上層部の腐敗1
【上層部の腐敗1】
対策本部の人と、特に公安さんと今後の救出について話していたが、話は魔石の取引方面へと変わって行った。
古竜が茜へと渡したダイヤモンドを見ながら公安の山崎氏は・・・
「こんな大きなダイヤだと幾らの値が付くかさえ想像も出来ませんな、これほどだと貴国でも貴重でしょう、良く古竜の頼みとは言え持ってこられましたな。」
「古竜の頼みは国としても最優先ですからね、それにそれぐらいのダイヤなら特別珍しいって程でもないんですよ。それなりに産出されてますし、私の持ってる物だと大人の頭より大きいですしね。」
「そんなにあるんですか?」
「まあ、地球よりはかなり多いんじゃないかと思いますよ、手掘りで掘り出してる位ですから・・・ただ、加工技術があまり進歩していないので人気はないですね、どうしても色石の方が人気があります。」
「茜からちらっと聞いたんですが原油もあるとか・・」
「えぇ・・我が領内で吹き出してますねぇ・・埋蔵量は調査方法も機械もありませんので判りませんが・・・」
「うちの方で調査するって言うのはどうでしょうか?」
「構いませんが、輸出するかどうかは判りませんよ、先の回答次第で話は変わってきますから・・・」
山崎:(やっぱりそうくるよなぁ・・・当たり前の話なんだが・・結局は余所の国に美味しいところは全部持って行かれそうな気がする。例え総理でも独断での決定権は持ってないからなぁ・・)
「。。。。。」
「今、入った情報だが生徒を一人保護したそうだ。」
「おーーっ、それは本当か?」
室内にいたメンバーに歓声が上がる。
「だ、誰か判るかね!」
吉報に皆、詳細を聞きたがっている。
「念話によると保護したのは女性、かなりの重傷で名前などはわからない。左腕、欠損、内臓破裂、脊髄損傷らしい、現在治療に当たっている。」
「ま、そう言う事でしばくすれば詳しい情報はわかるだろう」
「ちょ、ちょっと待ってくれ、そんなに酷いんじゃ、そっちの医療では助からないんじゃないか、すぐにこっちに運んだ方が良くないか」
公安の山崎氏が吠えた。
山崎の考えはある意味、正しかった。向こうの世界の医療は遅れている、盲腸でさえ悪化すれば助からない。何しろ外科手術がないから・・・だが意外に想像するよりは致死率は低かった、薬を飲み慣れてないせいか外傷には意外に耐性がつよい、そうは言っても今回のような状況だとまず助からないのが普通だ・・だがうちには普通ではない美琴がいる。必要であればエリクシールの使用も辞さないとなれば助からない訳がない。
「出血性ショック症状も出てますから運ぶ時間はもう、ないでしょう、うちで治療に当たらせます。」
「しかしそれではみすみす死なせるような物、可能性が有るのなら運ぶべきだ・・」
公安の山崎が食い下がってくる。
「菅原警視正、あんたからも何か言ってやってくれ・・」
「私は辺境伯にお任せした方が良いと思います。」
「あんた何言ってんだ?、まじないで怪我が治るとでも思ってるのか?」
「いえ、現状を聞く限りでは恐らくこちらへ連れて帰っても助からないでしょう、もし、助かったとしても後遺症は酷く日常生活はまともに送れないでしょう」
「だから、みすみす死なせても良いって言うのか?」
公安の山崎の口調はかなり怒ってるようだ。まあ、普通に考えれば正しいのだろうが何せ普通でない異世界の事なんて分かるはずもないのだが、菅原警視正は我が子の難病を目の前で完治するのを見てその片鱗は理解していた。」
「ちがいます、だから任せた方が良いって事です。」
「コトッ!!」
菅原警視正はテーブルの上に紫がかった青色の液体の瓶を置いた。
「ん、どうしたんだ、何ですかそれは?」
公安の山崎はうろたえた様に警視正の方を見ながら聞いていた。
テーブルに置かれた瓶が何なのか、何を意味するのかが理解出来ない公安の山崎はその訳を警視正に尋ねている。
「それはルーカスさんに頂いた魔法薬です。それでうちの娘は治りました。」
「えっ。。。」
公安の山崎が絶句していた。
警視正の娘は小二腎不全の末期と報告書にはあった、治療は腎移植、しかし移植手術に必要な体重に達していない為に適用外と為っていたはず・・・
信じられる訳がなかった。それが常識と言う物だ、異世界は常識を斜め上に行っている事に気付くには公安の山崎にはまだ、時間と経験が足りなかった。
「山崎さんこの薬は怪我や病気を瞬時に治すそうです、事実うちの娘も治り自宅で飛び跳ねてます。また、ルーカスさんにはこの薬を使わなくてもそれと同等の効果のある回復の魔法も使えるそうです。」
「そういう訳でここはお任せした方が良いと思いますよ、それとルーカスさんうちの家内が是非、お礼を言いたいと行っておりますので今度、家族だけで快気祝いをしますのでその時に、是非、来て頂けませんか?」
「いえ、気にされる事はありませんよ、奥様にもそうお伝え下さい。」
