男とは
少女が畳に押し倒された。
その前に何があったのか、何を言ったのか、さして問題ではなく。
ただ彼女は、彼に押し倒された。
しばし黙して瞬いた彼女は、自分を見下ろす青年をじぃ、と見る。
「あなたも男ということですか」
「俺が聖人君子とでも?」
「あなたはむしろ絶対王政巻き込まれ派ですからね」
「何だ、それは」
「いいえ」
実はあなた、結構不器用なのでは、なんて。分かりきったことを思っただけです。
零れた独白に、青年は呆れた。
「お前、もう少し危機感を」
「野郎が乗ってる時点で体力のない私はギブアップです。
将来的に体力消耗することが決定したので、現在絶賛体力温存中です」
「本当に、よく回る口だな」
「塞いでみますか?」
「直接的すぎる。女だろう」
「一清さんは男でしょう」
「だから」
「男性は老年期になっても生殖機能変わりませんので、長期にわたる体力消耗が……むぐっ」
ほがむが、と手のひらで話そうとする彼女を、青年はふかーく息を吐いて解放した。
(せめてお喋りさせて下さいよ)
(それが問題なんだろ)
(で、続きはいいんですか?)
(俺も今のうちに体力温存)
(じいさんみたいですねぇ。あいた)