思惑4
【思惑4】
□■□ 都内にあるビルの一室 □■□
「どうやら空母に乗る事自体は目的では無かったようだな。」
アリエルの上司、ロードリックは確かめるようにアリエルに言った。
「そうですね、乗る事自体は目的では無かったと思います、そう言う者達は目、行動を見ていればすぐに分かりますし、何処が見たいという要望すら無かったです、そう言うマニアであれば通常は非公開のCDCあたりも見せろと言ってくるはずですが、興味ないの一言で切り捨ててましたし・・甲板でも発着艦を見るよりは広報担当士官とのおしゃべりに夢中でした。」
「そう言えば、その広報担当士官はなにか凄いブレスレットを貰ったらしいが、提出はさせたのか?」
「いえ、本人にあげたのだから取り上げるなと釘を刺されましたから・・・」
「取り敢えず調査するぐらいは問題ないだろう。」
「いいえ、不味いと思います。恐らく取り上げたのが分かれば今後の交渉に大きく影響してくると思われますから暫くはそのままにして置いた方が良いと思われます。」
「借りて調査するぐらいはわからんだろう・・・」
「ばれる可能性が高いです。本人認証の機能が付いていて本人が付けていないと動作しないと言ってましたし、日本が同様の対応をしてかなり酷い反発を買い、対応に相当苦慮した用です、ドラゴンが出てきたのも日本に対する警告だと言われてます。それに彼は私の本名だけで無く、上司であるあなたの名前まで把握してました。別れ際にロードリックによろしくと・・・」
「そうか、取り上げるのは止めておいた方が良いだろうな、ただ、それを軍上層部が聞くかどうかは別問題だがな・・・」
「しかし、たった数日で私の名前までたどり着いたのかね。」
ロードリックは本気で驚いていた。内部にでも内通者がいるのか?、局内で本名を喋る事はない、となると盗聴の可能性は少ない。だがハッキングの形跡もないとなると内部内通者の可能性が高い・・
「あの名刺に盗聴機能があったとしても私の本名は喋ってませんしから名刺からでは無いと思われますので彼にも相当の情報収集能力があると見るべきです。」
「しかしそう簡単に漏れるようでは見直さないと行けないな。」
アリエルの本名が漏れるのはまだ分かる、しかしアリエルと俺が結びつけるには相当内部に詳しくないと分からないはずだ・・・となると他の局員もばれてるとみるべきか・・場合によっては対処の必要があるな・・・
「アリエル、どうやって調べたか聞き出す事は可能かと思うか?」
「まず、私では無理でしょう、信用されてませんし、可能だとすればエレノーラでしょうね、彼女には何でも答えていたみたいですよ。」
「そうか、ん。。。対処しよう。」
「直接の連絡先も聞いている様ですし、えぇ、私は教えて貰ってませんが・・・」
「あぁ・・まあ、所でその貰ったブレスレットはどんな機能なんだ・・」
「概要は聞いてると思いますが、身体強化の機能と身体の保護機能だそうです、後ほど防弾ベストを着せてゴム弾で試した時は体の直前で弾は止まった後に落ちたそうです。身体強化は10m以上はジャンプし、固定用のアンカーに使われているブロックを叩き割って拳にキズ一つ負わなかったそうです。」
「うーん、軍は欲しいと言ってくるだろうな。はぁ・・」
ロードリックは壮絶なため息を付いていた。
(あいつも大層な物、簡単にばらまいてくれるからこっちは大変だ・・・軍や上層部は入手したがるだろうから五月蠅いぐらいつつかれるのは間違いないだろう、うっ頭が痛い。)
「取り敢えず、予定通りハミルトン氏に会う手はずを取ってくれ。。
「分かりました。連絡を取ってみます。」
□■□ 翌日の都内某所ファミレス □■□
エージェントとの待ち合わせの為に待ち合わせ場所のファミレスへと向かっていた。
当然、ルーカス・ファミルトンの姿で向かっている。
ファミレスに着いて指定されていた場所に着くとアリエルがいた。
「アリエルさんですか?、ルーカス・オブ・ハミルトン・ファンテーヌです。」
アリエルにそう訪ねるとアリエルは少し驚いた様子で、飲みかけていたコーヒーを置き一呼吸於いた後に答えた・・
「初めまして、アリエル改めアデライン・ディビスです。この度はおいで頂き有り難う御座います。」
アデラインが差し出した名刺を、名刺交換の習慣は無いと断り、名刺は受け取らなかった。
「それで直接、話をしたいと言う事でしたが何の用でしょうか?」
アデラインは思った。
目の前にいるのは銀髪のブルーアイ、まだ、10代とおぼしき少年だがその態度、物言いは10代のそれとちがい重く、ある種の威厳すらある、ちょっと気を緩めると威圧で押されて声も出せなくなりそうだわ・・・
情報部の資料と外見は一致している恐らく本人で間違いないだろう。
しかし、この威圧感は一体、何なんなの?
