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私の愛した召喚獣  作者: 樹兎
第三章 領地改革
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異世界召喚1

【異世界召喚1】


 あれから1年あまりが経った。

 エマは王女として振る舞う事はなく皆と仲良くなってとても良い傾向だ。

 領地の方の街道整備はほぼ終わり、住人用の集合住宅の建築を行っている最中だ。


 領地の領都の街道は全て電気の街灯が付き、個人宅の大半は電気が通っている状態だ・・・


 もちろん、電気が通っていると言っても全ての部屋に電気が来ている訳ではなく、1カ所だけとかそう言う状況が多く、どの部屋でも電気が使えるようになるにはもう、暫くの時間が掛かるだろう。


 硫黄、硝石が領内から取れる事で黒色火薬は直ぐに作れたが水分量の管理が面倒で事故なども起きやすいため1年経ってセルロースの製造と希硫酸の製造、濃縮に目処が付いた事により無煙火薬の製造に取りかかった。

 TNTの製造も検討したが作る過程が非常に危険な為、現在の処は保留にしてある。

 

 政情は国内は昨年の大幅な粛正により統治は安定しているが・・・国外ではイスパニアは軍備増強しダルタニア王国に集結しつつあると言う。

 

 そうそう、思わぬ収穫もあった。

 前世の遺産を整理していたら貨幣、貴金属、武器などの他に封印された書簡があった。

 開けてみるとダンジョンの最下層のさらに下の隠し部屋で見付けた金塊の隠し場所が記されていた。

 但し、隠されている金塊はこの世界では絶対に流通させてはいけない、流通させると金の価値が大幅に下がり貨幣経済が崩壊すると・・・

 

 隠し場所へ行くと大量の金塊があった。

 「な、なんだ、こりゃ・・・」

 隠し場所の部屋には大量の金塊、1,000tや2,000tでは効かない位の大量の金塊がうずたかく積み上がられていた。ざっくり換算しても元の世界の小国の国家予算ぐらいはあるんじゃないか?


 これだけ量がこっちの世界で流通すればインフレになるだろうし金の価値も一気に下がるだろう、流通させるなと言うのも分かる気がする。だが、使い様だこっちで流通させずに向こうで使えば良い・・もちろん使い方は考えないと・・・

 

 そんな折、陛下から呼び出しが掛かって登城していた。

 部屋へ通されるとそこには陛下、アメリアの父親であるアズガルド辺境伯、宰相、騎士団長、軍参謀本部参謀総長と見知らぬ男がいた。

 

 「ルーカス、来たか、そこに座れ」

 指定されるまま、座った。

 最初は結婚式の話かと思ったが、参謀本部の人間がいる以上、違うだろう・・

 一人の男が立ち上がった。

 

 「私はハイドライド聖教国の司教、アルガマンドと申します、今回、ご相談がありましてイルメニア王国に参った次第です。」

 名乗った司教は60代の初老の男性で真っ白な髪と長く伸ばしたあごひげは如何にも教会関係者を物語っていたが目の奥に静かな深淵を抱える司教は通常の協会関係者とは違っていた。

 

 「わたしは・・・ファンテーヌ領、辺境伯、ルーカス・ハミルトン・ファンテーヌです、お見知りおきを下さい。」


 相手が聖職者なので騎士の礼は取らない。

 他の人達は既に紹介が終わっていたのか、昔からの知り合いなのかは他の自己紹介はなかった。

 

 「司祭殿の報告によるとイスパニア王国で勇者召喚が行われたらしいと言う事だ・・・」


 陛下が司教の報告を元に話を進行していくようだ・・

 「勇者召喚って?、うちは魔王国とも付き合いがあるんですが・・・まさか、魔王退治に乗り出すのですか?」


 うちは魔王との個人的な付き合いもあり、良きお得意さんに成ってくれていた・・・ここで魔王退治とかなるとうちとしては利権を守る為にも魔王側に付く事も考えないと行けないがまた、面倒な事になってしまったな。

 

 「いや、そうじゃないかも知れないと考えておるのだ・・・確かにイスパニアは魔族に対して敵対している国で魔族を殺せば報奨金が出る程ではあるんだがな。、そもそも召喚自体がおかしい。」

 陛下は魔法退治なのか別の目的があるのか不明の為、この会議を開いたらしい・・・

 

 「召喚がおかしいというのは・・・」

 「あぁ・・・そなたはまだ、召喚の義の取り決めについては知らなかったのぉ」

 

 「では、私がその辺は説明しましょう」

 ハイドライド聖教国の司教が立ち上がった。

 

 「そもそも、勇者召喚とは魔王国との戦いに置いて、肉体的、魔法的にも優れる魔族に対抗する為、各国が一丸となって対応にあたるのが基本です。異世界から人を召喚すると言う事は世の断りを変える恐れがある為、最後の手段として用いる物で決して1国の独断でやって良い物ではありません」

 

