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17 現生惑星のキャンプ暮らし。「ごはんを食べたらやる事がない。何もしない事が幸せ」 突き詰めるとソコに癒しがあるそうですよ、マスター

――


ショータ


――


惑星に突き刺さった銀色の船体が、ジャングルの影の中で煙を上げている。

空気がおいしいわぁ。そして空は青く、プテラノドンみたいなのが空をとんでいた。


「さすがに惑星に降りてしまえば、私たちの捜索はしてこないでしょう!

いや~、銀河の中心は繁栄するたび男性の取り合いが加速してますね。

そんな寂しさをアンドロイドで心の隙間を埋める事も一つの幸せの形だと思うのですが!」


なるほど。アンドロイド文明になると人類が停滞する理由がわかった気がする。


フォルティナさんが船体の様子をコンソールで確認しているが、警告音がやんでいない。


「あれっ? 魔石エネルギ―反応が上空に? 男性と酒類に執着してここまで追ってきますか!? やりすごしましょう」


ティアナさんの弟子が空を見ている。


「師匠。目の錯覚かもしれませんが、巨大ロボが翼竜を駆逐してます。有事の際は単身で時間稼ぎをお願いします」


「そうだね。ロボだね。星飛ぶ船があるなら、ロボいても不思議じゃないよね。

――師匠! 今度こそ、さよならですね」


「師匠、1機ならギリギリ勝てそうです。師匠が、その模範を示して頂ければと」


「おまえたち?? いいから全員でかかるぞ。1機なら何とかなりそうだ、銃のおこりを見逃すなよ」


雲の切れ目から、巨大な影が降りて来る。

マジに、何だって言うんだ。ここまでやるか?

普通にレストランを経営してただけなのに、なぜこんな事に? そもそも捕まえてどうする気だよ。


「何か悪い事しましたかね、何でこんな目に? 今捕まると、いつ星に帰れるか分からない。やりすごすしかないですね」


「「「了解です、シェフ様」」」


――


とりあえず、様子を見るため息をひそめた。

ギャーギャーと原生生物が叫んでいる、空飛ぶロボのせいだろう。


「さて、ほとぼりが冷めるまで、ご飯でも食べながら待ちますか」


「マスター、魔石エネルギーを使うと探知されます。強力な熱源は使えません!