「は、はい、2,3確認したい事がありまして・・・」
「あなたは異世界の辺境伯に間違いはありませんか?」
「えぇ、そうです。」
「貴国の素材や資源を輸入したいと考えて増すが、それについては了承されいるのでしょうか?」
アデラインはこれだけはしっかり確認するように言われていた。窓口で踊らされる事の無いように本国の決定権を持つ人間の確認は必要な事だった。
「輸出に関しては認めています、ただ、何処の国と何をどれだけ扱うのかは篠崎氏に任せていますので彼と交渉して下さい。私から貴国と取引するという約束は出来ません。」
「篠崎氏をそこまで信用されているのですか?」
「私はこの世界の文化や習慣に詳しくはありません、また、交渉に関わっている時間もありませんし、交渉能力も高くはありません。彼はこの世界の人間ですし、我が国の状況も把握していますので何をどれだけ取引するかは全て彼に一任しています、この世界において我が国の交渉の最終的決定権は彼が持っています。私が口出しする事はありません。」
「篠崎氏は先日、ある女性に特殊なの機能の付いたブレスレットを渡したのですが、それはあなたの指示ですか?、また、それを提供して頂く事は可能でしょうか?」
「私は彼が何を渡したのかは聞いていませんのでそれを提供と言われてもお答えしかねます、仮に提供可能だったとしてもそれを提供するかどうかは彼の判断です。」
アデライン:(ふぅ、結局何を聞いても彼に一任で全く先に進まないわね、結局彼を口説き落とすしか方法はないって事かしら・・・)
「最後にあなたがルーカス・ハミルトンであれば転移出来ると思いますがそれを見せて頂く事は可能ですか?」
「良いでしょう。ここでは無理ですが、店を出て人気のない所であれば可能です。ただ、試すような事はこれっきりですよ、次はありません。」
「わかりました。」
「では、出ましょうか?」
ファミレスを出て、裏に回り人気のない事を確認して『帰らずの森』の入り口にある平原へと転移した。
アデラインはかなり動揺していたようだ。
「ここはファンテーヌ領の外れにあるところです、まあ、魔物の住み処と言っても過言ではない。分かって頂けましたか?」
「はい、分かりましたけど、向こうから何やらやって来ているようですけど・・・大丈夫ですか?」
「えぇ、ゴブリンという魔物です、魔物としては弱い部類で1対1なら多少の心得があれば一般人でも倒せますよ。3体となると難しいと思いますが・・・」
「倒してみますか?」
「い、いいえ、お任せしますわ」
向かってきていたゴブリン3体を指弾を用いて一瞬で倒した・・・倒したゴブリンは土魔法で穴をほり穴に蹴り込んで火魔法で燃やした後に土魔法で穴を戻した。
「倒したまま、死骸をそのままにしておくと化けて出てくる事があるので必ず焼くようにしてるんですよ。まあ、他の魔物が食べてくれればその心配はないんですけどね。」
アデライン Side
なんか、気持ち悪い、人のような形をした醜悪なダークグリーンの生物が向かってきた、怖かった、私に倒してみるかだと?、冗談じゃないわ気持ち悪い、断ると彼は一瞬の間に3体とも倒してしまった。
一瞬で倒したのも驚いたけど、手をかざすと地面に穴があき、燃やした後にはまた、土を元にもどした・・・一体どうなっているのよ、あれば魔法という物かしら・・・