 「また、その方法も決められており、勇者召喚する国はハイドライド聖教国と決められており、等教国で基礎訓練を行った後、アストラル聖騎士国で実戦訓練を行い、勇者支援国家は経済的、人的支援を行い、各国の戦士をアストラル聖騎士国に集結させて戦いに望むという決まりがあるのです。」

 

 「この度の勇者召喚はイスパニア王国の独断専行で有り神の神託もなく、神意背いた行いと言えるのです。」

 ハイドライド聖教国の司教が勇者召喚の方法や決まり事を話してくれた。どうやらここ300年は勇者召喚は行われていないらしい・・・

 

 「あのぉ、良いでしょうか?」

 ハイドライド聖教国は何を考えているのか知りたかった?、単なる面子の問題なのか?、自国への脅威としているのか?、信仰の問題なのか?

 

 「うむ、構わん。」

 「仮に勇者召喚が行われたとしてハイドライド聖教国はどうお考えなのでしょうか?」

 

 司教:「当教国としては勇者の即時引き渡しを求めます、引き渡しを行わない場合は周辺国による経済封鎖をお願いしたいと思っております、既にシルジア王国は領解して頂いて下りますし、アストラル聖騎士国もご賛同頂けると確信しております、ローラン王国、ラングルド王国は今のところ返答待ちです。」

 

 参謀総長が発言する

 「まあ、勇者召喚が事実としても引き渡しはしないだろうな・・・勇者召喚と一口で言っても簡単ではなく年単位の準備が必要だったはず、ましてや馴れていないイスパニアが召喚するんだ明確な目的があったはずだ・・・」

 

 陛下:「目的とは何だと思う、参謀総長」

 総長:「第一に魔王国の侵略と魔王の討伐、魔族の皆殺しと行った処でしょう、次に考えられるのは我が国への進攻かと」

 陛下:「騎士団長はどう思う?」

 団長:「私は我が国への進攻が目的かと思います、1昨年ちょっと前からこれまで続いてきたファンテーヌ領へのちょっかいが無くなっている事が本格的な進攻の準備のような気がします。」


 陛下:「ルーカスはどうだ?」

 ルーカス:「新参者の私としては計りかねますので、至急調査してみたいと思いますが・・・」


 陛下:「向こうは勇者召喚をしてるぐらいだ、間者の警戒は厳しいぞ!」

 ルーカス:「もとより人は使いませんので・・・」

 団長:「どういことかな?、ルーカス殿・・」


 ルーカス:「それはまた、別の機会にでもお話ししましょう。」

 陛下:「召喚したばかりなら最低でも1年は掛かるだろう、取りあえずルーカス辺境伯の調査の報告を聞いてからとしよう・・・」

 

 取り敢えず、会議はお開きとなった。

 少数の関係者だけでの勇者召喚への対策会議は意見交換だけで終わった。アズガルド辺境伯とおれが呼ばれ他のは進攻する場合に一番最初の侵攻先になる可能性が有る為だった。

 


 「陛下ちょっと宜しいでしょうか?」

 「別件でご相談が・・・」

 俺が声を掛けると結婚の相談だと思ったのか宰相だけを残し他の者は退出するようにと促してくれた。皆が退出した後に陛下と宰相だけ残って貰った。

 

 「どうしたのだ?」

 「実は3ヶ月ほど前、向こうの世界で122名が突然失踪するという事件が起きてます、もしかすると今回の勇者召喚と関係があるかも知れません。」

 

 「そうか、もし、そうだとして我が国に勇者が攻めてきたらどうするつもりだ?」

 陛下は冷静に聞いていたが一瞬、驚いた表情をしていた・・


 「攻めてくるとした恐らくルーカスの領地を通らねば成るまい、まさか、そのまま通すとは思えぬが、殺せるのか?」

 ルーカスにとっては同郷の人間だ、戦わせるのは忍びないが現実問題そうも言っておられない、場合によっては配置換えも検討しないと国が滅びる事になる。

 

 「そうですね、イスパニア王国から攻めてくるにしてもダルタニア王国を経由して攻めてくるにして私の領地かアメリアの領地を通るしかないでしょう。」

 俺は毅然とした態度でいたが内心は厄介な事になりそうだと思っていた。

 

 「武器を持ち、無断に領内に侵入する物は誰であっても敵です、容赦はしません、それが向こうの世界の人間であろうとも変わりはありません。」

 俺は遠慮する気はない、例え日本人だろうとも我が領地をあらす者は敵だと考えていた。

 今の俺にとって守るべきは此方の世界だ・・・だが、本音としては何も好き好んで同郷の者を殺したいとも思っては居ない。

 

 「そうか、辛い決断をしなくて済めば良いの・・・」

 陛下はひげをなで下ろしている。

 同郷の者が襲ってきた場合に此奴は戦えるのだろうか?、殺せるのだろうか、そうならないで済めばいいと思う。

 

 「有り難きお言葉・・・感謝します。」

 陛下の配慮、いや、不安かな?、まあ、そう思われても仕方ないだろうとルーカスは考えていたので気にはしていない。

 

 ゜*。*☆*。*゜*。*☆*。*゜*。*☆*。*゜*。*☆*。*゜*。*☆*。*

 

 遡る事3ヶ月前の日本

 修学旅行中の商業高校のバスの一団、7台が次の目的地に向かって山間部を走っていた。

 突然周りが真っ白くなるほどの光がきらめき、一瞬遅れて雷鳴の様な音がとどろいた。


 「「「きゃーーっ、うぁーーーっ」」」

 車内では恐怖で叫び声が響き渡っていた。..