いかがいたしましょうか? ティアナさんたちなら生肉でも、マスターが出せば喜んで食べてくれそうですが。肉を刻むだけでタルタルユッケと言う名前にしますか?」


「なるほど。生肉の管理は素人なので遠慮しておきます。

今日の夕食はこちらです。お湯さえあればどうにでもできます」


丁度、ティアナさん達がバケツに水を汲んで戻って来た。


「「「水を汲んできました」」」


「よしでは、枝に火をつけてお湯を沸かしましょう」


転生前にアウトドアーの動画を見ておいてよかった、異世界でも役立つものだ。

ぱちぱちと小さく火を起こす。


「本日はこちら。鶏肉をお湯でゆっくりと煮ると、パサつきかなくなります。エネルギー消費も少なく作れるバンバンジー、鶏肉と胡麻ときゅうり、後、残りのパスタです」


湯気があがり、下味をつけ真空パックした鶏肉を鍋に入れる。ついでにパスタもイン。


「マスター、低燃費でいいですね。低燃費グルメで参りましょうか。マスターの所のファストフード体験ゲームも 『無』 を売ってもお金になってましたもんね!」


あれは、低燃費食品じゃないし、ゲームはデータである。

無から有を生み出す錬金術だった気がする。


そんなことを考えつつ、温度が上がるにつれ肉が白ピンク色に変わっていく。


「んでは、そろそろ刻んだキュウリと肉の上に調味料をかけて完成です」


配膳を終え、全員で倒木に座り食べ始める。

ティアナさん達がふと空を見上げる。


「この雰囲気もあり、大変おいしいです。思えば遠くへ来たものです。そして毎晩、私たちの星が気にならない日はありません」


「そうだね。星に戻らないと。私たちだけが夢のような体験をしていいはずがないよね」


「この命、シェフ様に預けます。いつでもご命令下さい。ロボ1機なら相打ちぐらいできると思います」


「なんか、おまえたちの成長を感じて少し泣けてきたな」


俺は頷く。

思えば遠くに来たものだ。


――


そんなこんなで2日が過ぎた。

青く澄み切った上空に、今日も雷の様な音がする。

今日はロボが3機に増えていた。


「マスター。ロボ、増えてます! 最新型です。時間の問題かもしれませんね~」


「う~ん、増えてますね。俺が投降する間にラクランジュで逃げれたりしますかね? いや~、あのスピードには勝てそうにありませんか」


近くの天然温泉に入った後、ぽかぽかの状態で空を全員で見上げていた。

この間に星は活動停止へ向かっているのだろう。


こうなっては選択肢は2つ、逃げ切るか、冷静に話し合って通してもらうか。


「「「ご命令を! いつでも命を賭ける準備はできております!」」」


3つ目として、投降のふりをしてロボから降りてもらった所、もしくは相手の戦艦に乗り込み制圧してもらうか。

人の命をコマのように使う度胸は無いので却下だ。


そんな時、頭に直接響く声。


「ショータさん、聞こえますか? 聞こえますか? 幻聴ではないですわよ。神様の啓示です」


転生の女神様が脳にダイレクトに話しかけて来た。


「あ、幻聴だ」


もちろん返事はしない。

日頃の辛さを忘れるために飲むアルコールと同じ音。

銀河帝国に捜索されて忙しい中で女神様襲来とか、軽く詰んでいる。


ふんわりと脳内に、星の光景がよみがえる。

湖畔のキッチンカーに祈りを捧げて、俺たちを待つ人々。


「えーと、人の子よ。聞こえるか。ミラシャさんたちは見事、星を渡る資格を手にしましたわよ~! そして、星が危ないですわよ。早く戻ってきなさい、星を救ったらあなたを転生しますわよ」


「女神様、俺が言うのもアレですけど、十分な善行を積んでいると思うんです。どうしてまた転生の目に合うのでしょうか」


返答はなく、炎髪のミラシャさんと星の人々の様子が目の前に浮かぶ。

なんだか、久しぶりな気がする。

星の皆が泣きながらそれぞれの思いを口にしてきた。


「シェフ様、よかったですッ・・・・!」

「本当によかったッ」


「ミラシャさんたちも大丈夫そうで良かったです。でも女神様がなぜそこに!?」


背景では、おぞましい程の稲光と黒い砂塵が竜巻となり周囲を覆っている。

星がそのような状況にありながら、人を心配出来るとは。

そして黒髪の女神様がぬらりと脳内に浮かぶ。


「と言う事で、あなたを思う人を通じて、今話しかけています。

早く帰ってきてください。皆さん待ってますよ」


「今、ちょっと追われてて帰れない感じなんですよね。でも女神様もいらっしゃると言う事は、星に帰っても戦闘になりませんかね?」


女神様はまた沈黙する。

正解は沈黙、都合が悪くなった時の社会人のルールだ。

そして慌てふためくこちらの剣士たち。


「やばっ! 星やばっ! 観光気分がばれたら、ぶち〇されそう」

「そうだね。星がヤバイね。私だったら、この遊んでいる状況を見たら〇すかな」

「後で、肩からバッサリやって。重傷ならごまかせそう」


「おい、おまえたち。雰囲気でバレる、ひとまず隠れるぞ」


女神様の声が脳に再度響く。


「ショータさん、そしたら迎えに行きます。そこで待っててください」


「たとえ魂を捧げても、シェフ様をお守り致します。状況こそ分からないのですが、ティアナたちの姿が見えませんがお役に立てているでしょうか」


光剣を装着し、ミラシャさんが当然の疑問を持つ。どうやってここへ来るつもりだろうか。

そして、いつもの戦士3人がとんでもない事を言い出す。


「増援に向かいます。今しばらくお待ちください。今しがた、魂を捧げ契約したところです」

「星がかかっております、私たちの魂で未来が変るなら当然捧げます」

「そう、力が欲しい。誰でもそう願うはず」


一体、何がどうなっているのか。

魂を捧げるとは何事か。


「女神様?? 一体何をしてらっしゃるのか、過度な干渉は、制裁対象ではなかったですか? 魂を捧げる? 邪神みたいな行動ですがいったい」


傍若無人の力の化身が無事に救ってくれるとは思えない


「・・・」


女神様への通信が伝わっているのか、聞こえないふりをしているのか。

もしくは、邪神だったか。


「と言う事で、そちらの時間で言う1日待ってくださいね。精鋭でダンジョン踏破して、そちらに飛びます。それでは~」


と、脳内の接続が切れた。


――


フォルティナ・ギンレイ


――


近日中に増援が来るのは、とても助かります!


