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ラブホテル

「ラブホの方がゲーセンで遊びまくるより安いよ!」

と彼氏が主張し、そういうことに興味のある年代だった刹那は、二つ返事でラブホテルに行った。

 しかしまだ花も恥じらう十七歳、一緒にシャワーを浴びようと言われて嫌々従うも

「見てくれよ、左に曲がってるんだ」

と悩ましげに言われても凝視はできなかった。

 彼氏も遠慮したのであろう。刹那はそこで初めてアダルトビデオを見て女優の喘ぎ声と表情を見て「痛そうだ、苦しそうだ」と言う感想しか抱かずにホテルを後にした。


 ここから刹那の苦しくも愛おしい、辛くも幸せな日々が続く。


 彼女は腹が痛くてもデートに行こうとして、週に三回はデートをしていたが、学校は休みがちになり、心配した親友が実家に直接電話してきて、刹那が学校に行くように見せかけて家を出てからコンビニや古本屋で立ち読みしたり、カフェでパンを頬張りながら自習していることが明らかになった。

 刹那の母親は虐められているのではないかと刹那を問い詰めたり精神科に連れて行ったりブランド物のバッグをデパートで買い与えたりし、父親は

「刹那ちゃんはいつもいい子の仮面をかぶっているからね。お父さんも万引きをしたことがあるよ。」

と、優しく刹那の暗い枕もとで囁いた。

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