表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方狐著聞集  作者: 稜の幻想日記
古代幻想入り編 陰陽師はじめました
43/152

二十七尾 宴会と桜の木

私たちは紫の提案でで小さな宴会を開いていた。三人だけの静かな宴会だ。



「幽々子、だいぶ飲んでいるが大丈夫か?」


「えぇ~大丈夫よ」


 酔っているのか酔っていないのかわかりにくい幽々子の言動を見た紫が


「ダメだよ。もう出来上がってるわ」

 と顔を酒で真っ赤にさせて呟いた。どうやら紫はかなり酔っているようだ。

 紫が酔うのも無理はないだろう。なぜなら私たちは昼から飲み始めたのだから。今は丁度日付が変わったくらいの時間だろう。私でさえかなり飲んでいるのだ。だが、幽々子は始まった時からずっとこの調子で酒樽を一人で空にしていた。


「幽々子、だいぶ強いんだな」


「そう~? あ、ラグナ。酒がなくなっているわよ。注いであげる」


「あぁ、すまない」


 そう言って幽々子から注いでもらった酒を一口で飲み干す。辛い。だがこの辛さが染み渡る感覚が心地よいのだ。



「しかしまぁ、綺麗な桜だな」


 怪しげな雰囲気でたたずむ桜を見ながら飲む酒はなかなか乙なものだ。

 


「そうね。とても綺麗ね。でも、あの桜の木、西行妖のせいで幽々子は――」


「なるほど。あれが元凶か」


 西行寺幽々子には死を操る程度の能力を持っている。死を操る。それは神の力と一緒だと言ってもおかしくないものだ。そして幽々子はごく普通の人間だ。それもか弱い少女なのだ。

精神崩壊を引き起こしていてもおかしくない。


「封印なんてどうかな?」


「無理ね。あれに近づくだけで死ぬわよ。大妖怪でも関係ないわ。あれはそういう呪いに近いものなの」


「呪いか……打つ手なしとは恐れ入った」


 ため息をついて酒を飲みほした。あぁ、苦い。



 何ともいえない感覚が私を満たす。虚しさが残ったまま、その日は解散になった。



つづく


2018/11/29 修正 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