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箱庭の王様  作者: 山司
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第17章 奴隷 7

第17章

奴隷 7





▪️▪️▪️▪️





無事に賢者 ラノイツロバーの遺産の“エヴィエイションクルーザー”を発見した僕達は、昼食後、ヴィアルトには建物の入り口で見張りをお願いして次の探索ポイントへと向かった。



5つ目の探索ポイントは、元々のワルトルットゥ師団からの報告では、「本命ではないか?」と、言われていた建物だ。


まあ、先程、目的のモノは見つかったので、本命では無いのだが、そう言われていたのは、建物の構造と厳重なセキュリティに有った。


この建物は、ルベスタリア王国にあるエアポートタワーと同じ形状と構造で、管理者権限が無ければ殆どの部屋に入る事が出来なかったらしい。


まあ、現在は“イモータルデマイス”と云うチート装備が有るので、鍵が無くても入れるのだが、“イモータルデマイス”はS級A級代理官しか持っていないので、探索は結構大変だっただろう。



しかし、ワルトルットゥ師団の苦労の甲斐も無く、此処には大したモノは無かった。

地下もエアポートタワーと同じく4階迄有ったのだが、地下4階の隠し金庫に財宝が有った程度で、“エアーカー”や“エアーバス”の製造ラインも無かった。


もしかしたら、ナエラークの実験が成功したので、新たにドラゴンを捕まえて“エヴィエイションクルーザー”工場を作る準備段階だったのかもしれない。


ああ、魔物は、お馴染みになりつつあるエンペラークリムゾンブラストモビリティオークが居たが、もはや子供達すら眉一つ動かさない。

其れにコイツらは何も装備していないので、戦利品の旨味も無い。



そして、今回の探索予定地最後の1つ、魔物街 アコウツウの魔王城の地下へと向かった…………




古代遺跡都市には基本的に中心に最も高い建物が建っていて、元々は古代魔導文明時代の行政の拠点となっていた。


しかし、魔物が跋扈する遺跡都市となってからは、そこはその古代遺跡都市の魔王が君臨する魔王城となってしまった。


此処、魔物街 アコウツウでも、同じく中心に最も高い建物が有り、そこの最上階には、Sランクの魔物、ライトニングブラストモビリティオークが君臨していた。


ライトニングブラストモビリティオークは、ブラストモビリティオークの上位の魔物で、風魔法と雷魔法を纏って突っ込んで来る非常に危険な魔物だ。


まあ、既に我がルベスタリア王国軍の大将ワルトルットゥ率いるパーティーに討伐されているが…………


Sランクの魔物が単体で現れても、S級A級代理官達の敵では無いので特に危なげなく完勝だった様だ。




そして、地下にもライトニングブラストモビリティオークが現れた。

其れも3体だ。


やはり、地下の方が魔物は強い事が多そうだ。



僕は自身では初めて戦うライトニングブラストモビリティオークを警戒し、魔法を纏う前に瞬殺した!!


安全第一だからね。



またも、ワルトルットゥ達が色々言っていたが、もちろん無視だ。


さすが魔王城の地下で、今迄誰も来ていなかったのだろう、魔導具類も色々と発見回収が出来た。

特に武器類は、僕の凄メガネも知らないモノが幾つか発見出来たので、ちょっと期待している。



此処の地下は3階迄で其処迄特別でも無く、エレベーターも“エヴィエイションクルーザー”が乗る程の大きさでは無いので、本来なら探索候補からは外れるのだが、一応魔王城の地下なので、候補の1つに入れていたのだが…………




