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彼の日常を華やかに  作者: 湯浅
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彼の日常を華やかに

能天気+お気楽=バカ?

「一円を笑った奴は、一円に死ぬ」


冷静+ツッコミ=飼い主?

「お前が逝け」


問題児の担任+問題教師…「ちょっ待て、問題教師ってなんだ?!」



さぁ、お気楽男子の道を飾りましょう。




・社会で生きて行く為のスローガンを決めましょう。


<自分の身は自分で守りましょう>


<相手に主導権を握られないようにしましょう>


<ストレスを溜めすぎないようにしましょう>



「これ、スローガンか?」



<細かい事はスルーしましょう>



「最後のやつは突っ込んだ方がいいのか?つか真面目にヤレ」


「分かりましたよ。ヤりますよ真面目に」


「おいコラ、手に持ってる鋏を置け。意味が違ぇよ意味が!」


「注文の多いセンセーですね。僕に構ってる暇があるなら来週あるテストの解答用紙を下さい切実に」


真顔で言い切った瞬間、丸めた教科書で叩かれた。


道徳と表紙に書かれた教科書でか弱い生徒の頭を叩くのはダメでしょセンセー。



目でそう訴える僕を先生は、



「愛故だ」



と気持ち悪い事を真顔で言ってきた。


それが顔に出てたのかまた頭を叩かれた。

不良教師め。そのうち教育委員会にチクってやっかんな。



葛川 稔。


男とも女ともとれる名前の“生物学上ともに"男の子です。


最近の悩みは友人にデレが無いことです。


偏差値平均の高校に通っていて、現在二年生です。

周りから「よく進級出来たな。」

ともっともな事を言われました。



あ、目から汁が…。



そして自習だったはずの5限目の授業に何故か自分のスローガンを決めろと意味不明なことをほざきながら教室に入って来て冒頭から僕にいちゃもん付けて絡んできた迷惑な先生。


あんなに暴力的で口がチンピラ並に悪いのに不思議な事に生徒に人気がある。


いや、ほんと何で?



このクラスの担任、池上 達矢。


生徒は、たっちゃん先生と呼んでる。



まぁ、確かに他の先生より生徒目線でちゃんとみんな平等に接してくれてるけど、僕に対する扱いが一年の時から変わらないという僕にとっては死活問題なのだ。


「ってな訳だから明日職員室にある先生達のPCにたっちゃん先生の素行の悪さを盗撮した写真を送り付けようかと思います」


「いきなり何だよ。しかもやる事、陰湿だし盗撮は犯罪だボケ」


「あの人、僕の頭バコバコ叩きすぎなんだよね。手元にある物なんでも武器にしやがって、将来ハゲたらどうしてくれるんだコノヤロー」


「おい、聞いんのか?人の話聞け。…ダメだこりゃ、もう自分の世界に入ってやがる。てか、お前が叩かれてんのは授業に集中しないお前が悪いんだからな」


「してるよ、睡眠学習」



ドヤ顔で言えば目の前にいる友人に頭を叩かれた。


お前もか。すぐ暴力奮うから彼女が出来ないんだよバカヤロー。



「そこの馬鹿。思いっきり声に出てんぞ。彼女が出来ないんじゃなくて女に興味が無いんだよ馬鹿」



女に興味がない、だと…。

まさか、ホ



「てめぇ、顔に出てんだよ。シバき倒すぞ」



眼光鋭く睨まれ、慌てて顔を引き締める。

多分、良の将来像はたっちゃん先生だと思うな。



新倉 良。

短髪は金茶に染まり耳には、8個のピアスに着崩してる制服。


見た目、中身ともに完璧な不良な僕の幼なじみ、兼友人。


彼の両親は良い子という意味で名付けたのだろうが、見事に真逆に育ってしまった。


もしかすると子供の未来を予想して付けたのだろうか。


そんなアホな事を考えながらあの不良教師から頂いた欲しくもない数学のプリントを良に教えてもらいながら解答を埋めていく。


うん、来週のテストやばいな。







「そういや、お前今日家に来るんだろ。母さんが−Roze−のケーキ買って帰るらしいから早、」


「終わったー!!ほら良、早く帰るよ!」



良が言い切る前に残りの問題を数秒で終わらし、鞄に突っ込んで目の前で呆れた顔をしてる良を急がす。


だって−Roze−のケーキが僕を待ってるんだ!




「お前……いいや。ほら帰るぞ」



何か言いかけて止めた良は無視。


二人並んで学校を出た。






「亜里沙!愛してるんだ、お前だけを。一生掛かってやっとお前と恋人になれたのに、今更離れられるかよ!」


「私を裏切ったのは、貴方じゃない!愛してるなんて言葉を言えば私が帰ってくるとでも思ってるわけ?!ふざけんじゃねぇよ!」


「頼む待ってくれ!亜里沙ぁ!」


齧り付くように画面に釘付けになっていると急な衝撃に頭部が揺れた。


あぁっ、今凄く良いところだったのに!


「おいアホ。俺ん家で胸糞悪いドラマみるんじゃねぇ」


「わかんないかなぁ、この良さが。ドロドロ恋愛は世界の主婦の憧れなんだよ。今度、書いて見ようかな」


「お前に主婦の何が分かるんだ」


「ピチピチの男子高生に分かる訳無いじゃん」



きっぱり言えばまた叩かれた。


アルミの灰皿で。

地味に痛い…。



「だってぇ、この“リストラ寸前の会社員と婚約者の不倫話”って言うドラマ女子の間で流行ってるんだよ。ただでさえ女子力無いのに流行に乗り損ねたら女子終わるんだよ!」



女子で無くなったらどうするんだ!


男か?男になれってかぁ!?


あ…男だ。


「チクショー!せめて男の娘になってやる!」


「よし、病院行くか。脳外科だな。一辺、頭ん中見てもらおうな」


「ちょ、ちょっと!良くん?!ボケただけだから!マジに取らないでぇ!」




真顔で携帯を片手に立ち上がる良の足にしがみつく。


まぁ、蹴られたけど。



「だいたい何だよこのドラマ。題名がリストラ寸前の会社員ってなってんのに一話目の初っ端からリストラされてんじゃねぇか。つかヒロインのキャラが途中から壊れてんだよ。来週のドラマに伏せ字が入る勢いじゃねぇか」


「それが新鮮で良いんじゃないの?」


「アホ。昼ドラだって限度があるだろ」



呆れたように息を吐く良はテレビを消すとソファに座った。


仕方無しに僕はテレビを諦めた。








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