表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方狐著聞集  作者: 稜の幻想日記
幻想郷
56/152

閑話 隙間と末の狐

2019 1104

 八雲家の一日は八雲紫に式、藍の一声で始まる。



「紫しゃまぁぁ!」

 

 どたどたと廊下を走る音が私、八雲紫の部屋と近づいてきた。

この足音は愛しの式、藍のものか。


「どうしました藍。八雲の名を名乗るのなら淑女でなければなりませんよ」



「あう……ごめんなさい紫様」


「あ、いえ。怒っているわけではないのですよ? ところで藍、慌てて駆け込んできてどうしたんですか」


「忘れてた! 朝食の準備ができました!」


「そう、じゃあ食べに行きましょう」


「はい!」



 手をつないで居間へと二人で向かう。藍は耳をぴこぴこと揺らしながら今日の朝食について話している。

いつもの光景だが、この平穏な時間が愛おしい。



「どうですか紫様!」

 

 真っ白な米を口に運ぶ。口の中に広がる甘味が美味し。次に今朝捕ったという山女魚の塩焼きを頂く。

身がほろほろしておりちょうどよく振られた塩が山女魚のうまみを引き出している。

そして最後に味噌汁を一口飲んだ。味噌、豆腐、藍の大好物の油揚げが口の中を踊っているようだ。



「とても美味しいわ。藍、頑張ったわね。味噌汁なんてすごくよくできてるわ」



「えへへ、でも紫しゃまには負けますよ」


 藍は明るい笑みを浮かべながらお茶を注いでくれた。

程よい苦みが口の中に広がっていく。いつの間にかお茶を淹れるのも上手くなったようだ。


「お茶を淹れるのが上手くなったものね。さて仕事に行ってくるわ。晩御飯は何がいい?」


 

「えーと、今日は寒いのでお鍋がいいです!」

 

 少し考える動作をした後藍は手を動かしながら答えた。あまりの可愛さについ頭を撫でてしまう。

まあ、藍が気持ちよさそうにしているから良しとしましょう。

  

「わかったわ。それじゃあお留守番任せたわね」


 そういって私はスキマを作り中に入った。



     ◇


 主人が仕事に行った後、藍は日頃の日課である掃除、洗濯を終わらせて暇をつぶしていた。 



「ふぁ……ねむたい。そうだ」


 藍は何かを思いついたようで縁側つくと尻尾を抱くように丸くなって眠ってしまった。




     ◇


 


「ただい……風邪引くわよ」


 仕事から帰ってくると縁側に丸まった藍が眠っていた。その姿をみてくすりと笑い寝室からひざ掛けをを持ってきて藍へとかぶせた。



「さて、夕飯を作りましょうか」



「ん、んにゃ? この匂いは」



「あら、やっと起きたのね。鍋もうすぐできるわよ」



「紫しゃま。おかえりなさいです」


 まだ、眠そうに目をこする藍の頭をなでてやるとこそばそうに頭をふるう。どうやら、目がしっかりと覚めたようだ



「藍、寝るならちゃんと布団で寝なくちゃダメよ。風邪でも引いたら大変だから」


「わかりました!」


「じゃあ食べましょうか」

 


 ◇


  

居間へ着くといい匂いが部屋を満たしていた。藍は我慢できなさそうに目を輝かせている。



「それじゃあ食べましょ。いただきます」


「いただきます!」

 


「お肉ばかりじゃなくて野菜も食べなさいよ」


 藍の食べる姿を肴に酒を飲んでいると藍が不思議そうな顔をしてた。どうやら何を飲んでいるのか気になるようだ。

 


「紫しゃまそれなんですか?」



「これはお酒よ」



「お酒ですか」



「飲む? 少しぐらいなら藍でも飲めると思うけど」


 好奇心旺盛な藍は目を輝かせながら自分の湯呑を差し出した。少し注いでやると藍は注がれた酒を一気に飲み干した。



「ありがとうございます! ゴク……フニャ?!」



「あら、お茶じゃないんだから一気に飲んだりしたら……遅かったわね」


 そこには顔を赤くした藍が居た。どうやら酔っぱらってしまったようだ。

部屋へ運ぶため藍を抱える。




「ゆかりしゃま~大好きですぅ」



「私も大好きよ藍」




「ゆかり……しゃま……すぅすぅ」



「鍋は明日雑炊にして食べるとしてこの子を布団に連れて行かないといけないわね」


 そういって私は藍を抱えて寝室へと向かった。




つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