06-テランダ一家
ま、まにあわなかった・・・><。。。
6分遅れてしまいました。すいません…。
12/18 サブタイトル変更しました。
「ほら、さっさと。」
刀の先端でテランダ(盗賊)の首を突っつき、家へと案内させる。
・・・つくづくやってることが悪者だ。
「本当に妻子には手を出さないな?」
「しつこいな。ださねぇからさっさと案内しろってんだ」
ただし、移動速度が落ちるのは嫌だったので、テランダにつけた傷は彼の持っていた(今は俺が強奪した)先程半分使ったポーションの残りを使って全快している。
俺が洞窟から歩いてきた獣道。俺が予定していた道を道なりに歩いていると、途中に巨大な倒木があった。
それが目印なのか、倒木とは反対側に獣道から外れるテランダ。
俺もテランダも、無言でひたすら歩き続ける。・・・結構歩くな。
いい加減木の枝だとか根、蔦や藪にうんざりしてきて、刀で叩き切りつつ歩こうかなー、でも自然破壊だし、隠れ家っぽいのに位置バレしちゃうなー、とかしょうもないことを考え始めたころ。
「つ、ついたぞ。・・・なぁ、本当にかぞ・・・」
「しつこいって。危害は加えない、これは約束する。・・・襲ってきたりしなければ。」
「なっ!」
「驚くことじゃねぇだろ?襲われたら正当防衛だ。わざわざ俺が逃げてやる理由はないね。」
「さ、先に行って説得させてくれ!」
「逃げられるかもしれないのにそんなの許すと思うか?ほら、さっさと案内しろって」
「わ、わかったよ・・・。(頼むから臨戦態勢なんかで出てくんなよ…!)ここだ・・・。」
やっとうっとうしい森を抜け、そこにあったのは小さなログハウス。
中では料理でもしているのか、煙突からは煙が上がっている。
そして、外に切株があり、そこに腰かけて何かをさばいている少女。側には弓が置いてある。
その奥には畑があり、農作物が植わっていて、誰かが1人で作業しているのがうかがえる。・・・しかし、お世辞にも十分な量とは言えず、これだけでは食っていけそうにはない。まぁ、そうでもなければ人を襲ったり捕まえて売りとばす、なんて考えもしないだろう。
「ただいま、フィー。悪いがすぐに母さんを呼んできてくれ。」
「おかえり!とうさ・・・だ、誰っ!?そいつ!」
「いいから!母さんを呼んできてくれ。」
「わかった・・・。」
テランダに母親を呼んでくるように言われ、家の中に戻る何かをさばいていた少女。どうやらフィーと呼ばれるらしい。
活発なイメージの女の子。歳は・・・15,6だろうか?
テランダはそのまま奥の畑に向かって、
「フェイ!ちょっとすまないがこっちに来てくれるか?」
と声をかける。13,4くらいの少女はうなずくと、持っていた道具を近くにおいてこちらのほうへタタタッと駆け足でやってくる。しかし途中で自分の父親のそばに見慣れぬ人影を見つけ、警戒をあらわにする。
「父さん・・・その人・・・?」
「フェイ。大丈夫だ。いいからこっちに来てくれ。」
「はい・・・。」
「父さん!母さん連れてきたよ!」
「お帰り、アンタ。ところで怪しい人っていうのは誰だい?」
「か、母さん!」
母親らしき人を連れて戻ってきたフィー。
「それは俺のことだ。」
「お前さんは誰だい?」
「俺はヨシナオ=ミマナだ。お前ん所の主人に売りとばされるか殺されそうになった。ここにはその迷惑料を回収しに来たところだ。」
「え・・・。お、お父さん、嘘だよね・・・?」
「・・・嘘じゃない。俺は、この人を襲った。」
「で、返り討ちにして、拠点まで案内してもらった。慰謝料をたっぷりふんだくるために。」
「はぁ・・・。どこほっつき歩いてるんだと思ったらそんなことしてるとはね・・・。ウチのが迷惑かけたね、あがってきな。」
「母さん!こんなやつ家に入れるの!?」
「つべこべ言わないの。父さんが迷惑かけたせめてもの謝罪さ。フィー、フェイ。まだ作業が残ってるだろう?父さんに手伝ってもらってさっさと終わらせちゃいな。さ、遠慮なくは行っておくれ。」
そんなやり取りを経て、家の中に案内される。
「家財道具は必要最低限のものしか持って逃げてこなかったからね、殺風景だろう?」
「税が重くて逃げてきたんだっけか?」
「あぁ、ウチのから聞いたのかい?」
「ああ。しかも・・・」
「うん。払えないなら、うちの娘を二人ともよこせ、なんて言ってきだしてね。はい、そうですかと娘を差し出すバカな親はいないさ。で、家を捨てて逃げてきたのさ。」
うん、テランダの言っていた通りだな。
「昼ご飯は食べたのかい?もし食べてないなら、食べなよ。」
ベティさんの言葉に甘え、昼食をいただいた。
食べ終わったころになると、獣をさばき終わったフィーと、畑から少しばかりの葉野菜を収穫してきたフェイとテランダ。いまだに姉妹は俺のことを警戒しているようで、こちらをうかがってばかりだ。
「一応お前ら一家のステータス・・・というかジョブを見せてくれ。」
これで全員が盗賊とかだったら殺してしまおう。
「な、なんでお前なんかに!」
「なんで?お前の父親が盗賊だったんだ、家族がどうなのか知りたいのは当然だろう?」
「しし、知ってどうすんだよ!」
「もし盗賊だったら殺す。」
突っかかってきたフィーだったが、「殺す」は聞きなれてはいないようで黙ってしまった。
「おら、どうした?さっさと・・・」
「待ってくれ。たとえ家族が盗賊だったとしても、殺すのは俺だけにしてくれ。頼む。
こんなこと言える立場でないのは重々承知している。それでも頼みたい。」
今まで泣き叫んでいたとは思えない、据わった目つきをしてテランダが言ってきた。
「・・・、わかった。いいだろう。」
まぁ嘘だが。・・・どんどん下種な考えに走って行ってる気がする。
「みんな。ステータスを開いて見せるんだ。」
お手数ですが、良ければご評価よろしくお願いいたします…。