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私の愛した召喚獣  作者: 樹兎
第四章 暗雲
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視察団

【視察団】


 視察団の一行は領都の屋敷の一室で領地に関するレクチャーを受けていた。

 アトリアが解説する横にはサポート役のメイドアイネムが付いていた。

 

 「以上がファンテーヌ領の概要になります、まず最初はオイル産出地域から行きたいと思います。」

 「最後に警告しておきますが、絶対に単独行動をしないで下さい。単独行動をされた場合は身辺の保証は出来ません、また、ペナルティとして最悪日本への送還も拒否される場合、良く心に刻み込んでおいて下さい。」

 

 「何か、ご質問はありますか?」

 「危険度は高いですか?」

 「オイル産出地は入ってしまえば殆ど問題ないですが、その前は地域はスコルピオン系の魔物とワーム系の魔物がよく出没してます。

 「まだ、何かありますか?」

 「・・・・・」

 「他に無ければ出発します。こちらに産出地へのゲートがありますのでいらして下さい。」

 

 一行は産出地に転移して来た。

 ここでの予定は日が落ちる前までで屋敷に帰ります。

 オイル関係の新田氏が測定機材を組み立てだした・・・それに山北(りん)さんが手伝っている、他の皆は囲んでみている状態だ。

 

 「ここの油田の状態はどうなんですか?」

 薬学を専門とする川村春香が測定機材をセット中の新田に聞いているが、新田自身はそれどころでは内様子でセットに夢中になっている。

 

 「原油に間違いはないですね、流動性も良く雰囲気は良さそうです、正確にはサンプルを持ち帰って分析してみない事には分かりませんが地表まで出てますから圧力もありそうですし、本格的な探査を始めたい所ですね。今回の簡易的な物ではある程度あるか、無いかの判断ぐらいしか出来ないです。」

 伊能:(あるかないかぐらい、地面に出てるんだから見れば分かるんじゃね?、でも、口に出すと不味そうなので黙っておこう)

 

 「まあ、今回は実際に現場を見て、サンプルが採れればOKって感じでしたから、現時点でも目的は達成しています」

 

 「いま、している機械では分からないのですか?」

 新田がやっている作業で、原油の埋蔵量なんかが分かる物ばかりだと思っていた山北は不思議そうに訪ねていた。

 

 「いや、こんなのでは本格的な事は分かりませんね、地震探査や他の探査方法をやって、採取的には試掘して見ない事には判断出来ません、恐らくこのサンプルだと正式な探査、試掘になると思います。」

 新田の説明に、成る程と相づちを打ちつつも良く分かっていない山北倫だったりするのだが・・

 

 「静かに・・・魔物が来ます・・・」

 アトリアの言葉に全員が固まる・・・

 

 「11時方向、5体の魔物です、まだ、種別は分かりません、あの丘の向こうです。」

 アトリアが示した方向、500m先には丘というか砂丘の小高い所がある、その向こう側に近づいて気いるようだ。

 

 「僕の後に下がって・・・」

 伊能警部がうさ耳のアイネムを庇うように自分の後ろに下がらせて、ホルスターから拳銃を抜いて上に向けた状態で持っている。

 工藤2尉は肩に担いでいた64式小銃を両手で持ち直している、セーフティーを外している

 

 「丘を越えてこちらを確認したら、走って襲ってきます。どうしますか?、そちらで対処しますか、それとも私が対処しますか?」

 工藤:(まさか、子供に守って貰う訳には行かない、ここは我々が対処するべきだろう)

 「いや、私達で対処します。」

 工藤2尉は思い詰めた表情だが自分で対処する旨をアトリアに伝えたが、実は足は震えていた・・・

 

 「分かりました、危険な状態になるまで見ますので、出来るだけ引きつけてから攻撃を行って下さい。可能であれば頭部を自信が無ければ胴体を狙って下さい。」

 

 リザードマンが姿を見せるとすぐにこちらに気づいた様で顔を見合わせると5体のリザードマンは砂丘を駆け下りてきた・・・

 「慌てないで・・・引き寄せて確実に・・・」

 アトリアの指示が飛ぶ・・・アトリアも念のために剣を抜いた。

 

