epilogue 地上の狐は月を見る
「そういえばラグナ。本当に身体なんともないの? 」
「あぁ、なんともないよ。しかし、まさか敵に助けられるとは思ってもいなかったな。今度会ったらお礼を言わないといけないな」
「お礼なんてしなくてはいいわよ! あれは自分たちが助かるために恩を売りつけたみたいなもんなんだから」
そう言って霊夢は手に持っていた酒を一気に飲み干した。
月での一件からどうやら霊夢はストレスが溜まっているようだ。それも仕方ないだろう何せ八意永琳の掌で踊らされていたのだから。
しかも踊らされていたことに気づいたのが全て終わった後だ。流石としか言いようがない
「それにしても思い出すだけで腹がたつわ。魔理沙! お酒!」
「おいおい霊夢、流石に飲み過ぎなんじゃないか?」
「五月蝿いわね。飲まないとやってられないのよ!」
酒で顔を赤くさせながら魔理沙に注いでもらった酒を一気に飲み干すと魔理沙の持っていた酒瓶を取り上げそのまま飲み干した。
「あ! おい、霊夢。とっておきの酒を全部飲みやがったな⁉︎」
魔理沙が霊夢から瓶を取り返すと中身は既に消えた後だった。
「さっさと飲まないあんたが悪いのよ」
そう言って懐から新しい酒瓶を取り出した。しかし、自分の杯に酒を注いで飲もうとした瞬間、横にいた魔理沙が杯を奪い取り中身を飲み干してしまった。
「あ、魔理沙! あんた、人がせっかく注いだ酒を飲んだわねっ⁈」
「へへっ、さっさと飲まないお前が悪いんだぜ? 」
「魔理沙、表出なさい」
「何を言っているか私にはさっぱりわからん。なんせここは表だからな」
次の瞬間二人は空へ飛んで弾幕ごっこを始めてしまった。喧嘩している二人だがその表情はどこか晴れ晴れとしている。
「あの二人仲がいいわね」
突然背後から声をかけられる。後ろを振り向かず、戦っている二人を見ながら声の主に対応する。
「そうだな。貴方達にやられて鬱憤が溜まっていたようだ」
どうやら、対応があっていたようだ。声の主から僅かながらに発せられていた殺気が消え穏やかな雰囲気が辺りを包んだ。
「あら、やられたのは私たちなんだけど?ところで私の渡した霊力は馴染んだかしら」
「あぁ、その節は助かった。礼を言わせてもらうよ」
「別にお礼なんていいわよん。私も楽しめたし。でも今度は貴女と戦いたいわね」
「はは……それは勘弁願いたいな」
そう言って後ろを振り向くとそこには誰もおらず飲みかけの器が一つ置かれていた。
どうやら私の様子を見るために現れただけのようだ。
「ラグナ様! 」
聞き覚えのある声が近づいてくる。顔を見上げるとそこにはうさ耳が特徴的な娘、鈴仙・優曇華院・イナバと玉兎の二人がいた。
「鈴仙じゃないか。それと鈴瑚と……」
「あ、あなた様はあのラグナ様ですか⁉︎ 私大ファンなんです! 握手してください!」
「こら、清蘭。先に挨拶しないと」
「あ、ごめんなさい! 私は清蘭って言います。ラグナ様の大ファンです!」
「清蘭か、よろしく頼むよ。ところで二人は今どこに住んでいるんだ? その様子だと月には帰ってないみたいだが」
「この二人でしたら今、永遠亭で一緒に住んでますよ。ところでラグナ様、お師匠様が連絡が無かったことを心配してましたよ」
「あーすまない。月から帰ってきてからつい昨日まで寝てたんだよ」
「え!? ラグナ様どこかおわるいんですか」
「いや、ただのガス欠だよ。少し月で無理をしたみたいだ。永琳に今度遊びに行くと伝えておいてくれ」
「わかりました! 任せてください。それじゃまた今度! 二人とも行くわよ」
そう言って鈴仙達は他の場所へと歩いて行った。どうやらあの二人の自己紹介をして回っているようだ。
「さて、私も楽しむか」
こうして月からの侵略もとい月の異変は無事に解決された。
まさか誰も月から侵略をされていたなど夢にも思うまい。だから今日も幻想の民は安寧な日々を過ごしていだろう。
end




