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無関心な私と奇人な奴ら  作者: 亜沙
私と奇人たち
1/7

無関心・無興味・無表情(本以外)系女子

もう一つ書いている小説が鬱展開しかないので、少しばかし明るい小説でもと思い投稿しました。

安定の文章表現力0です。

ですが、読んでいただけると有難いです。

キーンコーンカーンコーン。


今日最後の授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。途端にクラスの中が騒がしくなる。帰りにどこかよって行こうとか、明日遊びに行こうとか、帰ったらクリア寸前のゲームをやるとか、色んな話で楽しげに会話していた。そんなクラスメイトをよそに私はさっさとカバンに荷物を詰め込んで足早に教室を出て行く。そんな私をクラスメイトは誰一人として気が付かない。

分かっている。私は所詮そんな存在なのだ。影の薄い。これがゲームの世界だったら、私はきっと名前すら出てこないモブキャラだろう。

でも、私は全く気にしていない。何故なら…


……私自身、自分の価値を理解しているからだ。



私が教室からさっさと出て行ったのは理由があるからだ。

一つは授業が既に終わっているのに何故まだ教室に残らなければならないのか。と思っているからだ。

二つ目は、今日は私の大好きな小説の最新刊が出るからだ。

基本的に私の思考は無関心、無興味、無表情がデフォルトのため滅多に表情も崩さないし、興味も関心も示さない。のだか、本だけは話は別なのだ。

言葉の綾ではなくて本当に本の虫になりたい私はだいの読書好きだ。本の話題になった途端、普段使わない表情筋も使われるし、興味も関心も示す。そんな私の一番のお気に入り作家の小説の最新刊がやっと発売されるのだから本屋に急がない私なんぞ私ではない!!

二段とばしで階段を降り、玄関へ急ぐ。もちろん廊下は走ってません。だって先生に注意されてる時間がもったいないもの。

もう少しで玄関だと思うと、自然に気持ちが浮ついてくるし、普段は緩まないはずの頬が緩くなっている気がする。


「せっ、先輩っ!!」


後ろからすごく緊張しているけど、勇気を振り絞って声をかけました感が半端ない男子の声が聞こえた。

瞬間、さっきまで緩んでいた私の頬が一気に引き締まり、いつもの無表情に戻った。

一つ息を吐いて後ろを振り返る。

そこには、私と同じ文芸部に所属していて、先輩のお姉様方には子犬系男子として可愛がられているやや童顔の、だけど普通にイケメンの一つ下の後輩、本山晴樹もとやま はるき君が何故か若干頬を染めなが立って居た(ちなみに私は二年生である)。残念なことに私は人間にも基本興味を示さない。だから、本山君が何故私を引き止めたのか全くもって分からない。


「何か用?本山君」


私は小首を傾げながら本山君を見上げた。

非常に残念なことに私の身長は150センチ程度しかない。それに比べて本山君は175センチ以上と言う驚異の身長なのである。だから当たり前と言うか何と言うか必然的に私が本山君を見上げる形となるのである。

見上げた私の目と本山君の目が会った。会った途端に本山君の体がカチンッと音が聞こえてきそうな位固まった。

目つきが良い訳ではないけど、ここまでカチンコチンに固まられるとさすがの私でも傷付く。

本山君はさっき以上にしどろもどろになっているし、これでは私が本山君を苛めてるみたいじゃないか。

本山君が一体何を言いたいのか全くこれっぽっちも分からないし、本山君が若干再起不能になっているから、仕方なく私は諦める事にした。


「用がないなら私は帰るね。それじゃあね、本山君」


私はそれだけ言って後ろを向く。思わぬところで時間を食ってしまった。急いで本屋に向かわないと。


「あっ、せ、先輩っ‼待って下さいっ‼」


一歩踏み出した瞬間、また本山君に呼び止められた。

今度は何かと渋々振り返ると、さっきより顔が赤くなった本山君の顔が結構間近にあった。近いんだけど…。


「せ、先輩、今から好きな作家さんの新刊を買いにいくんですよね?」

「そうだけど。それがどうかした?」


本山君が何を言いたいのか分からず、思わず首を傾げて尋ねる。

そると、本山君は一瞬ためらったような顔をした後すぐに顔を私の方に戻した。


「あ、あのっ、せ、先輩が良かったら、です、けど…い、一緒に、ついて行っても、い、いいですか?」


頬を極限まで赤くして本山君がそう言ってきた。本来ならば、彼の可愛さにノックアウトされ一緒に行くのが普通の女子なのだろう。だが、私は生憎そのような少女の感性を持ち合わせていない。


「ゴメン。本屋は一人で行く主義なんだ。だから本山君とも誰とも行けない。新刊だったら、私が読んだ後になら貸してあげれるから、それまで待っててね。それじゃあ、明日部活で」


半ば早口同然になりながら本山君にそう伝え踵を返してさっさと玄関を出る。

さぁ、これでやっと本屋に急げる。

そう思ったら、本山君に声をかけられるまで浮かべていた笑みが自然と戻ってきた。少し走りながら、私は本屋へ急いだ。


その後、二年生の下駄箱の前で四つん這いになってうなだれている子犬みたいなイケメンの姿は、しばらくの間噂になっていたという。

…まぁ、私の耳にはそんな噂は届かなかったけど。

読んで下さり有難うございました。

次も安定の主人公でいきたいと思いますっ‼

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