九十九尾 吸血鬼の妹と狐 後
遅くなりましたがあけましておめでとうございます 。
フランドールが手を握った瞬間ありえないことが起きた。
それは、ラグナの身体が粉微塵に吹き飛んだのだ。
一瞬、ほんの一瞬の時間でラグナの身体は吹き飛んだ。
「危ないな。しかし、何て恐ろしい能力だ。とっさに変わり身の術を使ってなかったら死んでたな」
粉微塵になったはずのラグナが物陰から出てきたことで狂ったように笑っていたフランドールから笑い声が消えた。
「なんで何でナンデ生きてるイキテルいきてる!?」
同じ言葉を繰り返しながらまた左手をラグナに向けて握ろうとした、がラグナの投擲したナイフが阻止する。
「ウァ!? 痛いイタイいたい遺体。 絶対殺すころすコロス……禁忌『フォーオブアカインド』
「幻覚? いや、分身か……しかも厄介な分身か」
ラグナの言う『厄介な分身』は普通の分身と違い本体と同じと力を持っているのだ。
「私も分身はできるが本体に劣る分身。この娘の分身とは相性が悪いか」
「アハハハハ。どうしたの? 禁忌『クランベリートラップ』
「ホラ、もっと逃げてヨ 禁忌『スターボウブレイク』
「コロス殺す。アハハハハ 禁忌『レーヴァテイン』
「逃げれるとでも思ってるの? 禁忌『カゴメカゴメ』
四人のフランドールが一斉に喋る。ただしどのフランドールも弾幕を放っているが。。
「全員が別々の動きができるのか? ! くっ! 本当、厄介の範囲を超えてるぞ!?」
ラグナはフランドールの攻撃を走りながら避けると。懐から取り出した札を壁に貼り付けて行った。
なんとか部屋の片隅四カ所に札を貼るとラグナは真ん中に戻るように走り出した。
「ふふふ、もう鬼ごっこはおしまいかな?」
「それじゃあ、さようなら」
「貴女の血は紅いのかしら?」
「コロス……殺す」
四人のフランドールが部屋の真ん中に立ったラグナめがけて飛び込んだ。
「ふっ。吸血鬼といえど所詮は子供か」
突如ラグナの足元が光る。 光が収まるとフランドール達を囲むように透明な壁が覆っていた。
「なっ!?」
「動けない!」
「コロス! コロス殺す殺す」
「なにこれ、結界!?」
不敵な笑みを浮かべるラグナ睨みつけながらフランドール達は結界に向けて弾幕を放った。
「無駄だ。そして、分身にも消えてもらおうか。『圧縮』」
ラグナが印を結ぶと結界がみるみると圧縮していく。 だんだんと迫ってくる結界をみてフランドールは自身の分身を一人、また一人と消した。
「 さて、本体がわかったところで……まだやるか?」
「ちぇ。わかったわよ! 降参、こーさんよ」
両手を挙げ降参の仕草をするフランドールの姿を確認したラグナは結界を解いた。
「ちぇー。もう、寝る!」
「おやおや、今度は不貞寝か。寝る前にお前のその狂気を取り除かせてくれないか?」
「あら、貴女もお姉さまと同じことを言うのね。これは狂気じゃないのよ? むしろ貴女の方が狂気に満ちてると思うのだけど?」
「同じものじゃないというのか? 私は狂気を使える(……)。だがお前は狂気に操られていたじゃないか」
「だ! か! ら! これは私の妖力なの! 狂気と同じ性質を持った」
「すまない。理解できないんだが。もっと詳しく教えてくれないか?」
「残念、私はもう寝るの。知りたかったら図書館に行ったらどうかしら?」
そう言うとフランドールはベットに横たわり眠りについた。 なんともいえない風のラグナは頭をかきながらフランドールの部屋を出た。
「……! 妹様はどうですか?」
部屋から出ると咲夜が駆け寄ってくる。咲夜の顔は安堵の表情を浮かべていた。
「あぁ、眠ってるよ。それより図書館という場所に案内してくれないか?」
「図書館ですか。わかりました」
そして、ラグナは図書館へと向かった。
つづく