 当初は黒い影にしか見えなかったリザードマンも100mを切ると緑色の蜥蜴の顔をした人型した魔物が襲ってくるのが誰の目にも視認出来ていた。

 

 工藤2尉が発砲を開始した。

 「パン、パパパーン」

 着弾点に、砂が飛ぶが肝心のリザードマンには当たらない・・・恐怖と経験不足から銃がぶれていた・・・

 防大出身者は卒業後、約1年で幹部になる為、一般の普通科に比べるとどうしても練度は低くなるは仕方なかったりする

 

 「工藤さん貸して下さい。」

 伊能警部は工藤2尉から小銃を取り上げると立射のまま発砲した。3点射でリザードマンを打ち抜いていく・・・彼はアニオタで有りミリオタでも合ったせいでたびたび海外に射撃にでていた。

 伊能警部が3体倒した所で、アトリアが伊能警部を止めた。

 

 「私が出ます!!」

 2体のリザードマンはもう、10mを切っていた。

 斬り掛かってきたリザードマンの振るう剣を受ける事無く躱して横に払った。

 グェッと言う叫び声ともに腹部を押さえてうずくまった。

 

 後から斬り掛かってきたリザードマンの剣を振り向きながら剣で受け、払いのけるとリザーマンの心臓を一刺しにした。

 アトリアはうずくまって腹部を押さえているリザードマンの後に周り剣を一振りするとリザードマンの首は落ちた・・・

 

 アトリアは走って行き、残り3体倒れているなかでまだ、息のあるリザードマンにとどめを刺して、全てのリザードマンを魔法で燃やすと戻ってきた。

 

 「初めてにしてはなかなか良かったですよ。」

 「はぁ・・」

 伊能:(小学生みたいな子供に助けられるなんてちょっと格好が悪いな)

 伊能警部はアトリアにそう言われて、うつろいだ表情をしながらため息を付いていた。

 川村春香と山北倫の女性組はリザードマンのグロい死体を見て吐いていた・・・

 他の調査のメンバーも吐いてはいない者の顔色はかなり青く気分が悪そうだ・・・

 

 「勝手にすいませんでした、有り難う御座いました。」

 伊能警部はそう言って小銃を工藤2尉に返していた・・

 「あぁ・・、いっそ、君が持っていた方が良いんじゃないか?」

 工藤2尉は苦笑いしながら伊能警部に半分以上は本心で言っていたのだった。

 

 「この辺りは良く魔物が良く出るんですか?」

 オイル担当の新田が聞いてきた、魔物の出現率は原油の採掘に大きく影響してくるので無関心ではいられないという事情も背景にはあった。

 

 「いえ、この辺りは魔物はそうはいないと思いますが、スコーピオン系の魔物は一定量いますので、それをリザードマンが狩りに来たのかも知れませんね。、元々この辺りは悪魔の沼と呼ばれていて人は立ち入らないのでその辺の情報もあまりないんです。もうちょっと沼から離れるとワーム系の魔物がいますので危険なんですけどね。」

 

 「伊能さん有り難う御座いました。とっても強いんですね、かっこよかったです~ぅ」

 アイネムからお礼を言われてかなりご機嫌な様である、アイネムもしっぽをブンブンと振り回して喜んでいた。

 「アイネムは俺が守ってやるからな~、安心しろよ」

 「はいです~ぅ!!」

 伊能はアイネムの頭を撫でながら声を掛けている・・・本人も凄く嬉しそうだ・・・

 

 「その後は、魔物に襲われる事も無く順調に調査は進んだ・・」

 

 「アトリアさん先程の魔物ですが、強い方なんですか?」

 工藤2尉がアトリアにリザードマンの強さを聞いていた。何せ、つよいとは聞いていたが実際に基準となる物が内だけに分からずにいた。

 

 「リザードマンは弱い方ですね、強さの区分別けはE ランクです。ランクは上からS, A、B、C、D、E、Fとありますから下から2番目ですね。」

 

 「あれで下から2番目ですか?・・・ふぅ・・」

 もっと上級の魔物が出てくるという救出作戦ではどうなる事やら・・・

 

