異世界召喚2
【異世界召喚2】
「それでは今のこの世界の現状と皆様が召喚された理由をお話しします。」
そう言うと王女マチルダは召喚された理由を話し始めた。
「西側の隣国にイルメニア王国と言う国があります、この国はこの世界の大陸の中で一番の大国で有り元々圧政を敷いてきた国だったのですが、ここ数年、異世界から召喚する能力を持った魔法使いが現れました。」
「元々、この国は過酷な奴隷制度を強いてきた国でほんのちょっとした罪でも男性なら鉱山で働かされ3ヶ月間生きながらえれば良い方だと言われています、女性の場合はさらに過酷で心身共に壊れるまで虜辱や拷問のし放題と言った状況なのです。」
「そんな事ばかり重ねていると当然、民の数は減りますので我が国も含めた隣国からさらって奴隷として使役するようになったのです。そればかりか、召喚が得意な魔法使いが現れた事により異世界からも召喚して奴隷にするという暴挙に出た為に神の怒りを買いました。」
「相手は大国、我々だけでは戦力的にどうにもならず、困っていたところに神のご神託が下りました。ご神託の内容は召喚魔法使いが奴隷として召喚している国から神が勇者たる戦士を選んで100名送ると言う事だったのです。」
「そうやって送られて来たのがあなた達だったのです。」
マチルダが話す内容の90%は作り話なのだが誰もそれを信じるほかなかった。なぜなら他には何の情報もなかったからだ・・・
「私どもには読めませんが、恐らくあなたたちには読めると思います。」
王女マルチダはそう言ってひとつの緑色した円形のもの皆の前に置いた。
王女が置いた品物はプラスチック製の円筒形の物で『アロエ ハンド クリーム』と書かれていた。
「こ、これは私の国の製品です。ハンドクリームと言って手に塗るクリームです。」
教師の早川進がクリームを手に取り驚いたように声を上げた。
(これは間違いなく日本のハンドクリームだ、製造は中〇だろうが、我々の世界の物に間違いはない)
「神のご神託に従い、あなたたちにも我々と一緒に戦ってイスパニア王国を滅ぼして欲しいのです。」
「ちょ、ちょっと、待って下さい。我々は戦士ではなく軍人ですら有りません、只の高校生とその教師なのです。戦うなんて無理です。」
「その辺は大丈夫ですわ、此方に来られるときに神の加護を受けておられますので、暫く訓練すれば一般の兵士の数倍から数十倍ぐらいには強くなれるのです。もちろん魔法も使えるようになりますよ。」
「皆様、自分の内側に向かって『ステータス オープン』と唱えてみて下さい。小さな声でいいですよ。」
「うわーーっ、えーーっ、何これ・・・」
ステータス オープンと唱えた者達のまえに半透明のスクリーンが現れてきた・・・
驚いた生徒たちは、ファンタジーだ、異世界転移物だ・・と騒いでいる生徒もいる。
相馬悠人は早々にステータスを消した、横にいたリナにも消させた。
中には魔法が使えると聞いて、単純に喜んでいる。
「これは人に見せる事も見せない事も出来ます。非表示の処を軽くタッチすると他人には見えなくなります」
みな、王女の言う事に従って非表示にした。
「みなさーん、これから兵士の指示に従ってこの魔法具に手を当てて頂きます、これは勇者の確認をする道具です、痛みなどはありませんので安心して下さい。その後は兵士からこの小袋を貰ってから兵士の案内に沿って食堂の方で食事をして頂きます。」
「はい、では、順番に一列に並んで下さい。」
不思議な事にこの時点で、騒ぐ物は誰もいなかった。只整然と一列に並んで順番を待っていた。
生徒が魔法具に手を当てると、一瞬、ピカッと光を放つと、兵士が「ごくろうさまでした」と言って小袋を渡していた・・・
「皆様、今お渡ししている小袋にはお金が入っています、明日、王都を見学して貰ってこの世界を知って貰うのが目的です、その時のお小遣いと思って下さい。」
それを聞いた皆からは『オーーーッ』と声がある。
魔道具に手を当てても光が出ない生徒も僅かながらいた、その者達は光った生徒たちとは別の部屋に誘導されていた。..
