表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

とある聖女の苦悩

作者: 秋月心文
掲載日:2026/05/05

とある国に聖女と呼ばれる女がいた。

「癒やし」というパッシブスキルを持ち、

彼女に近づくだけで、邪気や邪念が払われていき、病気も、怪我も治ってしまうのだ。


このスキルは、MPも、HPも、寿命も消費しない。チートのようなスキルだった。


彼女は、このスキルの力のおかげで、彼女は何もしていなくても敬われた。

その上、清楚な見た目と、優しい眼差し…。聖女として慕われた。


慕われると、嫉妬を生む。彼女に対する敵意は存在していたが…。


「癒やし」はある種のフィールドになっていて、その範囲内では「いかなる害悪」も無効化される。


悪意がなくなるので、彼女を暗殺しようとした者たちは、暗殺に失敗し、改心し、依頼者を白状してしまう。

遠隔武器で狙撃を試みると、不思議なフィールドで弾かれ、狙撃者の手元に戻っていく。

そして、それを手にした狙撃者は、なぜか改心してしまうのだ。


呪いの場合は、呪いが無効化された上に、癒やしが術者に飛んでいき、術者は改心してしまう。

広域攻撃魔法をしかけても…同じような結果になった。すべて、何もなかったように元に戻り、術者は改心してしまうのだ。


彼女の前では、あらゆる欲が無くなる。食欲や、性欲すら無くなってしまう。


どんな魔獣も彼女の前では、その食欲や、征服欲を示す事はなくなり、その変化に対する驚きから、彼女に対しては、とても従順になった。

だから、魔獣による攻撃を試みて無意味だった。

それどころか、魔獣をしかけると、魔獣はしかけた本人に怒りを向けてきた。


良いことばかりではなかった。

彼女の前では、あらゆる欲が無くなる。食欲や、性欲すら無くなってしまう。

これは、人にも言える事で…。


彼女に性的に惚れていても、彼女に近づくと性欲がなくなる。誰も、彼女に恋こがれない。

神に向けるような敬愛の気持ちが生まれるだけである。

人づてに聞く恋バナも、自分には、夢のまた夢。


食欲がなくなるので、彼女と食事をしても、すぐに食欲が失せてしまい食事が進まない。

彼女から離れると、空腹である事には変わりないので、非効率この上ない。

また、一緒にいすぎると、食事を忘れて、体が大変な事になってしまう。

なので、彼女から、ある程度距離を取らないとならなかった。


やがて、彼女といるのは、1日2時間まで…なんて規則が決められてしまうほどに…。


だから、彼女は、いつもひとり。


それでも、彼女なりに、いろいろ頑張ってみたが…。

彼女は、与えられた奇跡のような力の代償なのか、それ以外はからっきしダメだった。

歌を歌えば超絶音痴…人前では、歌を歌わないでくださいと止められ…。

踊りを踊れば謎の踊り…人前では、踊らないでくださいと止められ…。

好きな本は、BLだけど、人前で読むことを止められ…。


手伝いをすれば、不器用すぎて、食材を無駄にしたり、聖女自身が怪我をするほどの鈍臭さ。

「癒やし」は他人の怪我を治すけど、聖女自身の怪我は治せない。

だから、何かをする事を止められた。


そんな感じで、何も出来ないから、体を動かせる機会が少なく、

彼女の体力は、とても低くなり、何かをしようとしても、すぐ疲れてしまった。


しかし…彼女の中身は…どす黒いストレスが溜まっていく一方だった。

何もしないで、ただ、そこにいてくれって…

私は置物じゃないっつ~の。

暇で仕方ないんですけどぉ~。


彼女は夢想家で、いつか、王子様が、こんな生活から救ってくれる事を期待していた。

彼女は実のところ、かなりエッチだった。


しかし、彼女に近づく男たちは、彼女の前では、性欲が消え、欲情しなくなる。

女として期待されていない感じが不満だった。

何で私の前では、男が欲情しないのよ。


こうして、聖女の毎日が続いていく…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