 

 バスは急ブレーキを掛けて止まる。

 気づいた時には2台のバスはガードレールを突き破り谷底に落ちていた。1台のバスはガードレールにぶつかりながらも止まっていた。

 

 道路上には残された5台のバス・・・・


 不思議な事にガードレールにぶつかって止まっているバスの車内には誰一人として乗っていなかった。


 直ぐにレスキューが呼ばれ谷底に転落したバスの捜索が行われたが、発見されたのは運転手一人を含め合計5名の遺体だけで他の行方不明者は見つからなかった。

 もちろん谷底に流れる川の川下まで1週間捜索が行われたが、生存者はもちろん1体の遺体すら発見出来なかった。

 

 生徒、教師、ガイド、運転手、合わせて合計122名の人間が忽然と姿を消した。

 マスコミは現代の神隠しだと各社が報道しゴシップ記事では他国の陰謀説、中には宇宙人による誘拐などと書かれている週刊誌すら出る有様だった。

 

 ゜*。*☆*。*゜*。*☆*。*゜*。*☆*。*゜*。*☆*。*゜*。*☆*。*

 イスパニア王国 王城

 

 失踪したと思われていた者達はイスパニア王国の王城にいた。

 

 「ここは何処?、おぃ、どうなったんだ・・・、嫌ーーー」

 事故に遭った行き成り目のまでの場所が変わったので驚くなと言うのも無理はなかった、不安でうろたえている者、放心状態になっている者、パニックになっている者・・・そんな中で冷静にしていた生徒が一人、いや二人だけいた。

 

 相馬悠人と草日部リナの二人だけだった。

 二人は黙って前を見つめていた・・・二人は小学校からの幼なじみで家も近く小学校時代は毎日の様に一緒に遊んでいたが中学校になると二人の世界が広がると供に遊ぶ頻度は少なくなってきたが仲が悪くなった訳ではなかった。

 

 「みなさーん、落ち着いて下さい。静粛にお願いしまーす。」

  真っ白なドレスを着て宝石を各所にあしらった女性が叫んでいた。

 (良かったわ、どうやら成功したみたい、この人数、100名以上はいるみたいね。これならきっと戦力になるわ)

 

 暫くの間、ざわざわとしていたが、次第に落ち着きだした。

 「私はこのイスパニア王国の第一王女、マチルダ・エック・サルファーストと申します。

 「皆様、ご不安も有りでしょうけどまず、私の話を聞いて下さい、お仲間と話し合われるのはそれからでも遅くはありません。まず、私の話を聞いて下さい。」

 

 「静かにしろー、喋る奴は前に出ろ・・・」

 大声でそう叫んだのは2-Aの担任で有り、学年主任の早川進だった。

 「まず、話を聞こう、只騒いでも何の解決にも成らん、それでも騒ぎたい奴は俺の前にこい!」

 彼は生徒を威嚇すると強く拳を握って顔の高さまで上げた・・・

 学校では生徒指導もしている、硬派な教師だったが脳筋ではなかった。

 

 「配慮して頂き、有り難う御座います。」

 「「ここはイスパニア王国、王都にある王城の一室です。皆様方は神のご意志によってこの世界のこの国に送られて来たのです。先週の事でした。神からご神託が下り、異国の戦士100名ほど送ると教えられましたのでお待ちしておりました。」」

 

 「ど、どう言う事なんだ?、戦士とは何だ?、早く帰してくれ?」

 教員の一人がそう叫ぶとそうだそうだ、と皆が同調する様に叫ぶのだった。

 

 「お待ち下さい、今ここで幾ら叫ばれても帰る事は出来ません、帰る方法はただひとつです。それは隣国、イルメニア王国の王室にある転移の間から出ないと帰る事は出来ません。」

 

 「じゃ、その、なんだ、イルメニアかなんだかから帰れるように取り計ってくれ・・・」

 2-Aの担任、早川進が先程から代表で発言していた。

 

 「それでは今のこの世界の現状と皆様が召喚された理由をお話しします。」

 そう言うと王女マチルダは召喚された理由を話し始めた。

 マチルダが話す内容の90%は作り話なのだが誰もそれを信じるほかなかった。なぜなら他には何の情報もなかったからだ・・・

 

最後まで読んで頂きましてありがとう御座います。

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