている男の中には内蔵が飛び出している遺体もあった。

 あの()は平気なんだろうか?、顔色ひとつ変えずに5人の盗賊を殺した、しかも一人は尋問の為とはいえ、尋問する前に行き成り耳を切り落とすと言うことをやっていた・・・

 まだ、幼い幼女があんな事が出来るんだろうか?、これがこの世界の普通なんだろうか?

 しかも最後に男はあの()の口ぶりだと見逃して貰えたと思っただろう、それを平然と首を切り落とすなんてこの世界は狂ってるんじゃないんだろうか?

 

 「ガチャ・・」

 そんな事を考えていた時だった。ドアのノブを回す音が聞こえた・・・

 耳をすまして、気配を探ると、ドアがゆっくりと開き、誰かが足音を立てないで近づいてくるのがわかった。

 

 恐怖で脂汗がだらだらと流れているのが自覚出来ていた。

 起きて対処しなきゃ行けないとわかっているが、恐怖でからだが金縛りに遭ったように動かない、声を出すことすら出来ないでいた・・・

 

 俺は殺されるのか?、もしかしてアトリア?、あの時俺が反抗したからか?、そう言えば指示に従わない場合は死亡しても一切の責任は負わないとなっていたはず、いや、そもそもこちらに来る時点で死亡しても全て自己責任となっている書面にサインさせられている。

 

 あっ、詰んだな、殺されても闇から闇の葬られるのだろう。最後は魔物の餌になるのか・・・

 大学を出て警察庁に入って2年、独身で童貞のまま魔物の餌になるのはあまりに悲しすぎる。

 

 ついにベッドのそばに奴は来た・・・

 やられる、そう思って目を閉じると

 

 「大丈夫ですか?、眠れませんか?」

 

 「へっ」、そう思って目を開けるとそこにはアイネムがいた。

 体を起こすと・・・

 

 「随分、顔色が悪かったので、眠れてるか心配になって見に来てしまいました。黙って入ってごめんなさい。」

 アイネムは耳を垂れて謝っている。

 

 「うっ、そんな事、いいんだ、有り難う」

 俺はそう答えると不覚にも涙が溢れてきた・・・止めようとするればするほど涙が溢れてきた。。

 

 「大丈夫、大丈夫ですよ~」

 アイネムをそう言って俺を抱きしめてくれた。

 アイネムの柔らかな胸に包まれると心が安らいだ・・・エロと言うより母性を感じさせてくれる聖母のような気がした。

 

 「伊能様が気に病まれる事はありませんよ。私は伊能様のおかげで命が助かったのですから伊能様が気に病まれると私は心が張り裂けそうになってしまいます。」

 「アイネム」

 「す、すいません、獣人風情が言葉が過ぎました。ごめんなさい。」

 

 「ううん、俺はアイネムのおかげで随分楽になったよ、おれはアイネムが好きだ・・・獣人とか人族とかそんな事は関係ない。会った時からとても可愛い子だと思っていたし、話をすればするほど引き込まれて行ったんだ・・・」

 

 「勿体ないです。でも、私も伊能様の事をお慕い申しております。」

 「「「アイネム。。。」」」

 伊能は嬉しかった。

 今まで生きてきて初めて自分が思い焦がれる相手と出会えたと思った。

 

 俺はアイネムと供に生きたい。獣人と言う種族上、日本につれて帰るのは難しいだろう、アイネムを忌諱の目に晒したくはない、となれば俺がこちらで暮らすしか無いだろう。しかし盗賊一人殺したぐらいでこの低落だ、俺はこの世界で生きて行けるのだろうか?

 

 「アイネム、アトリアさんは平気なんだろうか?」

 「盗賊を殺して気にされているかって事ですか?」

 「うん、いくら強いって言ってもまだ、子供だし・・・無理してるんじゃ無いかって思って・・・」

 

 「伊能様はお優しいのですね、でも、多分気にされる必要はないと思いますよ。

 私はここのメイドになってからまだ、半年も経たないので以前の事は知りませんが、聞いた話では以前のアトリア様は盗賊の討伐に出かけても殺す事はなく捕縛してこられたそうです、それに貧困から仕方なく盗賊になって人を殺したりしていない盗賊はこっそり逃がしてあげていたそうです。」

