三十四尾 地獄の着せ替え
20190913 修正「
「っ痛……どこだここは」
目が覚めると知らない天井があった。どうやら桜鬼の屋敷のどこかにいるようだ。
私は体を起こすと何とも言えない違和感に襲われた。
「なんでこんなに天井が高く感じるんだ?」
とりあえず部屋から出ようと扉を探す。扉はすぐに見つかったが問題が発生した。
「取っ手に手が届かないだと?」
背伸びをしても届かない、空を飛ぶにも力が残っていないため飛べない。どうするかを悩んでいると不意に扉が開いた。
そこにいたのは先の戦いの商社である桜鬼だった。
「おや、ラグナもう起きたのかい? それにしても本当に効くとはね」
私を見下ろし(・・・)ながら意味深なことを呟く桜鬼から少し距離をとり現状を整理するまでもなく私がどういう状況なのか察してしまった。
「まさか……桜鬼! 私に何かしたな⁉」
「正解さ、ちょいっと薬をもらせてもらったよ。今のお前さんの姿笑えるよ」
桜鬼はにやにやと笑いながら鏡を私に向けた。そこに写っていたのは身長が縮み始めて永琳と出会った頃の私が写っていいた。
「な……なに……これ!?」
「いやぁまさか、河童の作った薬が本当に効果があるとは」
「桜鬼、元に戻れるのか⁉」
桜鬼を睨みつけながら聞くが桜鬼はただただ笑っているだけで何ともないといった風だ。
「いやー今のお前さんが睨みつけても怖くないのぉ。むしろ愛いほどやな。心配せんでも一日たてば薬の効果は消えるさそれまでは玩具になってもらうかな」
「絶対に嫌だぞ!」
そういって部屋から逃げ出そうとしたが桜鬼によって拒まれてしまった。それどころか拘束までされ遂には身動きが取れなくなってしまった。
「く、離せ! いったい何をするつもりだ!」
「そうだな……末の娘がいま家出してしまってな。せっかく服をこしらえてやったのに何が不満なんだか『こんな服着れるか!』って言うんだよ。だからお前さんに着てもらおうかの」
そういうと桜鬼はどこからか取り出した服を私に着させていった。中には西洋の服と思わしきものもあり私は心の中で確かにこれは家出したくなるなと思ったが口には出さないで置いた。
そんなこんなで桜鬼による着せ替えは薬の効果が切れるまで続いた。
「二度とごめんだ……」
つづく




