三十五尾 再会する狐たち
20191013 修正
早朝、ある部屋でラグナは寝ていた。薬の効力が消えたのがつい先ほどだったのだ。薬が切れた途端倒れこむように眠ってしまった。
「うぅ……絶対に……仕返し……するんだ」
うなされながら寝言を呟いているラグナの顔を覗き込む一人の少女がいた。
その少女は真っ白でまるで雪のようだ。少女はラグナの顔をそっと撫でていた。
「お姉さま」
少女はラグナのことを姉と呼び愛おしそうに顔をなで続けていた。
この少女はラグナの妹、雪夢だった。
「うぅ……うん?」
直後、雪夢は口には表せない表情を浮かべ。顔を手で覆った。
「つめたっ?!」
突如、顔中が冷えたことに驚き、飛び起きたラグナは目の前にいた雪夢と目が合った。
しかし、ラグナは妹である雪夢の顔をみると途端に顔が真っ青になっていた。
それも仕方ないだろう、目の前にいた妹が般若の如く歪んでいたのだから。
「お姉さま! なんでこんなにも寝起きが悪いんですかねぇ?」
「そ、それは久しぶりに布団で寝たから!」
「へぇーいつ以来かな?」
「に、二年ぶりです」
「んー? 本当に? 嘘、ついてますよね?」
雪夢の後ろがだんだんと歪んでいるのを見たラグナは真っ青だった顔が真っ白になっていた。
「う、嘘です。二日前に幽香の家で寝ました」
「お姉さまは本当に起きれない! どうせ私が山に残った後も
一人じゃ起きれなかったんでしょ!?」
「はい……その通りです」
「幽香さんの家のに泊まった件については後程聞くとしましていつこっちに来たんですか」
「三日前だよ。紫に呼ばれてきた」
「何年ぶりでしょうか?」
「……五年くらいだろうか」
雪夢は何も言わずにラグナへと体を預けるように抱きついた。
ラグナは何も言わずに雪夢の体を支え頭をなでる。
「我々、妖怪にとっての五年は数日前のことですがやはり、会えないのはさみしかったです。でも、こうして会いに来てくれたんで許してあげます」
「ありがとう。そういえばお前の奥さんに会ってなかったから挨拶をしにいきたいんが案内してもらえるか」
「いいですよ。私の奥さんに合わせてあげます!」
そういと雪夢はラグナのそばから離れ、尻尾を振りながら部屋を出て行った。
そして、その後ろを追いかけるラグナの尻尾もまた揺れていた。
つづく