トリックでも何でも無いのなら凄いわ・・彼一人いるだけで戦局覆す事だって可能になるわね。
「さぁ、帰りますよ。もっと近づいて下さい、そうしないと置いて行く事になりますよ。」
彼はそう言うとまた、元の場所に戻ってきていた。
何だか、いまのは現実だったの?、夢でも見ていたんじゃないかって思うけど・・・夢ではないのは分かってる、どうやら本人で間違いはないわ。
交渉に関してはもう、恐らく何を聞いても無駄ね、後は篠崎氏をどうやって説得するか、確か今日、エレノーラが篠崎氏に会いに言ってるはず・・・
ま、彼女も無理矢理引っ張り込まれて良い迷惑だけど、同情はしないわ。
。・゜・。。・゜・。。・゜・。。・゜・。・゜・。。・゜・。。・゜・。。・゜・。。・゜・。。・゜・。
「では、これで失礼します、後は彼と交渉して下さい。」
アデラインと別れて俺はエレノーラとの約束であるラグジュアリーホテルに向かっていた。一人二役はいくら転移が使えても結構大変だ・・・当然、今は篠崎久志に戻っている。何とか約束の時間に間に合いそうだ・・
ホテルについてロビーを見回すと彼女は不安げに周りを見ながらきょろきょろしていた、ちょっと挙動不審だ・・・
すぐに目が合うと、俺を見付けて安心したのか嬉しそうな顔をして手をあげて盛んに振っている。
「先日はお世話になりました。イヤー連絡頂けるとはおもっていませんでしたよ。」
「急に休暇を貰えたので、ご迷惑でしたか?」
九州の南西海上を航行中のはずなのにたとえ休みになったからと言って寄港もしていないのに日本にいるのはかなり不自然だ・・恐らく上から何かを言われて来ているのは間違いないだろう、彼女が自分で会いに来たはずなのにばつが割るそうな顔をしているのは不自然だ。
「いえ、全然、エレノーラさんからの連絡ならいつでもOKですよ。」
「・・・すいません・・・」
彼女は本当に気の毒そうにしている、嘘が平気でつけないタイプだ、ふっ、彼女はエージェントには成れないな・・
「いや、謝らなくて結構ですよ。食事でもしましょうか?」
丁度、お昼ぐらいの時間だったしお昼でも食べながら話そうかと思っていた。
「「実は上に部屋を取ってるんです。」」
「あっ、そうなんですか?、こちらに泊まってられるんですね。ここ結構高いでしょう」
「えぇ・・お部屋で食事しながらでもお話ししましょう。」
「はい、構いませんが・・」
ロビーから部屋向かうエレベーターの中で彼女は緊張しているのがひしひしと伝わってきた。
彼女の部屋へ行き、ルームサービスで食事を頼んだ後、食事が来るまでの待ち時間が非常に居心地が悪い、彼女が殆ど喋らない・・・以前あった時とは別人だ・・
「どうかしたのですか?、さっきから様子が変ですよ。具合でも悪いのですか?」
「あっ、いえ、そんな事はないです。」
「。。。。。」
「ふぅーーーーっ、・・・私を抱いて下さい。」
彼女は大きくため息を付いた後、決心をしたように言ってきた。その顔は俯いていてよく見えなくても真っ赤になっているのは簡単に分かった。
ベッドに腰掛けている彼女の足は固く閉じていて、震えているのが分かる。
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