百十二尾
今年最後の更新となります
異変を解決した日の夜、博麗神社では宴会が開かれていた。
私が地上にでて来てから3回目になるのか。因みに今回の宴会を開いたのは異変の主、豊郷耳神子達だ。
「おーい、ラグナ。飲んでるか?」
すでにできている魔理沙が酒ビンを振り回しながら近づいてくる。 魔理沙の酔った姿を見るのは初めてだ。いったいどんな酒を飲んだのか……。
「あぁ、飲んでるぞ。ところで、もう酔ってるのか?」
「魔理沙さんは酔ってないぞー」
そう言いながら持っている酒ビンをラッパ飲みで飲み干してしまった。んん? 魔理沙の持っている酒ビンをよく見て見ると「魔王」と書かれているじゃないか。
「おい! 魔理沙、その酒はどこで手に入れたんだ!?」
「ふぇ? あぁ、これか? そっちの席にまだたくさんあったぜぇー」
◇
魔王を手に入れた私は神社の屋根で一人月を見ながら飲んでいた。
「今宵の月もまた見事なり……今のはなかったことにしよう」
どうやら私も酒に酔っているようだ。しかし、地上に出てきて色々なことがあったな……。
そういえば地底に置いてきた黒菜はどうなったんだろうか。
「ヤッホー。ラグナ、殺しにきたよ〜」
「っ!? く、黒菜!」
声の聞こえた方を向くとそこにはニヤニヤと笑う私が横に座っていた。それも、大鎌の刃を私の首に当てて。
「まぁ、冗談なんだけどね。ていうかー私をおいて上に出るなんてひどくないー?」
「消えたり現れたりするお前が悪いんだろ。お前も飲むか?」
「当たり前だしー。そういえばオリジナル、地上でどんなことしていたのか教えてくれちゃってもいいのよ?」
にやにや顔をした私はどうも見ていてむかつくな。まぁ、酒の肴にはなるか。
「あぁ、いいだろう。話してやる」
◇
「あひゃひゃひゃ」
話し終えてからずっと笑っている黒奈に私は、『話さなければよかった』と軽く後悔をしていた。
こいつ、初めから終わりまでずっと笑い続けていたな。
「そろそろ笑うのをやめてくれ」
「いやぁだってよ? 花妖怪と一緒に拉致られたとか笑えるじゃん! あひゃひゃひゃ」
「せめてその笑い方はどうにかできないのか!」
「むっり」
そういうとまた黒奈は腹を抱えて笑い始める。どうやきついお灸をすえてやる必要があるようだ。
そういえば、黒奈の姿が昔あった時とだいぶ変わっているな。髪の長さも腰まで伸びている。
「ところで、黒奈」
「あーに?」
「どうやってここに来たんだ?」
「あぁ、普通に歩いて来たわ。途中で天狗、犬天狗? に追いかけられたけど」
「犬天狗? あぁ、白狼天狗のことか。 手を出してはいないだろうな?」
ニシシと笑うと『さぁ? どうだろうね』と言って黒奈は屋根の上から飛び降りた。
「大丈夫だよ。ラグナ手は出していない。それと、私は帰るから」
「そうか、また地上に遊びに来るといい」
「あ、それとお土産をあんたの部屋に置いといたから。楽しみだなぁなぁ」
「……? どういう、ってもういない」
黒奈の意味深については置いといて、もう少しだけ月を見ながら飲むとするか。
「って、酒がもう切れてるじゃないか」
つづく
後日、黒奈の送ったお土産のせいでひどいことになるとは今のラグナには知る由もなかった……
つづく




