MEMORIZE
皆さんは初恋の人を覚えていますか?
もしかしたら、忘れてしまっている人も少なくないと思います。
でも、私は忘れていません・・・いや、忘れる事など出来ません。
何故なら・・・
「その彼は今、隣にいるから」
私「三崎 唯里」(ミサキ ユイリ)は校舎の壁に寄りかかっていた。
その視線の先には、一人の少年が映っていた。
彼の名前は「高橋 玲」(タカハシ レイ)
隣のクラスの人だ。
「・・・用は何?」
「えっと・・・その・・・」
玲は、なかなか切りださなかった。
本日は、部活のない日の為、辺りは静まり返っている。
私と玲の間にひろがっている、沈黙が息苦しかった。
「・・・早くしてよ。私この後、急がしいのに」
「だから・・・僕は・・・」
風が吹き、玲の長めの黒髪がそよぐ。
私は、風の強さに思わず目をつぶった。
「唯里さんの事が・・・」
そこまで言って、玲は一端口を閉じた。
ようやく、風がおさまり私は目を開けた。
目を開けた私が見たものは・・・
真直ぐ真剣な瞳で私をみている、玲の姿だった。
私は、驚いていた。
何故なら・・・
「こんな玲の姿を今までに一度も見た事がなかった」
からだ。
私の知っている玲は
「友達と騒いでいる姿」
「集会の時に寝ている姿」
「体育で飛び跳ねている姿」
くらいだった。
「・・・唯里さん?話聞いてた?」
玲の声で我に返った。
目の前にいる玲は、いつもの無邪気な少年に戻っていた。
どうやら、私が回想している間に何か言ってたらしい。
「あ〜ごめん。聞いてなかった。もう一回お願い。」
すると、玲は「何度も言わせんなよ」と言わんばかりにため息をつき
「だから、僕は唯里さんの事が好きです」
「へ〜・・・て本当?」
告白を聞いてないなんて・・・
私は何をしてたんだ。
自分で自分につっこみをいれた。
「返事は?」
本当は少し時間が欲しかった。
でも、告白を聞いてなかったうえに二度も言わせてしまった。
それで、「待って」とは言えない。
答えは「YES・NO」の二つ
私の中で、答えは決まっていた。
「私も。好きです」
どうして、「YES」と言ったのか。
それは・・・
「彼が初恋の人だから」
私の初恋は今から八年前の、六歳の時
道ですれ違った、同い年くらいの男の子に一目ぼれをした。
その時は、彼に関することは何も知らなかった。
「あ〜あ。また会いたいな・・・」
そう思って過ごした七年間。
本当に辛かった。
でも、私は会えることを信じていた。
そんな、私に神様が同情してくれたのか、何なのか奇跡は起こった。
何と、初恋の彼が同じ中学にきていたのだ。
しかも、隣のクラスに・・・
嬉しかった。
天に昇るくらい嬉しかった。
そして、私はこっそり彼についての情報を集めた。
「高橋 玲」
という名前だという事を知った。
特別、仲がいい訳ではなかった。
必要最低限、会話はしないし。
会おうと思えば簡単に会いにいけた距離だったが私は行かなかった。
行かない理由はない。
ただ、何となく行きにくいかっただけなのだ。
「唯里?小説出来たか?」
ひょっこりと玲が現れた。
「うわっ・・・玲?急にくるな。心臓に悪いだろが・・・」
「あはは。ごめんごめん・・・」
告白された日から四年という月日が流れた。
私は「小説家」になる為、現在執筆中。
玲はというと「漫画家」になる為、こちらもまた執筆(?)中
二人とも、夢に向かって歩いている途中だ。
もしも、玲がいなかったら・・・
何て、考えられない。
忘れられない初恋。
大切なあの人は、今日も明日も明後日も
きっと、私の隣で笑っってる。
私はそう信じてる。
THE END
滅多に書く事のない「恋愛」です。
ノンフィクションっぽいですが、これは完全な
フィクションです。
でも、現実にありそうですよね?こんな恋
感想・批評・・・何でもいいのでよろしくお願いします。