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13 宇宙人は来ていた。見た人もいっぱいいるしアブダクションされた人もいるじゃないか、なぜ宇宙人はいないと、うわっ

――


フォルティナ・ギンレイ


――


剣で銃をはじき返す謎の集団が出来上がっておりますね!


「銃口の角度で見切れる。見えてるぞ、引き金の 『おこり』 が」


「フラッシュノズルが教えてくれるッ、『次はココ』 だってさ!」

「そうだね、光は 『予告』 にすぎない。その引き金、遅かったね」

「弾道は意思そのものだ、お前の殺気全部みえているよ」


襲撃者がバッタバタと切られていきます。

どうなってます? そうはならないでしょう。

『剣は銃より強い』 のは少年誌でしかデータにありませんが、現実になっているのです。


この強さなら名だたる戦士として魔石を求め星々へ渡り歩く事もできるでしょうか。

今後について、相談ですね。

この星を再生するより、移住した方が安上がりに過ごせそうですけども。


――


マスターの前に銃部族の首領が引きずり出されてきました。

肩にはビームソードで焼けた跡、全身に黒い染みが目立ちます。

こちらを見る目が恐怖でおびえていますね。

まぁ、私。造形が美しいですから? 無機質で場違いな存在に見える事でしょう。


隣でマスターが真剣に悩んでおり、静かに口を開きました。


「フォルティナさん。きっとただ許すだけでは示しがつかないと思います、奪う者に対してどう沙汰を下したらいいでしょうか」


難題でございます。

ラブアンドピースと言いながら戦いを仕掛けるのが未開文明の日常。

首を落とさねば弱さと取られ、さらに奪われるのがセンゴク時代の常識でしたでしょうか。

マスターに聞かれた以上、提案を示さねばなりません。


「まずは治療をしてからですね。そこで公正な判断が下せると思います。時を稼ぎましょうか! なぜなら・・・」


炎髪を揺らしながら労いの言葉を今か今かと待つ、ミラシャさんと精鋭の3が嬉々として手柄を見せびらかしておりますので。


「シェフ様! この者どもの首を湖畔にさらしましょう!」


「ええ、晒しましょうか! この愚かさを永遠にこの地に刻むのです!」

「そうだね! 恐怖で秩序を取り戻すのがいい!」

「罪は顕示され、人は学ぶ? いい観光資源になるんじゃない?」


キラキラした目で蛮族的な事を伝えてきます。

首を晒して再発防止に努めるのはエド時代までですね!


対する私は 『これはやばいです! 早く収集をつけて下さい』 と言うモノクロの瞳でマスターに伝えます。


「・・・ひとまず、あずかりますか。皆さん、まずは治療を受けてください」


これを聞いた、ミラシャさん達が礼を取ると号令が発せられる。


「治療だ! すぐ治療に取りかかれ! 今すぐに治療マスクを吸うんだ!」


「承知致しました! 弱ったまま〇しても、リアリティにかけますからねぇ!」

「確かに! 治してから絶望を与えれば、生が惜しくなるというものですね」

「あれ? そういう感じ? 何も〇すまでもないと言う事かな?」


伝わったみたいで? 助かりました。


――


そして、問題が発生です。

治療マスクを渡すと、次々と剣士陣営たちがマスターの方へ駆け寄るのです。


「ああ、シェフ様・・・、もう死ぬのですね・・・。最後に手を握ってください・・・」

「シェフ様・・・、このまま三日三晩、ずっと横にいてくだされば、それでいいです・・・」

「わたしの最後の願いは一つ・・・、シェフ様、額に口づけを・・・それで成仏できます・・・」


演技が上手すぎます。


「お前達、どこでそんな寝技をみにつけた!? 師匠の私もやりたいと言うのに、クソッ! 強い事が残念に思う時が来るとは! ええ、シェフ様。こいつらは後でいいです。めちゃ元気です」


弟子たちのバイタルはグリーンで元気です。

どちらかと言うと恋に落ちていると言う現象ですかね。

さて、皆さんの治療を始めてしまいましょうか。


――


首領に治療マスクが押し当てられ、光が走る。

じゅうっと音を立てて裂けた肉が繋がっていった。


「ちょ、ちょっと!? な、なんで治してるんですかぁ!?

