八尾 宴会の準備
諏訪子と神奈子と信仰云々の話をして一週間がたった。今日も私の周りは平和だ。そろそろ旅に出てもいい頃だろうか……
そういえば諏訪子の神社、洩矢神社を「守矢」にして表では諏訪子を信仰しているようにみせ裏で神奈子に信仰がいくようにしたらしいが私が提案した癖に自分でもいまいちわかっていない。
そしてなぜか私は守矢神社に縄で縛られて居る。意味が分からない。
「ねぇ。なんで私はここに拉致されているんだ? たしか、自分の神社で寝ていたはずなんだけど」
「あぁ、ラグナの使った術を使ってみたんだよ」
「へぇ。私にしか使えなかったはずなんだけどな」
「まぁ、簡単にはできないけどね。それより宴会するよ!」
「はぁ? 私はいいよって!? こら蛇をのけろって足を縛るな!」
あっというまに手足を縛られた……動けない。
「諏訪子。ラグナは呼べたってどういう状況だよこれ」
◇ 神様説明中
「なるほど。ラグナ、よく聞いてくれ」
「な、なによ。改まって」
「私たちはさ、ラグナの提案のおかげで戦わずにすんだんだ。だからお礼を込めて宴会を開こうって思ってね」
「二人とも……」
「まあ、半分は私達が酒を飲みたいってのが理由だけどね」
「おい! 私の感動を返せよ!」
「まぁまぁ。という訳で今夜、宴会を開きます。神奈子、人を集めろよ!」
「わかったよ。私も参加する。その前に神社に戻らせてくれ」
「わかった。ほら、あんたたち解きな」
おっと。蛇たちが縄を切ってくれた。とりあえず、神社に戻るか。
「また夜に来るよ」
「うん、待ってるよ」
◇ 狐、移動中
飛ぶ速度が上がってる気がするな。しかし、まさか帰ってくるのに三時間も使うとは……巫女さん探さないと
「ラグナ様! いったいどこに行っていたのですか!」
あちゃー。怒っていらっしゃる。
「あー諏訪子に拉致されてました」
「そうやってまた人のせいにする! 今日という今日は許しませんよ。お話し合いです!」
「それは好都合だ。私も話したいことがある」
「……? ラグナ様も?」
「あぁ。とりあえず中に入ろうか」
「わかりました」
◇ 移動中
「それで、話とは?」
「あぁ。そろそろ。旅に出ようと思う」
「旅、ですか」
「あぁ。旅に出たら数百年は戻るつもりはない。最悪戻らないと思ってほしい」
「ですが、村の人々が納得しないのでは」
「それは大丈夫だ。この神社が結界の役割をするようにいじってあるし。村長には話をしてある。それでだ、巫女さんも残りの人生を好きにしてほしいと思っているんだ」
「ラグナ様。一つ言わせてもらってもよろしいでしょうか」
「な、なんだ」
「私がラグナ様の巫女をやめるなんてことは絶対にありえません。たとえこの神社からラグナ様がいなくなったとしても私は永遠にこの神社の巫女を続けますよ」
「そうか。なら私がいない間もここを任せてもいいか?」
「えぇ。任せてさい。ただ、三年に一度でいいので顔を見せてもらえると嬉しいです」
「わかったよ。そういえば夜から守矢神社で宴会をするんだけど一緒に来るかい?」
「いえ、私はやることがあるので。あ、神奈子様が美味しいと言っていたお酒持っていきますか?」
「そうだな。四本ほど用意していくれ。私はもう少し寝るよ」
「わかりました。では」
ふふ、巫女さんの説教を回避した! さて、霊力回復のために少し寝るか……
つづく




