閑話 動き出す針
20200101 修正
普段より遅めの朝食を食べた後、私は藍に少し出かけると伝え屋敷を出た。
私が向かったのは大切な友人、西行寺幽々子屋敷だ。
「あの子、元気かしら最近は忙しくて行けなかったから……」
境界を操る程度の能力でスキマに潜りさらにスキマの中でスキマを開くとそこは幽々子の住む屋敷だった。
「幽々子。居る?」
私は幽々子が普段いる場所に行ってみたがそこには幽々子はいなかった。
出かけているのかしらと思い帰ろうか悩んでいると閉じていた襖が開かれた
「幽々子様。部屋にいら……紫殿か。幽々子様は一緒ではないのですか?」
襖を開けたのはこの屋敷で庭師をしている剣の達人。魂魄妖忌であった。
「こんにちは妖忌。幽々子はどこいるのかしら?」
「はて、お嬢様なら先ほどまで桜のないほうの縁側にいたのですが……部屋に戻って来てないのですか?」
「ここに入るときにそこから来たのだけれど幽々子はいなかったわ」
「ふむ、もしや居間のほうにいるのかもしれませんな」
「居間は行ってないから見に行ってみるわ」
私がそう言って部屋から出ようとすると妖忌から呼び止められた。
どうやら妖忌も行方の知れない幽々子のことが心配なようで一緒に探すとのことだ。別に一人で探すのも効率が良くないだろうと思い私は二つ返事で妖忌の提案を承諾した。
◇
結論をいうと居間には幽々子は居なかった。どうやら幽々子は居間へは来ていないようだった。
「いないわね」
「幽々子様はどこにいらっしゃるのか……」
「お風呂場とかは?」
「風呂場ですか……今さっき準備していたのでいないと思われます」
「台所は?」
「見に行きましょうか」
「ええ」
◇
私たちは再度頭を抱えることになった。幽々子はどうやら台所にも来ていないようだ。最後のあても外れた私たちは声に出さなかったが忌々しいあの場所を思い浮かべていた。
「台所にもいないわね。そういえば桜……西行妖のある縁側にいるのかもしれないわね」
「お嬢様が近づくわけがありません!」
「とにかく見に行くわよ」
「分かりました」
そうして西行妖のある縁側で私たちが目にしたものは……
「な……!?」
「お、お嬢様!?」
つづく