私、簒奪者ですよ!? 財を奪いに来たんですよ!? え、これ、間違ってませんか!?」


マスターは淡々と答えております。


「う~ん。まずは治しますね。生きてこそ、償わせられますかね?」


出ました。

慈愛と言う謎プロセス。これで彼女の集団が敵対的ならミラシャさん達に任せましょう。

彼女は、治療に何を見ましたかね。


「うぅっ、そ!? 生かされて働けと言われましたら、私たち本当に真面目に頑張っちゃいますよ!? 許していいんですか!? 本当に!?」


マスターは小さく笑みを浮かべる。


「もちろん。期待しています。今後、後方での労働と言う事でいいですか? これなら、不平不満も言われないでしょう」


「しょ、承知しましたぁああ!」


砂塵の夜に、首領の情けない叫びが響き渡った。


そうなりますよね。

マスター、私が一番近くにいます。

そこはお間違いなく。


――


マスター・ショータ


――


「仰せの通りに、捕えた銃部族を後方労働に回します!」


ミラシャさんが炎髪を揺らしながら、誇らしげに宣言した。

うちのリーダーはとても頼りになる。

肉体言語系が物を言う世界、ビームソードを持った彼女に逆らえる存在は居るのだろうか。


連れてこられた銃部族は、湖の青さと虹色ラクランジュの光景に目を丸くしつつも、渋々と畑作業や建築作業を割り当てられていく。


「ちょ、ちょっと!? 私たち射撃専門なんですけど~? いきなり畑作業や建築作業は無理ですよぉ?」


ビームソードがブゥンと光を放つ。

炎髪が緑の光に照らされ、はたからみても戦慄を覚える。


「お前の頭蓋骨が建築資材になりたいのか? シェフ様は心広いお方だ、よかったな。働けば主力以外は戦わずして食えるんだぞ。すごくないか?」


「すごい・・・。銃よりトンカチの時代がくるとは」

「すごい・・・。弾丸の雨を降らすより、土の雨の方がマシだしね」

「すごい・・・、鉄クズの交換レートが3食になるなんて・・・」


しぶしぶと、そして嬉しそうに彼女達は作業についた。

働かせることが最大の罰になるんじゃない? どんな文明もいきつく罰だ。

働いたら罰ゲーム。税金システムみたいなもの。

地球の税金システムもどうにかなんねーかな?


――


やがて日が暮れる。夕食の時間だ。

人数も100人そこそこ。1000人くらいまで処理できる優秀な厨房があるのでどうにでもなる。

問題は食料と物資がそろそろ心もとない。


本日は白身魚の酒蒸し。

巨大な白身の切り身が圧縮保管されていたので、食べてしまおう。


なにより日本酒がある。

在庫に日本酒って書いてある項目があったのだ。日本酒だぞ?

みんな気づいて欲しい、もうすでに宇宙人は地球に来ていたんだ。

政府がカバーストーリーで隠蔽してたんだよ!UFO目撃はプラズマじゃなかった、来てたんだよ。日本酒ってなんだよ。日本ってなに? ジャパン。そうジャパンだ。

いや、そもそも 『かぐや姫』 は宇宙人が来ていたメッセージで口伝だったんだ 『マスター、蒸あがってます!』


「マスター、蒸しあがってますよ」


そうね、蒸しあがっている。

ふわりと酒の香りが広がり、白い身はふっくらと柔らかい。箸をいれればほろりと崩れるだろう。

出汁を最後に上からかける。

最後に色どりに青菜やネギ類を添えて完成。


お気に召してくれるだろうか。


キッチンカーで鍋ごと運ぶと米を大盛にして全員が待機していた。

漂う蒸気とともに、配膳を今か今かと待っている。


「神の祝福だ! 魚が雲のように柔らかい!」 「無限に食べるぞ!」

「シェフ様が作った物なら何でもおいしいです」 「えっ、マジに神の祝福です? 食料に頭を悩ませなくていいとかマジですか? ついて行きます」

「?! 丁度いい味!! 塩がギリギリで魚の味を引きたてている・・・。つまり味薄い。それが素材を引きたてる・・・?!」


そうだよ。凄いよね? 料理の秘訣を動画で見れる時代に生まれたんだもの。

後は、塩加減で好みの調節を。


――


数日が過ぎた。


湖畔には、かつての文明の跡から持ってきた簡単な作りの建物が立ち並び人々は、命がけで狩に出かけ畑を管理し、ラクランジュは鉄材を加工する。


気づけば村が出来上がっていた。

隣に居るフォルティナさんがニコッと笑ったか。


「マスター、新たな時代が始まるのです。神聖マスター帝国を樹立して何とかの野望の様に天下統一を目指したい所ですが、星の寿命が尽きております。彼女達がこれだけ強いならどこでもやって行けそうですけども」


「どうしたものですかね。マジにこのアンドロイドもどうしたものですかね?