ですが、時間の相対的な流れが違う星、明日は保証されるでしょうか。

本当に明日来ますかね? そもそもどうやってくるつもりでしょうか。

制裁神様のパワーで宇宙船でも強奪してきますかね。


マスターといると時間の進み方が違います。一瞬の様で永遠。

これも相対ですか、エネルギーの流れが永遠の長さに感じ、刹那に流れる。

とっても不可解な感情出力が、回路に熱を持たせる。


「ミラシャさん達に来て頂ければ、ロボぐらい倒せると思うのですが」


そう口にしながら、ホログラムに映るのは巨大ロボが飛んでいる映像。


「マスター、ロボ倒しても、解決になりそうにならない気がするんですよね。事態を悪化させるだけの気がします。完全にお尋ね者になってしまいますよね」


「ほんとそれですね。さてどうしたものか」


試算しても100%そうなります。

あと逃げ切れません、そもそも私たち小物を捕まえる価値なんてないハズですが。

諦めてくれません。


時間も残されていない。

ここで待っていられません、あの星は爆発のフェーズに入るでしょう。


帝国と話し合いをするとしても 「「「はいはいはい! 続きは帝国でききましょーか!」」」 と

ウキウキしながら連れていかれるのは目に見えています。

やつらの手口です。


しかしその思いとは裏腹に。

ついに帝国ロボが大地を踏みしめジャングルを包囲してしまいました。


装甲のエネルギーフォースが輝いていますが、強力な武装はしていません。

目的は、私たちの捕獲である事を理解しました。


「俺がいきます。戦闘は取り返しのつかないことになりそうなので穏便にいきましょう。捕まってもまだチャンスはありそうですし」


マスターが、草木をかき分けロボの前に出る。

その瞬間、ロボたちが色めき立ちました。


「わっ、本当に黒髪の男性ですわ! ドストライクです~」

「これはこれは、なぜ辺境宇宙でそのようなことを? 詳しく部屋でお聞きしなければなりませんね」

「やはり気合と情熱があれば、男性は捕まえられるものですね。らぶあんとぴぃす! お父様のお酒が見つかった時の修羅場のセリフを思い出しますわ」


言語解析――

99%恋愛目的。1%が政治発言。

どちらにしても面倒なやつらです。


その瞬間ビームソードを掲げ、マスターの前に飛び出す剣士たち。

剣を抜き、ティアナさんを先頭にした4人の闘気が障壁のように立ち上る。


もしもし。お話、聞いてましたか?

まずは話し合いを試みるべきです。


「シェフ様を置いて逃げるなんて、できません! 私たちの主に手を出すつもりですか!」

「そのとおりだね。星を救う神の前に立つとは、愚かにも程がある。バンバンジーにしてやる!」

「師匠と最後を迎える事となるとは。でも、こうなると思ってました」


「シェフ様、ここでサヨナラですね。お仕えできて本当に幸せにございました。

行って下さい。星を宜しくお願い致します」


「うわちょっとやめ――」


この状況を察したのか。ロボのスラスターの音響が高まる。

機体の熱反応が上昇。戦闘モードの移行が始まっています。


「「「「シェフ様、来ます! 行ってください!」」」」


これは、帝国の拘束を免れない。

ティアナさんたちを見捨てて星に戻る選択肢なんてない。

話し合いを試みるべきです。

『ラクランジュ』 はしばらく閉店ですか。


残像を残し、剣士たちが散開する。

私は一目散に駆けだした。戦闘を止めなければ。

私たちアンドロイドに 『勇気』 は存在しないのに、


「まずは話し合いを試みるべきです!

 こちらとしては可能であれば平和的解決を希望します!」


私の声が聞こえただろうか。

その瞬間世界が裂けた。まるで空間が瞬きしたように。


異常なヒューム値、ゲート反応。

目の前が光り、裂目に空間が吸い込まれていく。


その亀裂から出て来る、赤い炎髪と黒く長い髪。

ミラシャさんと・・・、高位次元体の神様です。

私の回路が熱を帯びる。


「マスター! 増援ですが、戦闘はいけません! 武力背景を通じてお話ができそうです!」


「うわぁ~、圧をかけれる立場に変わった感じがしますが。そうしましょうか」


希望と言う不合理な解析だけが、メモリに残る。





いつもありがとうございます。


筆が遅いですのってないと言う事ですね。細々とやっております。

特に執筆は面白い活動ではないのですが、面白いと言って頂けるように書いていると言う矛盾。

仕事でも無いので、執筆の面白さに慣れたらやめてしまう。今更ながら、ニコニッコ動画が衰退した理由がわかります。

どうだ! 面白いだろう ~おしまい~


さて、15万字ぐらいをめどにしております。

この度も宜しくお願いします。



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