4/7
眠りにつく頃
「少し、眠らせて下さい」
少女は言って、横になったまま彼を見上げた。
彼はとても怒っていた。とてもとても、怖い怒気をまとっていた。
(言い訳をたくさん考えておきます。だから、今は、眠らせて下さい)
目を閉じかけた彼女。
その髪を掴む指。皮膚が引かれて、強引に顔を上げさせた彼。
髪が何本か引きちぎられた音。痛みのために上る小さな呻き声
「誰か…」
一清が唸った。かみ殺すように
「この馬鹿をさっさと病院に運べ」
(大げさですよ、寝てただけですのに)
(頭部強打してぶっ倒れてたんだろう)
(油断しました)
(何にだ)
(睡魔にです)