表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/18

第7話 勇者、裏切ると思われる

 俺はリューガさんにつれられて、魔族軍の竜人族部隊と面会することになった。


 断崖絶壁の洞穴で暮らす竜人たちなだけあって、会合場所もそんな洞穴のひとつ。

 きっとリューガさんと同じで誠実で家族想いな人たちだろうと思ってワックワクだった。


 だがしかーし!

 面会した途端、戦士の一人が叫んだ。


「簡単に仲間を裏切るやつなんて信用できるかーーーー!!」


 まさかの仲間入り拒否。

 青年は俺の隣にいるリューガさんに詰め寄る。


「伯父上!! 本当に勇者なんかを仲間にしたのか。先代勇者が爺さまを殺したのを忘れたとは言わせないぞ!」

「落ち着けアストモ。ルーザーは話が分かるやつだ。勇者であっても儂ら魔族側についていいと言ってくれたのだぞ」

「仲間になったふりをして寝首をかかれたらたまんねーよ!」


 あー、そうですよねー。そう思われても不思議じゃない。

 でも今更戻ってハラクローイのために戦えなんて言われても、指一本動かしたくないのよねー。


「アストモだったな。どうしたら信じてくれるんだ?」

「なら答えろ。なんで魔族側についた。何が目的だ。一度は忠誠を誓った王を、なぜそんなにあっさり裏切れるんだ。戦士としての誇りはないのか!」


 矢継ぎ早に聞かれ、俺は即座に答えた。


「むりやり勇者にされたあげく、しんでしまうとはなさけないって言われるからだ。あの国を守るなんてまっぴらご免」


 アストモの顔が凍り付いた。なんだそれは、と他の竜人さんたちもざわついている。


「なん、だと……。人類のために自ら立ち上がったわけではないのか?」

「いきなり呼び出されてこの剣を持たされて、「はい、勇者になったから魔王倒してこい。これしきのことで死ぬなんてなさけねーな」っていう展開。一方的にもっともらしい使命背負わされて迷惑してんだ。だから愛国心なんて0よ。あんたたち魔族の方が話が分かると思ったからこっちについたんだ」


『きゃー、ルーくんサイテー』


 ユーちゃん様は黙らっしゃい。

 せめて魔族軍と戦うための資金を出してくれるなら、まだ頑張ったかもしれないけど。1EN(ハラクローイの通貨)も出してくれないなんてクソですわ。

 資金0じゃ、うめー棒(12EN)も買えやしない。


「皆の者。これでルーザーの事情はくんでもらえたな。これからは我らの仲間だ」

「ああ、伯父上。すまなかったルーザー。魔族の国を守るためにも、供に頑張ろう」


 友情が芽生え、がしっと交わされる抱擁(ほうよう)


 メキメキミシイ!!!!


「ぐふっ」

「あぁ! ルーザーーーー!!!!」


 俺氏、三回目の死亡。

 死因:熱すぎる友情。


ルーザー4「まーさか、ハグで死ぬと思わないじゃん?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 勇者、明日の仲間(友)?によって命を落とす…。 そしてまた振出(ハラクローイの王城)へ。
2023/08/02 09:21 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