のぶなーがの野望を出して来るとは、驚きです。えっ、センゴク時代から宇宙人いましたよね? いや、やはりナスカの地上絵は宇宙の存在に対してのメッセージ・・・。

いえ、えっと。星の再生は現実的じゃないと言う事ですよね。ラクランジュの力を持ってしても20キロ四方が限界ですもんね」


「あっ、戦国時代も分かりませんし、ナスクァの大きな鳥の絵もわかりません! この星の魔石を集めても星の再生は難しいと思いますよ。まず恒星に核分裂を促さないといけないですし~」


科学の力も限界があると言う事。

世の中は等価交換、錬金術の何かで聞いたことがある気がする。


そこへミラシャさんと精鋭の3人、首領が目の前でひざまずき報告を始めた。


「どうですシェフ様! 銀神様の加護の下、秩序ある村の完成です!」


「理想としたユートピアです!」 「そうです! ただ戦うだけでいい」

「力による秩序、それはいつまで続くの?」


首領も泥だらけでトンカチを担ぎながら報告を始める。


「シェフ様、あの、仲間を呼んでこようかなって・・・思いまして・・・。ご迷惑でなければ血縁者とか、呼んできていいですか? まだゴロツキのような妹とか従姉とかいまして、宜しければここで働かせていただければ」


もちろんイエス。まだまだ余裕がある。


「ええ、困った事があれば何でも言って来て下さいね。君たちは貴重な労働力だ・・・?

ではなくて、まだ余裕がありますのでどうぞ。ここでのあなたの暮らしを見れば十分な信用を得ていると思います」


ドン! と何かの力に吹き飛ばされた、栗色の髪をした首領のリゼットさん。

イソイソと服を抜き出すのを静止してティアナさんが笑う。


「許しがでたぞ。いいじゃないか、もっと呼べ! シェフ様の神聖帝国はまだまだ広がる!」


――


そして、ここはラクランジュのバックヤード。

魔石庫に積み上げられた光の山をみてフォルティナさんがキラキラと緑の瞳を輝かせ報告して来る。


「マスター! この魔石を宇宙商会に売却したら、対価は膨大です! カラオケ区画の修理、波動砲、惑星モノリスまで買えてしまいます!」


惑星モノリス。生物の進化を促すハズ。

阻止案件だね。


「ついに来ましたか、女神様撃退装置。ですが、効くのか不安なので波動砲は後回しでいいと思います。食料の補給とここの暮らしの維持に必要な装置を先に購入しましょうか。いつまで狩りが出来るか分からないのも問題ですよね」


フォルティナさんは困ったように頷く。


「惑星コアに核を撃ち込んで、恒星に核分裂を促すまでの予算はありません。

あの巨人たちも数に限りがあります。惑星の中心、空間の亀裂、いわゆるダンジョンから漏れているものですからね。まもなく星の限界がきます」


現実は厳しいね。

移住計画しかないのだろうか。

エグゾダス。シド惑星。宇宙世紀を見てみるに、人は生まれた星を捨てれるはずだ。


「承知しました。ここでの暮らしを少しでも豊かにする方向でいきましょうか。どこまで人が救えるかわかりませんし暫くこのままでいきましょう」


「マスター、承知致しました。機能維持をキッチンカーに移します。まずは買い出しと参りましょう!」


――


翌日

湖畔に号令をかけて皆を集めた。


「皆さん、これから宇宙へ買い出しへ行ってきます。3週間程留守にしますね」


「キッチンカーに機能と設備を置いておきます。 魔石スロットに定期的に補給をお願いしますね!」


一瞬で、ざわめきが広がった。


「シェフ様が空に?!」  「留守にされるとは我々はどうすれば!」


と、声が飛び交い場がざわつく。


すると炎髪のミラシャさんが目の前で膝をつき、声を張り上げる。


「シェフ様、どうか命じてください! 貴方と共に宇宙に参りたいのです! 必ず命をとして守り抜きます!」


後ろから3人の精鋭の声も飛んでくる。


「必ずやお役に立ちます!」 「そうです、剣となり戦いぬきます!」

「宇宙に行ってみたいです!」


気持ちが嬉しい。あと、宇宙いってみたい気持ちもわかる。

だが。


「ミラシャさんたちには、ここの機能維持をお任せしたいのです。お願いできますか? 詳しい事はフォルティナさんから説明があるので安心してください。あなたにしか頼めない事だとおもっています」


「「「「やります」」」」」


さすが、リーダー頼りになる。

即答のこれなら安心できそうだ。


「護衛には、剣士ティアナさんを連れて行こうかと思っています」


すると弟子たちが。


「師匠、さよならですね! 今までありがとうございました、今日から私が師となります」

「育てて頂きありがとうございました。あんな広大な空へ行くとか狂ってますって。私には地がにあってます」

「師はお星さまになったのだ。そう、永遠に」


「お前たち?? 一緒に行くんだよ。逃がさんぞ、昏倒させても連れて行くからな」


こうして魔石も稼ぎ、ひとつの節目を迎えた。

では、宇宙ショッピングに行ってきます。


――


ミラシャ・リンバ


――


シェフ様と銀神様は2月たっても戻られなかった。

今はただ、分社の 『きっちんかぁ』 だけが、光を讃えている。





いつもありがとうございます。


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