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The lost light memory  作者: Akamatu Kunugi
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1話 油売りと宿屋

第1章光と闇と喪失と


   油売りと宿屋


 「やっと着いたー」

愛も変わらず能天気な口調である

 「長かったですねー今日もお疲れ様です!」

女はそう言うとそそくさと何かをし始めた

 「やっぱり王都は広いなー」

視線の先には煉瓦造りの商店街がずっと続いている、その奥にはこれぞ“城”と言うような立派すぎる王城が構えていた

ここは、最も太陽に近い街として一世を風靡したラーガンダ城の城下町である、今となっては太陽に近いだなんておぼろげな真実となってしまったのだが・・・

それでも人々の交流が絶えることはなく、全国の情報・商品・武器やらが一斉に集まってく中央都市である。

 「さてと、ガンさん今日も始めますよ」

女は手のひらから少しはみ出すくらいの革製の巾着袋を手ににぎり男に話しかけた

 「いっちょやりますかー」

男の名前はガン・クロームウェルと言った、これと言った特徴はないが印象に残りやすい顔をしている、容姿端麗とまでは行かないが結婚相手には困らなそうな顔立ちである

 「じゃーまずは、宿屋のお母さんからあたってみますか!」

女は男に許可を取る間もなく足を進めていった

 「あいよー」

男も女を止めることはせず馬車を引いた

 「ごめんくださーい」

女は躊躇することなく、木製のドアを押し開き、中に入っていった

 「はーい、あら、いらっしゃい」

カウンターにはいかにも優しそうな女の人が立っていた、年齢的にみても女が言っていた“宿屋のお母さん”で間違い無いだろう

内装はこれぞ宿屋といったシンプルなもので石油ランプの暖かい光が部屋を照らしていた

 「夜光油の販売で来ました!」

日中消失した世界では夜光油の需要が鰻登りに上がっていった

夜光油は、ダライト山地でとれる特殊な油で、火をつけるとメーザを寄せ付けず明るく発光するため、暗闇の中を歩く旅人や商人から重宝される代物である

 「あぁ助かるよ、ちょうど切らしていた所だからね」

いえいえ、こちらこそいつもありがとうございます!今日はどのくらいお買い上げになりますか?

 「そうだねぇ、2タルくらいお願いしようかしらね、最近油売りがどんどん減っていってなかなか買えないからね

2樽ですね!14シリカになります!」

「やっぱマリちゃんのところの油は安いねぇ、助かるよ」

そう言うと、お母さんは14枚の龍が描かれた銀貨をカウンターの下から出し、女に渡した

それを受け取ると大事そうに持っていた巾着にしまった。

 ありがとうございます!

 「あら?今日は泊まって行かないのかい?」

そ「うなんですよ、今日はまだ油を売らなきゃで・・・」

 そうかい、またいつでも寄っておくれな

 「はい!ありがとうございます!」

そうして、女はゆっくりとドアを閉めた


 「おつかれー」

ドアの横には、いつもの男が壁にもたれかかっていた

 「はいはーい、一緒に来ればいいのにー」

女は、口を尖らしてそう言った

 「あはは、人見知りなんだって」

そう言って男は馬車を走らせた

 「次はどこ行くんだー?」

  「次は・・・」

7、8件回りおわり、そろそろ油が売り切れる頃、


『ダーン!』


大きな銃声がうなりをアげた、音の方向はあの宿屋だ

「 おい!マリア!行くぞ!」

男の顔は、さっきまでの能天気な顔から一変し、汗を垂らし鋭い目つきで宿屋を睨みつけていた

  「え!?まさかあのお母さんが?!」

 「いや、まだわからない、でも、行くしかないだろ!」

(いや、まさか、そんなはずはない、よりに寄ってそんなこと)

よくない妄想だけが頭を駆け回る

多くの人々をかき分け、掻い潜り10分くらい経った頃だろうか、銃声のなった音源にたどり着いた

男は、汗が滲んでいる手で思いっきりドアを押し開ける、まだ微かに火薬の焼けた匂いがする

 「大丈夫か!!」

さっきまでの男からはありえないどの叫喚だ

宿の中は不吉なくらい静かで、石油ランプの光は命を失っていた

男が咄嗟にランタンに火をつける

そこには、何か固まりかけている粘性のある液が床一面に広がっていた

それを辿ると・・・

 「きゃ!!」

後ろから追いかけていた女が甲高い声を上げる

そこには、ドス黒い液を腹部から垂らしたあのお母さんが床に張り付いていた・・・


お待たせいたしました!なんとか投稿できました!

今後ともよろしくお願いいたします!

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