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東方狐著聞集  作者: 稜の幻想日記
古代幻想入り編 陰陽師はじめました
31/152

十九尾  狐と鬼

 輝夜達と別れ早くも一週間が過ぎた。別れる時に永琳が『私も一緒に行くわ!』と駄々をこねて幽鬼と佐助から宥められていた。

永琳と話し合い諦めてもらったが少し罪悪感がある。 

 ところで、私たち姉妹は何をしているかと言うと陰陽師を辞めてまた旅に出ることにした。都にも用がなくなったしほかの陰陽師、主に蘆屋道満という晴明を敵視している男が私たちのことを嗅ぎまわっているらしい。

そして、私たちがいる場所は……



「お姉さま。ここってもしかして」

 さすが私の妹、ここがどこかわかっているとは。


「あぁ、ちょいっと鬼に会おうと思ってな」


「はぁ?鬼に会いに!?」


「どうどう、落ち着けよ。私も鬼に喧嘩を売ろうと思ってきたわけじゃないよ。ちょいっと懐かしい妖気を感じてねぇ」



「旧友とかですか?」


「旧友ねぇ……どうなんだろうね」


「はぁ……? まぁ、会ってみたらわかるんですよですよね」


「うん、会えばわかるかもしれない」



 



 

 「キサマら直ちに立ち去れ!」




 山の中を出鱈目に走り回っていると白狼天狗が釣れた。


「お姉様。犬が釣れました!」


 雪夢の言った言葉に白狼天狗は顔を真っ赤にさせ吼える。



「な! 私は犬ではない! 犬走いぬばしりもみじという立派な白狼天狗だ!」 


「ちょ、狼なのに犬が付いてるよ。プププ」


 日頃の鬱憤を晴らすかのように雪夢は目の前の白狼天狗を馬鹿にしていた。ラグナは呆れた様子でその光景を見ている。


「き、貴様! ここが鬼と天狗のすむ妖怪の山と知っての発言か!」


「椛ちゃんって言ったかしら? この山は鬼神が住んでいる山なのかしら?」


 キャンキャン吼える白狼天狗にラグナは優しく問いかけた。



「鬼神様の桜鬼様になんのようだ!」


「あーあ名前いちゃったよこの子」


「あっ!? ど、どうしよう。怒られちゃうよ……」


 キャンキャン吼えた後は体をがくがくと震えさせている白狼天狗にラグナは鬼神と呼ばれた者の名前を再度問いかける。


「桜鬼って、もしかして鬼神桜鬼?」


 



「あんたお母さんのこと知ってるのかい?」

 

 後ろから声が聞こえた。ラグナ達が声のもとを向くとそこには一人に鬼がたっていた。



「貴女は?」


「あ、あなた様は鬼の四天王が一人。星熊勇儀様!」


 白狼天狗は名前を呼びながら鬼の前に跪いた。名前を呼ばれた鬼は白狼天狗に目もくれずラグナ達を見た。



「その子の言った通り、私の名前は妖怪の山鬼の四天王の一人、星熊ほしぐま勇儀ゆうぎだ」


「私はラグナ。そしてこの子が雪夢」


「あの勝手に自己紹介はやめてもらえませんか? お姉様」


「あぁ、すまない。そして勇儀といったな。お母さんと言うのはどういうことだ?」


「本当にお母さんの知り合いなのか? もし嘘ならだたじゃおかないよ?」

  

 先ほどまでの雰囲気から一変して勇儀の体から妖気が漂い始める。勇儀の後ろにいつの間にか回り込んでいた白狼天狗の犬走は泡を吹いて気絶してしまっている。

この鬼から発せられる力強い妖力は山を揺らした。


「私の知る桜花は鬼だったけど正直本人かはわからない」


「ほぉ、そうかい。ならついてきな。お母さんに合わせてあげるよ」


「いいのか?」


 勇儀はにやりと笑みを浮かべると楽しそうにいった。


「もしお母さんが知らないって言ったら私が殴り飛ばしてやるよ」


「それは勘弁願いたいな。雪夢、透明にしたつららを下ろせ」


「しかし……わかりました」


 目の前にいる鬼、勇儀への警戒が解けない雪夢は納得がいかないと言いたげにしぶしぶ従った。


「終ったかい? ならついてきな」


「まった。この白狼天狗はどうするんだ?」


「あぁ、この子なら気にしなくていいよ。もうすぐ迎えがくる」


「迎え?」


 勇儀の言った迎えが気になるラグナだが一人で進んでいく勇儀を追いかけることを優先した。しかし、雪夢は警戒を解いておらずその目は勇儀の背中を睨みつけていた。



「そういえばあんた達って強いのかい?」


 いきなりの質問にラグナは少し驚いたがすぐに落ち着きその質問に答えた。


「私より強い奴はたくさんいるよ。私はまだ成長途中だ」


 それを聞いた勇儀は楽しそうに笑った。ラグナはなんで笑われたかわからなかったようだが笑いが止むと勇儀は言った。


「そうかい、ならあんたと戦うのが楽しみになってきたよ。なんなら、ここで戦うかい?」


 いつの間にか勇儀と戦うことが決まっていたようだ。ラグナは面倒な奴に目をつけられたという顔で雪夢を見たが雪夢に知りませんという態度で返された。



「さて、何やかんやで私たちのお母さんが住む場所についたわけだが……本当に知り合いなんだろうね」


 先ほどと同じように妖気を漂わせながら勇儀は笑った。








つづく

2016 1209 修正

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