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東方狐著聞集  作者: 稜の幻想日記
幻想郷 日常の始まり
144/152

Stage1 湖上の前線基地

「あの兎が言う通りならここに彼奴らの基地があるはずだ」


「それは多分、これのことでしょ? 明らかに不自然よ」


魔理沙の案内で妖怪の山にある湖に来た私たちは基地に見える建物の前に居た。


「お待ちしておりましたーって、およよ? なんか報告より多くない?」


建物の中から団子を食べながら兎が出てきた。その兎は魔理沙を見た後霊夢を見て、最後に私を見た瞬間、手に持っていた団子を落とした。



「あ、あああんたは、月の大犯罪者ーーラグナ!?」


「おい、ラグナ。知り合いか?」


「いや、兎の知り合いは鈴仙しか居ないが……君は誰だ?」


「私の名前は鈴瑚、月の尖兵の一人! お前達を倒してこの穢れた地上を我らの物にする!」


月の兎が動くより早く私の隣にいた霊夢が動いていた。


「遅いわ。そんなんで、幻想郷を侵略できると思ってるの?」


「はーー? 」


刹那、鈴瑚を囲うように無数の札が展開された。遊戯用ではなく実戦用の術を使われたことを察知した鈴瑚は両手を挙げ降伏の意を示した。



「ま、参った」


「ふん、所詮は兎ね。相手にならないわ」


「霊夢さんや、手を出すのが早すぎるぜ。ところで月の都侵略を止めようと思ってるんだが」



「そんな簡単に言うのなら行ってみるといいさ。狂った極楽浄土……月の(ルナティックキンダム)へ」


「で、どうやって行くんだ? 」


「あ、それは説明しますんで」


私を置いて話が進んでいる。しかし、おかしいなことに気づいてしまった。


「兎の、あー鈴瑚と言ったな。他の兵はいないのか?」


「わ、私と清蘭の二人だけだ。偵察も兼ねていると上の者からの命令だからな。でも、もう月に戻れることはないだろうけど……」


「月はまた同じことを繰り返すのか……手に負えん」


「どういうーーひっ⁈」


「っ⁉︎」


「ちょ、ラグナッ! 抑えなさい!」


「っと……すまない」


私の姿を見た鈴瑚と魔理沙は恐怖と驚きのあまり座り込んでしまっていた。それも無理もないだろう今の私は一本にまとめていた尻尾が九つに分かれ、その一本一本に妖力、霊力を持っているのだから。


「いやぁ、初めて見た時も思ったがいきなり身体に模様が浮かぶのはびっくりするぜ」


「え、模様? どういうことだ」


「気づいてなかったのか? ほれ」


魔理沙から手鏡を借りて自分の顔を見てみるとそこには顔に模様が入りぽかーんと口を開いた私が写っていた。


「な、なんだこれはぁあ!? 」


「あんた、気づいてなかったの? 妖力と霊力を同時に使ってる時、いつも全身に変な模様があるわよ」


知らなかった……。まさか、全身に術式のような模様が浮かんでいたなんて



「なぁ、ラグナ。ということは数千年間気づいていなかったのか!?」


「あぁ、そうなるな。特に幻想郷では人前で霊力を使ってなかったから」


「私は術の開発でよく付き合ってたから知ってたわよ」


「なら、なんでその時に教えてあげなかったんだ?」


それもそうだ。気づいていたのなら教えてくれても良かったはずだが。


「教えるも何も気づいてると思ってたからよ。まさか気づいてないとは思わなかったわ」


「なんだそりゃ……ところであの気絶したやつはどうする?」


今まで忘れていた鈴瑚を魔理沙が指差した。

どうやら団子を食べながら気絶してるようだ。


「いやいや、どう見たって気絶したふりでしょ。団子を食べながら気絶するなんて見たことないわよ」


霊夢はそう言うと持っていたお祓い棒を手に近づきツンツンと突いた。すると鈴瑚はくすぐったいのか体をよじらせ棒から逃れようとした。


「ほらやっぱり。早く起きて月まで案内しないと吹き飛ばすわよ」


霊夢がそう言うと鈴瑚は降参したポーズして起き上がった。どうやら気絶したふりをしてやり過ごそうとしていたみたいだ。

その様子がおかしかったのか隣で見ていた魔理沙が腹を抱えて笑っている。


「いやぁ、気絶してやり過ごそうとするやつは初めて見たぜ。いやぁ、月の奴らは面白い奴らが多いんだな」


「く、わかった! 案内するから早く行ってくれ!」


鈴瑚は恥ずかしそうに魔理沙を睨みつけ、私たちにこっちに来いと手を振った。

後ろをついて行くと通路口の前に案内された。


「あ、月の人たちには私が案内したなんて言わないでね? もし案内したことがバレたら消されちゃうで。それではっ!」


そう言い残し風の如く消えた鈴瑚。まぁ、敵と一緒に自分の本部に戻るやつもいないだろう。


「それじゃあ行くか!」


「そうね。早く終わらせましょう」


そう言って進んで行く魔理沙と霊夢を見て私は何故か安堵していた。理由なんていらないさ。なんせ、私はこの二人の若き少女が頼もしく見えるのだから。


「ああ、行こうか。狂気の都へ」


つづく


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