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「マルチダ、勇者たちの様子はどうだ?」
イスパニア国王が王女に守備を尋ねていた。..
「オホホホ、異世界のサルどもは何の疑いも持っておりませんわ、私の魅了にも掛かっておりますし・・・あまり強く掛けると戦士として役に立たないので手加減が難しいですわ。」
「それはそうと勇者の加護を持たない者が12名ほどおりました、此方は当面の間は監視して拘留した後に処分しますわ。」
「うむ、任せるぞ、マルチダ、どれくらいで役に立ちそうだ・・・」
「そうですわね、1年ぐらいは掛かると思います。」
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イスパニア王国 王城内の食堂
兵士の指示によって皆、テーブルに付いていた・・・
テーブルにはこの世界のご馳走が所狭しと並んでいた・・・此方では15歳で成人なのでアルコール類も当然用意してある。
王女が挨拶を始めた・・・
「~と言う事で勇者の召喚を祝しまして乾杯を行いたいと思います。」
「ちょっと待ってくれ!!」
学年主任の教師、早川が声をかける。
「12名ほど足りないのだが・・・・」
「その方たちは、勇者の称号をお持ちでなかった為に分けさせて、別室にてお食事をして頂いて下ります。」
「べつに勇者じゃなくても差別しなくても良いんじゃないか?」
「戦えないのですよ。」
「それはこの城であずかって貰ってればいい。」
「では、申し上げます、今後、訓練をし、命をかけて戦うあなた方とただ、城でのんびりとくつろいで居る人達を同列に扱う事は出来ません。」
「と、言いましても、本当ではありますが、別けた本当の理由ではありません、本当の理由は勇者の称号を持たない方は例えイルメニアを征服して転移魔方陣を奪っても帰る事が出来ないのです。、それまで一緒にすごして、あなたたちは帰れないと分かる方が辛いと思いますよ。」
「勇者でない方のグループは私どもで責任をもって王都の住人として生きて行けるよう援助を行うつもりです、こればっかりは残念ながらどうしようも無いのです。」
「そんなぁ・・・・」
主任の早川は悲嘆に暮れた・・・・
「先生、仕方ないですよ、元々事故で死んでた身ですから、例え帰らなくてもここで第二の人生を送れると思えばまだましな方ではないですか?」
王女が明示的に言った訳では無いのだが、ラノベの読み過ぎかファンタージーの影響か、実は事故にあい死んだ者達が勇者として召喚されたと思っていた。その証拠に事故に遭っていない車両の者で召喚されている者はいなかった、そして車が事故に遭うまでの記憶があった為にそう思い違いをしていた・・
このことは王女にとってはむしろ好都合だった。
食事の後は女神の加護の種類によって個室もしは二人部屋が用意されていた。
翌日は王都の見学が予定され、その後、戦闘訓練が始まるのだった。
女神の加護が付いていない12人は別室で軟禁されていた。
食事は薄味の野菜のスープとパンのみ、部屋は一部屋に男女まとめて押し込められていた。
相馬悠人と草日部リナもこのグループにいた・・・
「すいません、あのう、トイレに行きたいのですが・・・」
女性との一人が食事の支度をしているメイドに尋ねていた・・・
「あちらにある壺をご利用下さい。」
メイドが指さす先には部屋の隅に壺が二つほど置いてあった。
(あんな壺になんか出来る訳無いじゃ無い、オマケに何の仕切りもない、人に見られながら排泄なんて・・・)
「あんなのでは出来ません、ちゃんとトイレに行かせて下さい。」
女生徒はメイドに食ってかかるも、対応は冷淡であった。
「使う使わないは自由です。あなたたちはこの部屋から出る事は許されておりません。」
メイドはそう言うと部屋から出て行き、扉は閉められて鍵が掛かっていた。
「だせーーっ、出してくれーーっ、いやーーっ」
扉を叩きながら叫ぶ、生徒と教師・・・
暫く扉を叩いていると、扉は突然、開いた。
「ボコッ・」と言う音と供に扉を叩いていた生徒が数メートル吹っ飛んだ・・・
ドアの外にいた兵士が殴ったのだ・・・・
「騒ぐと次は殺すぞ!!」
そう、兵士は言い残すと扉をとざした・・・
「うわーーん、女生徒が一斉に泣きだした・・・」
20畳程度のトイレもない部屋に12人、男女まとめて押し込められてた者達のストレスはもう、限界まで上がっていた。..