「…………なんだコレ…………」


「…………人間?でも…………」


「あの、ぱっと見ですけど、マンガなんかに出てくる、“アンドロイド”じゃないですか?」



ルーツニアスの言葉が僕の頭の中でも反芻される。

まさしく、“アンドロイド”を作っているかの様だ…………



大きな水槽には黄緑色の液体が満たされて、中に少女が浮いている。

その少女の背中には、太い金属の管が繋がっていて、全裸の彼女が身に付けているのはそれだけだ。


15歳前後、一般的には成人するかしないかといった年齢で、長く美しい金髪を水中で靡かせている…………



此処までならば、何かの治療か、人体実験かと思っただろう。

しかし、彼女は1人では無かった。


同じ水槽が8つ。

そして、彼女も8人居るのだ。


人間そっくりのロボット、“アンドロイド”を作る工場を絵に描いたような光景だった…………



「…………此れはちょっと、僕の手に負える施設じゃないな。

ナエラークとアエルゲインに相談すべきだ。


…………でも、さすがに魔王城を持って帰ったら異常事態を調べられちゃうよなぁ〜……」


「そうですね、魔都 ウニウンでの様には行かないと思います。

特に、この魔物街 アコウツウは、アルコーラル商国が根刮ぎモノを運び出していますから、建物が無くなったら徹底的に調べられるでしょう」


「だよねぇ〜……。かと言って、此処の中身だけ持って帰るってなったら、間違い無く動力が切れて、何かしらの影響が出ちゃうよねぇ〜……


動力源は地下2階だから、一旦引っこ抜いて、地下2階と地下1階を斬り分けて、もう一回突っ込むとかどうかな?

凄く倒れ易くなっちゃうだろうけど」


「…………そうですね…………

其れなら、新たな地下を作ってすげ替えるのはどうでしょう?


ただの“イモータルウォール”の箱では動力源が無くなった建物が強風の影響を受ける可能性が有るので、トンネル工事で出た土を限界迄詰め込んで重さをつければ、余程の地震か嵐が来なければ耐えられるのではないでしょうか?」


「お、其れが良さそうだ。

まあ、将来的にこのビルが倒れても、僕の関与が疑われないなら問題ないしね。


ワルトルットゥ、今のトンネル工場の責任者は?」


「現在は、マイテーゼとゲーイエルですね」



マイテーゼが居るならちょうど良い、彼女はアエルエンタープライズを引っこ抜いて持って帰った時に一緒に穴掘りをしたから、要領が分かるだろう。


直ぐにネイザーに連絡を取らせて、この建物のサイズを計測した。


新たな地下2階3階は、トンネル工事現場で作ってから持って来て貰う段取りとなって、僕達は、みんなでビルの周囲を掘り起こす作業を行った。


万が一、ビルが倒れてはいけないので、子供達は、一旦ヴィアルトのところに待機させようかと思っていたのだが、本人達が手伝いたいと言って来たので、一緒にやる事にした。


今回は、このビルそのものは将来的に倒れても構わないので、耐震構造もお構い無しに、ぶっ壊しながら掘り進めたのと、アエルゲインが改良を加えてくれた“ディガップピックル2”が有るので非常に早い。


この“ディガップピックル2”は、トンネル工事が少しでも捗る様にと、縦横を最大10mにする代わりに、深さを5m迄掘れる様になっている。

まあ、コレを地面に向かって使えるのは、5m以上のジャンプが出来る必要があるが、横向きに使うトンネル工事にはとても有効だ。


今回の同行メンバーは子供達以外は5m以上ジャンプ出来るのでもちろん地面に向かって使った。

凄まじいスピードでどんどん掘り返して、日が沈む頃には、建物の周囲を掘り返す事が出来た。




日没と共に、先ずは発見した“エヴィエイションクルーザー”の搬出から行った。


ルーツニアスとヴィアルトの使用者登録を行って、先ずはエアポートタワー製の方を外に出す。

続いて、賢者 ラノイツロバーの遺産を“エアーバイク”で牽引して外に出す。

“飛行ユニット”で常時浮いているので、“エアーバイク”でも楽々引っ張れた。


外に出したら、エアポートタワー製とラノイツロバーの遺産をワイヤーで密着する様に括り付け、そのまま、魔物街 アコウツウの外の合流ポイントへ向かった。



合流ポイントでは、既に“ハイスツゥレージセカンド”と“ミグレーション5番艦”が待っていて、乗って来た“エヴィエイションクルーザー”は、そのまま、ルーツニアスとヴィアルトがルベスタリア王国に乗って帰って、僕達は、“ハイスツゥレージセカンド”に乗り換えだ。