「いえ、うちの家内は言い出したら聞かないのでぜひ、ちょこっとだけでも顔を出して貰えれば良いのでお願い出来ませんか?」
「わかりました。少しの時間で良ければお邪魔しましょう。」
「ありがとうございます、妻も喜びます。」
「あっ、山崎さん、その薬は私が個人的に菅原さんにあげた物ですよ、あくまでも個人的に・・・おわかりですね。」
「はい、はい、判っていますよ」
公安の山崎は須藤茜の件と被って聞こえていた、暗に取り上げたりしたら許さないぞと言っているのだろう、ハイ、ハイ、よ~く判っていますよ。でも、報告して説教垂れられるこっちの身にもなってくれって言いたいよ、まったく・・・
「では、私は一旦戻りますので、自衛隊のメンバーが決まったら早めにお知らせ下さい、他に何かあれば茜ちゃんを通して連絡して下さい。」
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王都の屋敷
いつもと同様にジェシカとソフィーが出迎えてくれた。
「お帰りなさいませ、ご主人様」、「ルーカス様、お帰りなさい」
「うん、ただいま・・・」
「保護した娘はどう?」
「大丈夫ですよ~恵さんが治療して回復されてます。」
どうやらイスパニア王国内で魔物の討伐訓練中に負傷したところをワイバーンに攫われたようです。巣に持ち帰るところを監視に見つかって奈津さんが駆けつけて助けてきたそうですよ。」
「大丈夫なようなら会って見たいんだが、案内してくれ・・」
「では、私が・・・」
ソフィーが先頭に立って彼女の休んでいる部屋に案内してくれた。
「ソフィー事情は聞いてるのか?」
「いえ、恵さんが領地で応急処置をして、こちらにリナさんと悠人さんで運ばれて再度治療されて、寝ている間に恵さん達は領地に戻られました。先程まで眠っておられましたので誰も事情は聞いていないと思います。でも、リナさんのご友人だそうですよ。」
「そっかぁ、有り難う、ソフィー」
俺がそう言うとソフィーはにこっと微笑みを返した。
ソフィーが部屋のドアをノックすると”どうぞ!”と少し線の細い女性の声で返事があった。
「お加減は如何ですか?」
はい、おかげさまで痛みは全くありません。チョットだるいぐらいです。」
「出血が酷かったですからねぇそれは仕方ないですよ~しっかり食べて体力を付けましょうね」
「こちらは当家の主であるルーカス辺境伯です。」
「初めまして、佐藤 明美です。助けて貰って有り難う御座いました。」
「あぁ、けが人は気にしなくて良いよ。」
そう言うと、彼女は思い詰めたように何かを考えているかのようだったが、線が細くかなり痩せている女性だったチョット老けて見えるのか高校生よりは少し上に見えた・・・胸はかなり残念な様子だった。
「ここは何処でしょうか?、イスパニア王国ですか?」
「ここはイルメニア王国です、君はワイバーンに攫われているところをうちの者に見付けられてここで治療されている所ですよ。」
「ふぅーーっ」
「私はどうなるのでしょうか?」
「うん、そうだね、勝手に入ってきたのなら密入国者って事になるんだけどうちの者が連れてきたのでそうはならないね。まずは治療が先決だね、傷は治ってるけど暫くは安静にしてなきゃ駄目だよ。」
「その後の事は、相談に乗るよ。」
「ただ、うちとしては君をイスパニア王国に引き渡す訳には行かないんだ、その事は分かって欲しい。」
「いえ、あそこには戻りたく有りません。」
まあ、帰りたいといっても返す訳には行かないんだが、あえてそう言う必要も無いんだけど、あまり境遇は良くなかったみたいだなぁ
「君は草日部リナって女の子を知ってるかい?」
「はい、友人ですけど・・・・どうしてその名前を知っているのですか?」
「彼女たちはうちにいるよ、今は領地の方にいるから夕方には戻って来るから会って彼女と話した方が良いかな・・・」
「リナはここで働いているんですか?」
「うーん、そうだねぇ・・バイトって言う方が近いかなぁ・・」
「そうですかぁ・・・」
何か、ここにいるって判って喜んだみたいだけど、その落ち込み様は何なんだろう・・まあ、ここで俺が色々聞き出すより悠人達に任せた方が話しやすいだろうし、今後の事はそれから決めれば良いだろう。
「取り敢えず、今はゆっくり休むと良いよ。」
俺はそう、告げると部屋を出た。
明美:(王女の言った事はやっぱり本当だったんだわ・・)
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翌日の朝
〇〇高校失踪者帰還支援対策本部
その部屋には7人のメンバーがいた。
総括責任者の湯川雅人が加わっているだけで後は、いつもの面子だった。
公安の山崎参事官が主に総括責任者の湯川雅人にこれまでの会談の経緯などを報告していた。
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