七夕の悲劇 ~必ず願いが叶う村~
七夕、あなたの願い事は叶いましたか?
『七夕の願い事が必ず叶う村』
「会長、どこにいるんだろう」
学校の中、僕は会長の姿を探している。
「折角小説家になれたのに、会長がいないと意味ないじゃないか」
小説家になりたいと思っていた僕を、唯一応援してくれた会長。
七夕の次の日、大手出版社から電話が掛かってきた。僕は作品を1回も書いたことがなかったけど、七夕に願ったから見事叶った訳だ。
村万歳。村人でよかった。
「どこ行ったんだ? 会長」
早く報告したいのに。
結局。
1日中探したけど、見つからなかった。
「はっ、はっ。会長、生きててくださいよ…!」
森の中、必死に僕は走る。
僕を呼ぶ会長の声がした。
『絶対に立ち入ってはいけないエリア』
から、会長の声が。
すごく不吉な予感がする。
「何かが、燃えている…!?」
パチパチという、燃える音。
そして、会長は見つかった。
「会長!」
「おやおや。ダメじゃないか、ここに入ってきては。今見ているものは忘れて帰りなさい」
「村長、これは一体。どうして会長が燃やされているんですか!」
「七夕のためだよ」
「七夕」
「毎年、七夕の翌日に、村の神に生け贄を捧げる。皆の願いを叶えて下さりありがとうございます、とね。
この子は、今年の生け贄。今年の生け贄は特に逸材だ、高校を卒業したら村から出るそうだったからな、出る前に神に捧げた」
村長は会長に顔を向け、
「見ろ。穏やかな顔。初めてだ、こんな顔の生け贄は」
膝をつき、呆然とする僕。
村長は穏やか顔で僕に近寄り、
「よかったじゃないか、小説家になれて」
誰もいなくなった後。
「くそっ、くそっ!」
地面に何回も拳を振り下ろす。
小説家になんかなれなくてよかった!
それよりも大切な存在が、そばにいたのに!
「僕は、なんで会長と一緒にいたいって願わなかったんだ…!」
神の力か、偶然の連続か。
読んで頂き、ありがとうございました。