バスガイド2人、運転手1名、教師1名、生徒8名の12人は崩れるように床に座り込んだ・・・
(どうしてこんな目に遭わなきゃ行けないんだろう)
「俺はここを出ようと思う。」
相馬悠人は王城からの脱出を考えていた。
(こんな処長居してもいずれは殺されるだろう、王女の話も何処まで本当か分かったもんじゃ無い取り敢えず他国まで逃げよう)
「逃げるって行ったってどうやって・・・何処も行くところは無いし、死に行くようなもんだ・・・」
教師は反対していた・・・
「俺は逃げる。強制はしない。」
皆で話し合って、結局逃げるにしても全員で逃げるには人数が多すぎると言う事で希望者の5名だけが逃げる事になった。
逃げるのは、相馬悠人、草日部リナ、坂下ミク、田中信二、バスガイドの春日 愛子の5名になった。
早速、部屋の窓枠をおいてあったスプーンとフォークで外して外にでた・・・外には見張りはいなかった。
♪゜*☆*゜♪*☆*゜♪゜*☆*♪゜*☆*゜♪*☆*゜♪゜*☆*゜♪
相馬悠人たちが逃げた情報は直ぐに王女に伝わった。
「構わないわ、というより思った通りに動いてくれたわね。いい、門でも捕まえたりしないようにしなさい。」
「逃がして構わないのですか?、」
「いいのよ、丁度、人数を減らしたかったの、彼らが逃げたのは残った人達が証言してくれるでしょう。残った彼らは男女別に部屋を別けて、最低限の環境は与えるように・・・」
「はい」
「彼らはイルメニアに向かうはずよ、そこしか行き様はないから、後はヤマビスの森が解決してくれるわ」
王女は自分の思った通りに物事が運んで実に嬉しそうな微笑みを浮かべていた・・・
「「「ヤマビスの森」」」
ヤマビスの森は通称、”帰らずの森”とも言われ、イスパニア軍がイルメニアに進軍しようとして何度か進攻したが、何度進攻しても一兵たりとも森を抜けることは出来なかった。森の奥深くには災害クラスの魔獣がひしめいておりその最深部には冒険者すら立ち入らないような場所だった。
逃げ出した事がばれた後も残った生徒たちは叱られる事はなかった。
「手違いがあったようで申し訳ありません、ここは食事の為の部屋で、寝室等は相部屋になりますが、きちんと用意して有りますので、トイレの方はメイドに申しつけて下さい、案内させます。」
「先程、不敬な態度を取ったメイドは処分しました。」
「あのう、処分と言いますと・・・」
「えぇ、私としてはお客様であるあなた方に不敬を働いたので処刑をと考えたのですが、助命の嘆願もありましたので首にして奴隷として奴隷商に渡しました。」
「えーーっ、そこまでしなくて・・・」
「いいえ、本来ならば文字通り首が飛んでましたのが、無くなったのですから・・・」
生徒らの反応に王女は平静を保ちつつもしてやったりと内心では笑っていた、もちろん、メイドは処分なんかされていない、単に配置換えになっただけである。
生徒たちへの牽制の一つとしては有効に働いた・・・
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