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#1 ア・ストレンジエスト・ファイト・ナイト

「ゲレレ!こんばんはマイワイフ!」

タツマ・ハヤシダは困惑した。

彼は二ホンで生きる一般的な男子高校生だ。

市立ヘリオス高校に通い、成績は並以下だがそれでも楽しい学生生活を送っていた。

彼の記憶は、トラブルになり、ナイフで刺された場面で一度途切れている

男は血に濡れた白衣を着ていた。この男が治療したか?

分からない、ただ気味が悪い。

タツマは目の前にいる自分をワイフと呼んだ気味の悪い男に怒号を飛ばす。

「なあオッサン、俺男なんだけど」

タツマは口をつぐむ。声が高い。いや声が違う。

自分の身体を見直す。これは…女のカラダだ。

「はあ…えっ俺お…女の子になってる!?」

なんとか体を動かし、白衣の男から必死に遠ざかる。しかし立てない。

生まれたての鹿のような。あるいは初めてゲームをやる子供が動かすキャラクターのような。

彼の脳は新しい体に適応できていないのだ。

「ゲレレ、心配はいらないよマイワイフ。しばらくすれば立てるようにもなる」

タツマの心は、困惑から怒りへと支配者が変わりゆく。しかしアドバンテージは以前向こうにある

「私はゲタレツ。医者だよ。君を治療して、生まれ変わらせたんだよ。私の理想のマイワイフ…それを生み出す折角のチャンスを生かしたんだ。ゲレレーッ」

怒りから恐怖へ、心が移り変わる。タツマは戦えない

「た…助けて…」

怪人ゲタレツが迫る。彼は変態だったのだ。突如、ドアが大きな音を立てて開く。

「博士ェ大変です!病院が…第2病院が襲撃され、爆破されました!!!」

「うるせえぞ!今から初夜おっぱじめようと…なんだって!?」

タツマは回らない脳で考える。第2病院?近所の病院だ。あそこが何で?なんでそんなことを?


ズガガ―――ン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


壁が吹き飛んだ。白い塊が突っ込んできて、ゲタレツと部下を押し潰した。

それは殺戮兵器ではない。救急車だったのだ。

それがやったのは殺しだ。だがタツマにとっては救いだったのだ。

車のドアが開き、運転手が降りてくる。

タツマは感謝の念を抱いた。しかし彼は運転者…彼を救った者に困惑に落とされた。

彼は全裸だ

騎士のごとき白銀のヘルメット、そして西洋風の剣を背負っている。

しかしそれ以外なにもない。モノは包み隠されずブラブラしている。

筋肉質な男体を晒すことすら気にせず、男はタツマをじっと見つめる

「…メイ」

「…はあ?」

全裸男はまた女の名で自分を呼ぶ。タツマは気が変になりそうだった

「あの…俺タツマなんだけど…人違いじゃねえかなあ」

「…」

男は黙っている。表情は見えない。怒ってる?悲しんでる?分からない」

咄嗟に男は、剣を掴む。殺されるのか?タツマは身構えた。

瞬間、男は竜巻のごとき高速回転を行い、剣を撃ち込む。

ガンッ

車の下から這い出したゲタマツの手先らしき男の首が飛んだ。

「ひいっ」

恐怖を感じたタツマは必至で離れる。飛んだ首がジワジワと音を立て、人でないエビのような顔になる

ゲタレツも救急車を蹴り飛ばし、怪物のごとき姿を晒す。

「なめやがってェ…貴様が第2病院爆破の犯人だなテロリストめ!!病院への攻撃はテロとしても最悪だぞ!」

全裸筋肉男は侮蔑に満ちた口調で言い放つ

「患者の死体をゲスに売る病院など病院ではない。あそこにいた貴様の友達と同じ場所に、貴様を送ってやる」

「ほざけえっ」

エビ怪人達は全裸剣士にとびかかる。

「デヤアーッ!!!」

数は圧倒的にエビ怪人達の勝利だ。しかし剣士は一振りで3体、4体…何体も切り刻んでいく

「キャーハハハ!今度は俺たちが相手だ」

「グファファ、ゲタレツ先生からもらったこの体ならこわかねえ。俺は無敵だ」

改造された人間が姿を現した。両腕がナイフの男、そして巨大な男。どちらも通常の人間ではない

全裸の剣士は彼らの挑発を受けた。1vs2、それすら気にせず戦いへ飛び込んでいった。


一瞬で改造人間も死体の山の一部となった。タツマはここで気づいた。ゲタレツの姿がない。

後ろか!気づいた時にはゲタレツの手によってタツマは人質にされていた

「てめえ!ワイフとか何とか言っといて結局自分がかわいいのかよ!」

「ほざけ人間!貴様なんぞ知るか!俺はもっともっと生きていたい!やりたいこともあるんだよ!」

剣士は真正面、二人をじっと見つめる。そのスリットから垣間見える眼はまっすぐだ。

「貴様が人質を取るような弱者なら、その作品やお仲間も弱いか。当然だな。」

男は力を籠めつつ姿勢をとる。これは…突きの姿勢だ。

「ま…待て、お前この人間ごとやろうってのか?!おかしいだろこいつ人間だぞ!!」

「言い訳無用だ。」

タツマは考える。これはハッタリ?それとも本気?

結論は…本気だ。彼は何の容赦もなく改造人間の首を撥ねた

ゲタレツに体をいじられたらしき自分も殺すつもりだ

「うわああーっ俺も生きていたいんだーっ」

生存本能か、咄嗟に手が動く。そしてゲタレツの眼を激しく突く

「があっいてえっ」

一瞬だった。倒れこむように横に避けたタツマが見たのは流星のように突撃する剣士だった。

ズドン バリバリ

ゲタレツの顔に刺さった鋼がギラギラと煌めく。

「あっ…あっ」

「グググ…デヤアーッ!!!!!」

ゲタレツの身体に突き刺さった剣は下方向に振り下ろされる。

「すげえ…なんだよあれ…」

タツマは怯えながらも、自分を救った勇者に目を向ける

自分を改造した怪人は死んだ。勇者が倒したのだ。その安ど感がタツマを包む

この男は自分を殺すかもしれない。それでもタツマは安堵を止められない

「あ…あんた、名前は?」

意識が薄れていく。

「…マサハシだ」

男はタツマを担ぎ上げ、崩壊した施設と死体の山を後にするのだった。


続く

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