 「昨日話した事件が切っ掛けで、盗賊は蛇蝎のごとく憎まれるよう成られました。」

 「実はその時の生き残りは私です。私のせいでアトリア様は変わられました。悪いのは私なんです。で、どうかおねがいです。アトリア様を嫌わないであげてください。」

 

 「アイネムはとても辛い思いをしたんだね。アイネムは悪くないよ、もちろんアトリアちゃんもね」

 (アイネムは家族を殺されて自分は奴隷にされるという酷い目に遇ったんだなぁ、可哀想に俺が守ってあげなきゃ・・)

 

 「さぁ、今日はもう、遅いですから横になって休まれて下さい。伊能様が眠られるまで私が手を握っております。」

 アイネムはそう言うと、伊能を寝かしつけて伊能の手を両手でしっかりと掴んだ・・・

 

 ♪゜*☆*゜♪*☆*゜♪゜*☆*♪゜*☆*゜♪*☆*゜♪゜*☆*゜♪

 翌日

 

 朝目が覚めると、アイネムはいなかった。きっとメイドの仕事に戻ったんだろう。

 ベッドから起き出し、着替えを済ませているとドアをノックする音が聞こえた。

 「どうぞ!!」

 「おはよう御座います。眠れましたか?」

 入ってきたのはアイネムだった。

 「うん、有り難う、アイネムのおかげでゆっくり眠れたよ。」

 

 「もうすぐ、朝食がご用意出来ましたので食堂の方にお越し下さい。」

 アイネムは朝食の準備が出来た事を知らせに来たらしい。

 

 「アイネム、話があるんだ・・・」

 「アイネム、俺と結婚してくれ・・・」

 アイネムの前で伊能は片膝を突いてアイネムにプロポーズした。

 

 「えっ、えぇーーーっ、私獣人ですよ。」

 アイネムは顔を真っ赤にしながらも戸惑っている様子だった。

 「アイネム、それを言うなら俺は異世界人だ・・・違うのはお互い様だろう?」

 伊能は自分で言いながらも言ってる意味がわからなかったがこの際そんな事はどうでも良かった。

 

 「この国には獣人と人族が結婚したら駄目なのか?」

 「いえ、そんな決まりはありませんけど、私なんか伊能様にはもったいなさすぎます。」

 「アイネム俺が嫌いか?」

 「いえ、好きです。お慕い申し上げております。」

 

 「それなら問題はないじゃないか?、結婚しよう!!」

 「はい、お願いします。」

 (やったぁ!!、俺はここでアイネムを守って生きる、そうか、その為には領主の領解が必要だ・・・確か異世界人がこちらに済むのは原則として駄目みたいに言ってたからな。許可がもらえるかどうかが問題だな・・・取り敢えず頼み込むしかないだろう)

 

 「アイネム、結婚するには領主の許可が必要だよな、領主には連絡がとれる?」

 「はい、連絡してみますね。私もこちらにご厄介になっている身ですから領主様の許可は必要になると思います。」

 

 「取り敢えず、連絡してみますので食堂の方へ行きましょうか?」

 「あぁ・・」

 二人は手を繋いで階下の食堂へと下りていった。恥ずかしいのか階段を下りるとアイネムはニコっと微笑むと手を離して別の方へと急ぎ足で行った。

 俺はそのまま食堂へと行った。

 

 「おはよう御座います。」

 「いやー昨日は大変でしたねぇ・・・、おかげさまで助かりました。」

 皆、昨日の話で持ちきりになっていた。昨日は帰ってからはみんなショックが大きかったのか殆ど喋らず自室へとこもったが、一晩寝て、皆大分元気になったようだ、工藤2尉だけが落ち込み気味のようだった。

 

 「工藤2尉、元気が無いようですねぇ・・あまり気にされない方が良いですよ。」

 工藤2尉は昨日の盗賊の襲撃事件で先頭に立つべき自分が怖かったのと人を殺す忌諱感で動けなかった事が自衛隊員として情けないと落ち込んでいた。

 

 「そうは言ってもねぇ、,一般人なりそれでいいんだろうけど僕は自衛官だからねぇ・・・やっぱり落ち込むよ。・・・」

 

 「気にすると余計に撃てなくなりますよ早く気分を切り替える事です、そもそも工藤2尉は撃つよりも撃てって命令する側の人間ですしね。」

 落ち着かせる為に行ったつもりが余計に落ち込ませる結果になってしまった。

 

