05-どっちが悪者?
何とか書けました^^;
「てめぇ、名前は?それと、有り金、持ち物をすべてだしな。」
これだけ聞けば俺が悪者に聞こえる様な要求を、手足の腱が切れて満身創痍で息も絶え絶えの男に話しかける。完全にはたから見れば盗賊か何かだよな。
「お、おれの名前は、ふぐぅ、ぐぅぅ・・・」
「はぁ?ふぐぅ?変な名前だな?おい、フグ。」
「ち、ちがぁぁぁ・・・。て、テランダ・・・」
「テランダ?そうか。で?持ち物は?」
「腰の・・・ポーチに・・・」
「よし、動くなよ。」
男の腰からポーチをはがし取る。中を覗くが、特に何かが入っているようには見えない。
「おい。何もないんだが。」
「手を・・・ひぐぅ・・・中にぐぅ、入れれば・・・。」
「へぇ?・・・ほんとだ。いろいろ入ってんのか。なぁ、これ、ひっくり返したらどうなる?」
「・・・全部・・・ぶちまけられる・・・。」
「そうか。・・・今からぶちまける。俺が聞いた道具の名前と、用途・使用法を教えろ。」
「わかった・・・。」
とりあえずポーチをひっくり返す。
・・・なんかいろいろ出てきたなぁ・・・。
「これは?」
「回復薬だ・・・。たのむ!一つでいい、使ってくれ!」
「どうやって?」
「中身をかけるか、飲むかすれば・・・。たのむ!一つでいいんだ!」
「どの位の効き目だ?」
「大体一つでこの傷くらいなら・・・!ち、ちがう!別に逆らおうとなんて思わない!半分でもいい!やばいんだ!そろそろ継続ダメージでレッドゾーン入ってんだよ!何なら、そこにある縄で縛ってからでいいから!たのむ、死にたくない!」
「はぁ。しかたねぇな・・・。」
まぁ、今貴重な情報源を失っても困る。と、男が言うように縄に手を伸ばすが・・・。
この縄か・・・。なんか怪しい。こいつの目がまだ余裕を失っているように見えない。むしろ、何かを期待している・・・罠か?
「この縄は使わない。ちょっと待ってろ。」
「・・・!待ってくれ!そろそろ体力がまずいんだ!今いかれたら死んじまう!」
・・・そういえば、レッドゾーンとか、体力がやばいとか、なんでわかるんだ?
「おい。そういえば何を言っている?レッドゾーンとか、体力がやばいとか。」
「あぁ?なにいってんだよっ!ステータス見ればわかるだろっ!これだよ!ステータスオープン!」
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テランダ 31歳
職業:盗賊 レベル15
HP 74/153 MP 12/12
スキル
農作業 Lv.4
肥料鑑定 Lv.3
短剣術 Lv.1
サバイバル Lv.3
状態:失血中(中)…外傷がある状態で傷を放置している状態。HPに-15/1min.補正。
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虚空にウィンドウが現れる。マジか。俺にもできるのか?
「ステータスオープン」(小声)
おぉ。
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ヨシナオ・ミマナ 37歳
職業:教師 レベル12
HP 83/92 MP 203/203
刀術 Lv.1
解体 Lv.3
尋問術 Lv.1
集団教育 Lv.3
復讐蘇生 Lv.-
状態:復讐鬼…状態に興奮(弱)を付与。犯罪歴のある者に対する戦闘力に補正
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なんか突っ込みどころがないか…?
そんな疑問は男の悲痛な叫びによって中断される。
「なぁ、わかったろ!?頼むから、半分だけでもかけてくれ!腹と背中からの出血がひどいんだ!」
「ほれ。・・・少しでも動いたらさらに切るからな。」
「わかってるよ!」
回復薬を開けて、4分の1ずつ腹と背中にかけてやる。
「た、たすかった・・・」
そういえば、あと5分だったもんな。
目に関してはただ腐ってただけみたいだ。
「じゃあ続けるぞ。」
こうして俺は盗賊から逆に荷物を強奪した。
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☆☆☆ただいまのステータス・アイテム
ヨシナオ・ミマナ 37歳
職業:教師 レベル12
HP 83/92 MP 203/203
スキル
刀術 Lv.1
解体 Lv.3
尋問術 Lv.1
集団教育 Lv.3
復讐蘇生 Lv.-
状態:復讐鬼…状態に興奮(弱)を付与。犯罪歴のある者に対する戦闘力に補正
アイテム
アイテムポーチ…物をある程度まで入れられる魔法具。
回復薬(大)×3.5(0.5は盗賊に使用)…外傷を治癒・体力+80。
トラップ用荒縄×1…触れた対象を捕縛する。効果持続時間は約5分。
毒投げナイフ×13…麻痺毒(弱)を塗り付けた投げナイフ。狩りなどに使用。
解毒剤×5…各種毒(弱)を取り除く。
所持金 3755ジル
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「おい。使われている効果と紙幣の種類を応えろ。あと、一食分がいくらなのかも。」
「シヘイ・・・?コウカ・・・?」
「金の種類のことだ。」
「一般的に使っているのは金貨、銀貨、銅貨、石貨で、パンとスープ、サラダが大体320ジルくらいだ・・・。」
「金の換算レートは?」
「カンサンレート・・・?」
「金貨一枚で銀貨何枚?」
「100枚だ。」
「銀貨一枚で?銅貨は?」
「全部一枚で100枚だよ!」
ちなみに今、所持金3755ジルの内訳は 銀貨35枚 石貨255枚 である。
・・・出すと重いが、ポーチのおかげでだいぶ軽い。
ていうか、俺の値打ちは最低3000ジルとか。10食分にもならん。
「お前、仲間は?」
「い・・・いねぇよ。」
「いるんだな。何人だ?」
「お、おれの妻と娘2人だけだ!頼む、殺さないでくれ!」
「お前の家にあるものをもらってくだけだよ」
「同じだよ!俺だって、好きで盗賊やってるわけじゃない!もともとは農家だったんだ!」
「農家ねぇ…?それで?」
「領主の野郎が私腹肥やすために税金あげてやがって、払えなくなったら娘を連れて行くって言われたから…!」
だからスキルに農作業か。
にしても、コイツを殺すのはなんだか忍びなくなってきた。
・・・こいつも家族を守るためなのか・・・。
男に同族意識がわいてしまった。見逃してやろうかな。
しかしどんな理由があろうと俺の命を脅かした敵だ。
それに、俺に襲い掛かってきたときはなんだか手馴れているような気がした。
・・・真偽のほどを考えていたが、とりあえず拠点に案内してもらうことにした。
「おい。拠点に案内しろ。」
刀を首元に突き付け、必死に妻子を守ろうとする満身創痍の男に妻子のいる場所を聞き出してとしている俺マジ鬼畜。 そのくらい、どっちが悪者かわかんなくなってきた。
「た、頼む!家族は!家族は許してくれ!」
「別に命はとらない。今回の迷惑料くらいはもらうけどなぁ?」
「なら・・・家族の身の保証をしてくれ・・・。」
「だから、命はとらねぇし、危害は加えん。俺は金や食い物で迷惑料を払ってもらうだけだ。」
「わかった・・・」
「罠にはめようとは思うなよ?少しでもそんなそぶりを見せたら・・・」
「お、思わないから!」
「ならさっさとしな。」
・・・ホントにどっちが悪者だ?
お手数ですが、評価などいただけると幸いです。