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東方狐著聞集  作者: 稜の幻想日記
幻想郷 日常の始まり
143/152

Stage0 狐のいる博麗神社

「かんぱーい!」



霊夢の元気な声が神社に響く。 今日はある異変を解決した記念の宴会だ。

そのため、博麗神社には見知った顔と初めて見る顔で埋め尽くされていた。


「ラグナ、飲んでる?」


一人で黄昏ていると、先ほどまで乾杯の音頭を取っていた霊夢が酒を持って立っていた。

体を動かし座る場所を作ると霊夢は何も言わずに座った。



「今日はありがとうね。正直、一人じゃどうにもならなかったわ」


少し照れ臭そうに霊夢は言うと酒を飲み干した後に解決した異変は過去最大の危険度だったわ と付け加えた。


「それはそれとして。永遠亭の医者の掌で踊らされる感があってまだ少しムカムカしてるわ」


「仕方ないさ。永琳の協力がなければ解決できなかったかもしれないんだから」


「それはわかってるけどーー。〜〜んん! やっぱり納得いかないわ。いいように使われるのが癪だったから貰った薬は飲むふりして捨てたけど」


「なら、それでいいじゃないか。しかし、今回の異変の敵は強敵だったな」


「そうね。まさか、二人で攻めてくる上に三色に変身するんだもの」


「まさか本物の神さまが相手とは思わないよなぁ。あの神霊も太古のモノだったしな」


「思い出すだけでムカつくわ。何が『遊びだから本気じゃないわよん』よ! あぁ、イライラする!」


霊夢は酒を瓶ごと飲み干すと次の瓶に手をつけた。

余程遊ばれていたのが悔しいようだ。


そう、今回の異変は霊夢が遊ばれる程の力を持った者が起こした異変だったのだ。そして、私の大切な人の故郷でもある月が舞台だった。








いつも通りの日常を過ごすため私は博麗神社にある間欠泉から湧き出た温泉に入っていた。


「あぁ、極楽だ。そういえば最近は異変がなくて霊夢も暇だと言っていたな……私が稽古でもつけてやるか?」





『た、大変だー!!』


神社の表からだろうか、魔理沙の声が聞こえてくる。 なにやらあったらしい。



「すんすんーー。何か匂うな」


どこか懐かしい香りがした気がする。 とりあえず風呂から出るか。




風呂から出て表へ出ると息を切らせた魔理沙がお茶を飲んでいるところだった。

そしてその隣に居た霊夢は、どこか呆れた様子で魔理沙を見ている。


「妖怪の山に変な奴らが現れた!」


「変な奴らって、天狗とでも見間違えたんでしょ?」


「違うってそいつら、鈴仙と同じウサギの耳をつけてたんだ!」


ウサギの耳? もしや……だが、今更奴らが地上(ここ)に手を出して来るのか?


「魔理沙、その話をもう少し詳しく話してくれないか?」


「ラグナ、居たのか。あぁ、わかったぜ。あれは……」



◇◇◇


魔理沙の話をまとめると妖怪の山に見たことのない妖怪がいたから退治ついでに様子見に行ったら月の兵士を名乗るものが幻想郷を乗っ取る計画を暴露したという事らしい。


「それで、何であんたはここに来たのよ。普段のあんたなら『私が異変を解決するぜ! 』って飛び出すじゃない」


「本来ならそうしたいんだが……妖精までもが異常に強くなってるんだよ。流石に一人じゃ無理だ。だがら霊夢、異変解決するために手伝ってくれ!」


そう言って魔理沙は頭を下げた。そんな魔理沙に呆れたのか霊夢はやれやれといった感じで魔理沙を見つめていた。


「何言ってんよ、異変解決は博麗の巫女の仕事よ。まぁ、でもあんたが頼んで来たことなんて初めてだし? 手伝ってあげるわ」


勘違いしないでよねと付け加えた霊夢の顔は真っ赤に染まっていた。 そんな様子に気がついていない魔理沙は顔を明るくさせると霊夢の手を掴んだ。


「私たちで異変を解決しようぜ!」


「あ、ちょっと魔理沙!」


そう言って飛ばずに階段の方へ歩いっていった二人を追いかける。

どうやら私のことを忘れているようだ……まぁ、気にしてないし?


「二人とも待ってくれ、今回の異変きになることがあるから私も同行させてもらうぞ?」


「それはありがたいんだぜ! ラグナがいれば百人力だ」


「だが、異変解決は人間のお前たちの仕事だぞ? 私は戦いには参加しないからな」


そういうと魔理沙はまたかよとがっかりしたようにうなだれた。

そんな魔理沙に霊夢はいつものことでしょと言い空に飛び上がった。


「それじゃあ妖怪の山に向かいましょ。そこに異変解決の糸口があるのよね?」


「あぁ、妖怪の山に怪しい臭いが立ち込めてたからな」



さて、妖怪の山に何があるのやら……もし魔理沙の言った通り本当に月の奴らが幻想郷を侵略しにきたのだろうか。


「どうしたのよラグナ! 早くこないと置いて行くわよ」


「あぁ、すまない。今いくよ」


まぁ、現場に行って確認すればいいだろう。と私は気楽に考えていた。しかし、この考えが後々めんどくさい事に巻き込まれるとはこの時の私には思ってもいなかった。



つづく

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