 用意された朝食を済ませてティータイム中だった。

 領主のルーカスがやって来た。

 俺はすぐに立ち上がった。

 「ルーカス殿、少し個人的なお話しがあるのですが、少しお時間を宜しいでしょうか?」

 

 「あぁ、そう言われてきたんだ、いいよ、隣の部屋に行こうか?」

 そう言って隣の部屋へ3人で移動した。

 ルーカスはメイドのアイネムが付いてくるのを少し不審そうにしていたが何も言わなかった。

 

 「ルーカス殿、私をここで働かせて貰う訳には行かないだろうか?」

 ルーカスは伊能の言葉にかなり驚いているようだったがすぐに落ち着きを取り戻して聞いてきた。

 

 「うーん、難しいですが、まず理由をお聞かせ下さい。」

 (伊能はここに来てまだ数日だ、この歳で警部って事はキャリアだろう、それを辞めてまでここで働きたいと言う、魔法を覚えた訳でも無いしその理由はなんなだ)

 

 「はい、アイネムと結婚して一緒に暮らして行こうと思ってます。」

 「「「えっ・・・・」」」

 (たった数日でどうしてそうなった?、此奴、ケモナーなのか?、そうなのか?、そう言えばそうとも取れる言動があったような気もするが・・・うん、待てよ、此奴、報告によると自動小銃が使って魔物を撃退したとあったな、使えるかも・・)

 

 「アイネム、お前の気持ちはどうなんだ?、まさか、むりやり手込めにされたとか言うんじゃ無いだろうな?」

 「「「ちがいます!!、伊能様はそんな方ではありません。」」」

 アイネムはむきになって大きな声で言ったのでびっくりした、普段、アイネムはあまり大きな声はださない、比較的内向的な娘の印象があっただけにちょっと驚いた。

 「じゃ、アイネムも伊能と結婚したいのか?」

 「はい、お許しが頂ければ伊能様に貰って頂きたいと思っていますが、私なんかが結婚なんて伊能様に申し訳なく、妾でも構わないのでそうなれば嬉しいと思ってます。」

 

 「馬鹿な、妾なんかにはしない、ちゃんと結婚する。当たり前じゃないか、俺は妾なんか取らない、アイネム一人だけを愛すると誓うよ。」

 アイネムの妾発言に伊能は真っ向から否定した・・まあ、普通の日本人的な感覚からしたらそれが普通なんだろう。

 

 「はい、はい、痴話げんかは余所でやって貰うとして、ただ、結婚するから、日本人をこの国に受け入れるって事は出来ない。」

 「そんなぁ・・・そこを何とか・・・」

 

 「伊能さん、あなたは調査の初日の時に64式を取り上げて魔物を撃退したそうだが銃器には詳しいのか?、警察では64式は使わないと思うが?」

 「銃器は好きなので連休があれば良く海外のシューティングレンジに通ってましたのでそこそこは詳しいと思いますよ。」

 

 「そうか、M4カービンとかは扱えるか?」

 「M4カービンなどM16系統はかなり撃ってますね、M16、民間用のAR-15、AKやライフルなら22LRから.50BMGまで色々です。M4カービンは目をつぶっても逆さ吊りにされた状態でも分解組み立ては出来ます。」

 

 「いや、別に逆さ吊りで分解する必要はないんだが・・・」

 「良いだろう、結婚と移住を認めよう、但し、明日は一旦帰って仕事を辞めてからという事にしないと日本政府に対する立場があるからな・・・」

 

 「有り難う御座います。」

 「但し条件がある、君には騎士団に入って貰う、準備ができ次第、火器部隊に自動小銃を配備する予定だ、君には騎士団の中の火器部隊の隊長をやって貰いたい、当然、住まいは用意しよう」

 「アイネムはメイドをつづけてもいいし、辞めても構わないからその辺は二人で話し合えば良いだろう。俺はこれから用事があるので詳しい話は夜にでもいいか?」

 

 「はい、有り難う御座います。結婚習慣などについてお聴きしたいので宜しくお願いします。」

 「あ、それなら俺よりもうちの女性陣、アメリア辺りに聞いた方が良いな・・夜にアメリアの所に連れて行こう・・」

 「はい、宜しくお願いします。」

 

最後まで読んで頂きましてありがとう御座います。

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