百五尾 門前の妖怪と半霊の庭師
幻想郷 博麗神社
「なんだ……これは」
私は、自分の部屋に沸いた大量の神霊を見ながらそう呟いた。
「これは、異変か? ーーっ!? 」
神霊に触れようと手を伸ばした瞬間、神霊から弾幕が放たれる。
弾幕は避けたが……部屋がボロボロになってしまった。
ーーな!? 作りかけの本が燃えてしまった!?
「異変の主を締め上げるか……」
そう言うと私は博麗神社の自室を飛びだし神霊の多くいる方向へと飛び出した。
「さて、飛び出したのはいいんだが……どこに向かえばいいのやら」
「あれ? ラグナさん?」
「おや?」
私の後ろから声をかけてきたのは白髪で二本の刀を携えた半人半霊少女こと魂魄妖夢だった。
「妖夢か、一体なんでこんなところにいるんだ?」
「ラグナさんこそどうしてここに居たんですか?」
「あぁ、私はただ、自室を襲われたからこの異変を起こした犯人にお灸を添えようと思って、神霊の多い場所を目指していたんだよ」
「私もそんな感じですね。冥界にも神霊が大量に現れたのでそれの調査をしてました。それで、ラグナさんは犯人の居場所はわかったんですか?」
「まぁ、だいたいわかるが……一緒に来る?」
私がそう聞くと妖夢は明るい顔になりすごく頷いていた。
「よし、それなら早速向かおう」
「はい!」
◇
妖夢を連れ私が向かった場所は以前訪れた命蓮寺だった。
「ここは?」
「命蓮寺だよ。妖夢、あっちを見てみなさい」
そう言って私は命蓮寺の墓地の方を指差した。
私が指差した方を妖夢は見て声を上げた。
「なるほど、神霊たちが集まってますね」
「よし、行くか」
私たちが歩き出そうとした時、影から何かが飛び出した。
「ちょっと待った!」
「ん? 誰だ?」
声のした方を見るとそこには犬耳のついた箒を持った少女がプンスカと怒りながら立っていた。
「そこのあなた!」
そして、その少女は妖夢に指を突きつけた。
「私ですか? 」
「そうよ! あなた、危ないわね! 参道で刃物を振り回すなんて」
「別にいいじゃないですか、さっきから体当たりしてくる神霊がいるから仕方ないんですよ」
「お寺では殺生禁止なの!」
「あ、いや、まぁ、殺すまで斬るつもりはー」
「お寺で刃物を振り回して無用な殺生を行うような奴は死んでしまえー!」
「ーーっ!? 」
少女から放たれた弾幕は妖夢を飲み込んだ。
「妖夢!? 大丈夫か!?」
「だ、大丈夫です!」
咄嗟に抜いた刀で受け流したのか妖夢は被弾した様子もなく無傷だった。
「ラグナさんは見ててください! 私が退治するんで」
「あ、あぁ、頑張れよ」
「はい! 」
短く返事をすると妖夢はもう一本の刀を抜き犬耳少女に斬りかかった。
「うぇ!? 弾幕じゃなくて刀で斬りかかるなんて!」
しかし、妖夢の攻撃は少女の持っていた箒により防がれてしまった。
「あなた、なかなかやりますね。お名前を聞いても?」
「わ、私は幽谷響子、山彦だい!」
「私は魂魄妖夢。冥界の庭師です! それでは改めて……参る!」
再び二人はぶつかりあった。
つづく