 「アトリアちゃん凄いね、あっという間に倒しちゃって・・・」

 伊能警部はアトリアが見た目10歳児なのにリザードマン2体をあっさりと倒した様子をみてかなり驚いていた・・・

 (大人でも人型を倒すって事には相当な忌諱があるはずなのにあの子はあんなに幼いのにまるで草でも刈るかのように首を切り落としていた・・・やはり、こっちの世界の人間はこれくらい無いと生きて行けないのだろうか?」

 

 「アトリアちゃんは眷属だから別格ですよぉ~」

 アイネムが伊能警部の耳元でささやいた。

 

 「えっ、眷属って何?、眷属って強いの?」

 「アトリアさんはルーカス様を守る眷属の一人で、眷属の皆さんはもう、別格ですよ。リザードマンの100や200は平気ですから・・・皆さんそれぞれ人外の強さですよ。」

 伊能:(眷属かぁ・・・眷属って確か従僕するものって意味があるんだよねぇ、眷属だから強いのか、強いから眷属なのかなぁ・・・)

 

 「眷属の人達は皆強いんだ・・・」

 「そうですよーっ、奈津さんなんか一人で国を滅ぼせるぐらい強いって聞いてますよ。」

 「そうなんだぁ、眷属って何人ぐらいいるの」

 「えへっ、私も良くは知らないんです、こっちに来られない方もいるので6,7人ぐらいだと思いますけど・・・」

 

 「アイネム、!!」

 アトリアがアイネムを睨んでいる、って言うかさっきが凄い・・・

 「す、すいません。」

 アイネムの耳が思いっきり垂れている・・

 

 その後、暫く経ち日も傾いた頃・・・

 「みなさん、そろそろ帰りますよ。」

 機材を撤収した後で来た時と同じ様に転移魔法陣を使って領都の屋敷に戻ってきた。

 

 「皆さんお風呂の用意が出来ております。お風呂に入られたら食事になりますので入られる方は今のうちに入浴して下さい。」

 メイドのイリシカが風呂の用意が出来た事を伝えに来た。

 

 伊能は工藤2尉ら男性陣を誘って風呂へと行ってみた・・

 「オーーッ、こりゃ驚いた・・・」

 風呂はまるで温泉センターの大浴場ほどの広さがあり、お湯は温泉の掛け流しだった、男性5人ぐらいならかなりゆっくりと入れる広さがあった。しかも外には露天風呂も用意されていた。

 

 「まさか異世界に来て温泉にはいれるとはな・・・ほんと、驚いた。」

 「ですよねぇ...」

 温泉に入ってのんびりくつろぎながら伊能は思っていた。

 日本の温泉と何ら変わらない・・・いや、むしろこっちが快適な所も多い、辺境伯という立場だから準備出来るのか・・一般でも入れる様な所はあるんだろうか?、街も見てみたい。

 

 風呂から上がって皆で冷たいジュースを飲みながら今日の事なんかを雑談しているとさっきのメイドが呼びに来た・・

 「皆様、お食事の用意が出来ておりますので食堂の方にお越し下さい。」

 メイドのイリシカに案内されて食堂にやってきた。

 「皆様、席順など御座いません、お好きな所にご着席下さい。本日は初日と言う事もあり皆様になじみのある料理にさせて頂いて下ります。どうぞ、お召し上がり下さい。」

 

 「ほぉーっ。。。凄い・・・」

 ここまでの物が出るとは・・・

 食事に出されたのはその辺の料亭なら真っ青になって逃げ出すほどの懐石料理料理だった。

 「ファンテーヌ領の代官をしております、恵と言います。」

 「お食事中失礼します、お食事をしながらで結構ですので聞いて下さい。」

 「既に注意されたと思いますが、単独行動は絶対に止めて下さい。屋敷から帰ってきている時は屋敷から皆様だけでの外出は堅く禁止します。」

 「お聴き頂けない場合は即、強制送還し、以降、本領地への立ち入りを一切禁止します。」

 

最後まで読んで頂きましてありがとう御座います。

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