三十七尾 黒く染まった狐
2020122 修正
八雲紫が西行寺幽々子の元に行っている丁度その頃、ラグナは博麗神社で謎の激痛に襲われていた。
「うぐーーがぁああ?!」
「な!?ラグナ大丈夫!?」
突然のことに横で茶をのでいた博麗神社の巫女、博麗霊歌は飲んでいた湯呑を落としていた。
「だいじょ――うっ⁉ ぐあぁぁ!」
「ちょ、大丈夫じゃないじゃん⁉」
「うぐあああああああああああああああ」
「しっかりしてラグナ!」
「うぐう?ああああああ?!」
「紫を呼ぶ!? あぁでも紫の居場所知らないし」
もがき苦しむラグナの側であたふたとしている霊歌はああでもないこうでもないと頭を抱えていた。
しかし、そんな霊歌をよそにラグナの苦しむ姿がだんだんと酷くなっていた。
「うう――――あがああああああああああ」
「藍ちゃんに連絡を取るからもう少しがんばって」
「あ―――――あっがあああああああ?!!」
霊歌が通信札に霊力を込めようとした瞬間、彼女の視界は真っ白な光に包まれた。
「ゴホ!? 何!?」
気づくと部屋の中ではなく境内に吹き飛んでいた。幸いにも傷一つなく無事だった霊歌はラグナのいる部屋を恐る恐る覗き込んだ。
「ラグナ……? ねえ、大丈――」
そこに居たのは黒い九つの尻尾を揺らし霊歌へ悪意、殺意を飛ばす黒い狐だった。
「グルルルル……ガア!」
黒い狐は咆哮を上げると尻尾からビームのようなものを霊歌に向けて放った。
「ちょ、危な?! いくらなんでも許さないよ!?」
横に回避した霊歌はビームをよけ札を黒い狐に向かって投げ付けた。
「歌符【旋律伝奏】!」
「ガァ!!」
しかし弾幕はラグナと思わしき狐に届く前に消えてしまった。
「はぁ!? なんで消せるの?! これは藍ちゃんに連絡取るしかないわね」
すぐさま持っていた通信札を発動する。するとすぐにふわふわした声が札から聞こえてきた。
「藍ちゃん?!」
「はい?誰でしょうか?」
「霊歌! それよりやばい!」
「ど、どうしたんですか?」
「ラグナがやばい! 紫に伝えて!」
「お姉さまがですか? しかし今は紫様は出かけてますよ?」
「どうにかして伝えて! ラグナが黒い狐になっきゃあああああ」
「霊歌さん!? どうしたんですか!?」
◇
「ゴホ! フーフー」
咽た拍子に血の塊を吐きだした霊歌はもう戦える状況ではなかったが落としたお祓い棒を握りしめ今だ荒れ狂うラグナに向かって飛び込んだ。
つづく




