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無関心な私と奇人な奴ら  作者: 亜沙
私と奇人たち
5/7

私と金髪と絶句

投稿したはずなのなに、何故か更新されていなかったので再投稿します。


「…はぁ…」


本日二回目の妙なため息を吐き出した私の目の前には妙な光景が広がっていた。

金髪が彼女二人に少女漫画の王子様オーラ(勝手に命名)を振り撒き、そのオーラにあてられた彼女二人は物凄く蕩けたような顔で金髪を見ている。


……そろそろ収集がつかなくなってきた。


一刻も早くこの場から離脱したい。

と言うか、そもそも私…


場違いじゃないか?


今この場所に漂う空気はあきらかに彼処にいる金髪が彼女達を助けて手を差し伸べてます、みたいな雰囲気だし…。

…よし、逃げよう。


逃げてしまおう。

場違いの私が居たところで何もならないし、こうなったら金髪が彼女達を助けたと事実をでっち上げてしまおう。花が飛んでいそうなこの空気なら絶対誤魔化せる。それに警官に会ってしまえばこっちのものだ。

よし。そうと決まれば、さっさとこの場から立ち去ろう。


そう考え、一歩踏み出した瞬間、


「待ってくれっ‼」


…金髪に呼び止められ思わず立ち止まる。今度は何なんだ。

相手に失礼だと分かってはいるが、あえて振り向かないままでいる。


「名前を教えてくれないか?俺は君を助けることが出来なかった。その詫びをさせて欲しいんだ。だから、俺に君の名前を教えてくれないだろうか」


金髪はそう言いながら、一歩私に近づいて来た。

私は金髪の方へゆっくり振り返り、無表情で


「イヤだ」


金髪の申し出を拒否した。


断られるとは微塵も思っていなかったのだろう。金髪は呆気に取られているらしく、口を大きく開けていた。

私はそんな金髪を無視して逃走した。

てか、初対面の相手に名前を教えるつもりなどない。逆に教える人の頭を疑う。



交番でうたた寝しかけていた警官を起こし、さっきまで考えていた嘘の情報を吹き込んでから家に帰った。

帰る途中、何度目か分からないため息をつく。

さっさと帰って新刊を読みたい。




新刊はまさかの展開だった。

主人公が厚い信頼をおいていた幼馴染が実は主人公達を裏切っていたり、怪しい影を漂わせていたキャラが実は物凄く信用出来る相手だったり…


熱中し過ぎて読み終わる頃には朝日を迎えていた。

お陰で寝不足である。


まぁ、本を買ったその日は寝不足が当たり前と言うよく分からない習慣が出来てしまったせいか、別段体調に影響があるわけではない。

眠い以外は…。

ホームルームが始まるまでは寝ていられるだろう。そう考えていた私は忘れていた。今日は…


…朝礼がある事を。



朝礼ははっきり言って面倒臭い。

誰が朝から好き好んで体育館に集合し、校長先生や教頭先生、生徒指導、生活指導の先生方の話を聞かなければならないのか。

まぁ、大切な事なのは分かってはいる。

だけど、本を読むために徹夜した私には拷問と同じなんだよ…。


「…ふぁぁ…」


さっきから本日何回目か分からない欠伸が続いている。

眠い。どうしようもなく眠い。

いっそのこと体調不良だと偽って保健室で寝ていようか。でも、眠いだけで体調はこれでもかと言うくらい良好だしなぁ…。

立ったまま寝るという神技を持っているわけでもないし…。

そんなはたから考えればどうでも良いこと(今の私にとってはとても重要)を考えている私をよそに何故か私以外の生徒達が騒がしくなり始めた。何事かと思い、近くに居る女子たちの会話を盗み聞きする事にした。


「今日はどんな事を話してくれるんだろうね」

「そうだねー。でも、私はやっぱり話より顔に目が行っちゃうなー」

「でも、それは仕方なくない?だって真面目に話している時の顔すっごく格好良いもん、生徒会長」


…今思い出した。

今日は生徒会長の話もあるんだった。しかも、結構話が長い。つまり…


…私の睡眠時間が物凄く減るっ‼


今日、最悪かもしれない。


(内心こんなに落ち込んでいるのに、私の表情筋が全く働かないのは凄いことだと思う)


内心ため息をつきながら、生徒会長を待つ。

待っている間も周りの女子たちの生徒会長に対しての黄色い声は全く止まなかった。


「続いて、生徒会長の話」


司会の生徒会執行部がやっとその言葉を口にする。…長かったな、指導の先生方の話。


「生徒会長、三島雄大みしま ゆうだいさん」


そう言われた後すぐに堂々とした姿の男子生徒が一人ステージの横の幕から中央の教卓に向かって歩いて来た。

ライトに照らされた光り輝くブロンドの髪を靡かせ、全校生徒を前にしても怖気付いた様子も無く、真っ直ぐに見つめる瞳は何処までも澄み渡った緑の色をしている。

少女漫画から出てきてしまったのではないかと思わせる程整った顔立ちに、


私は絶句した。


昨日チンピラを見て怖気付いていた金髪がステージの上に、しかも生徒会長としての立場で私の目の前に居るからだ。


「マジかよ…」


そう呟きながら、普段使わない表情筋を動かし、眉間にシワを寄せた私は絶対に悪くない。…悪くない、はず。

読んで下さり有難うございました。


次も頑張って書こうと思います。

よければ感想なども頂けると嬉しいです。

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