乗り換えた後は、“ハイスツゥレージセカンド”で魔王城の屋上に向かった。



“ハイスツゥレージセカンド”の甲板には、ビルを既にぶら下げる用のワイヤーが準備されていたので、屋上に着陸すると直ぐに、ワイヤーアンカーになる“イモータルウォール”を屋上の四方にくっ付けて、“ゼログラヴィティバック”を被せ、そのまま、移動開始だ。


以前と違って、“スピリットコミュニケーションデバイス”で艦橋とやり取りが出来るので、非常にスムーズだ。



もう一度、合流ポイントに戻って、魔王城ビルを地上に降ろすと、僕も“天地鳴動”の“飛翔”魔法を使って地上へ向かって飛び降りる。


ビルの本来の1階部分、現在の4階?に着いたら急ブレーキして、建物の中へ。

エレベーターで地下2階に降りたら隅から隅まで駆け回って、天井と壁の境目を“千変万化改”の“イモータルデマイス”で斬り裂いて行く。


全て斬り裂き終わったら、“スピリット”で、ツナフォーテにラブコールをして、再度魔王城ビルを持ち上げて貰う。

徐々に離れて行く天井を見送ると、今度は入れ替わりで“ミグレーション5番艦”がやって来て、ワイヤーを降ろして来る。


4本のワイヤーアンカーを地下2階の4隅に固定したら、再び“飛翔”魔法で魔王城ビルへと向かう。


魔王城ビルは、“ミグレーション5番艦”が持って来てくれた、土がいっぱい詰まった新地下2階3階と既にドッキング済みだったので、接合部分の“イモータルウォール”をぐるっと一周くっ付けて回り、そのまま上昇して、“ハイスツゥレージセカンド”の甲板へと戻る。


そして、“ハイスツゥレージセカンド”はアコウツウの中心へ、“ミグレーション5番艦”はルベスタリア王国へ向かって動き出す。



魔王城ビルを元の場所に戻したら、念の為、倒れない様にワイヤーで吊ったまま、僕はまた“飛翔”魔法で、地上に降りる。


掘り返して出来た土の山の外側へと着地して、“風の壁”の魔法で、一気に土を掘り返した穴へと押し込む。

其れを四方で行って、適当に穴を埋めたら、また、“飛翔”魔法で飛び上がって屋上に行き、ワイヤーをアンカーから外して、甲板へと持ち帰る。


最後は甲板のワイヤー用ポールにワイヤーを巻き付けて、お片付けが出来たらミッションコンプリートだ。



甲板で見学していた子供達だけで無く、一緒に見ていたワルトルットゥ達も呆然としていた。

ペアクーレとネイザーは慣れたモノなので、普通に子供達にお風呂に行く様に言っている。


僕もゆっくりお風呂に入って、みんなで揃って夕食だ。


“ハイスツゥレージセカンド”は、既にルベスタリア王国に向かっていて、明け方には到着予定だ。



夕食後には、昨日同様に、子供達に今日の感想を聞いた。

昨日とは違い、みんな明るい表情で、僕を褒め称えてくれていたが、ハッキリ言って全く内容は無かった。


まあ、この子達では、殆ど僕の動きが見えていなかっただろうから仕方がない。


とは云え、昨夜の様に、不安な表情や悩む表情が無く、終始子供らしい前向きな言葉が出ていたので、今回の探索に同行させた事は大成功と言って良いだろう。

結構なショック療法ぽかったが、さすが、親衛局長ペアクーレのアイディアだ。



そして、解散となったところで、僕はスーオングロッドに、


「スーオングロッド、ちょっと、僕の寝室に来てくれ」


と、声を掛けた…………



失敗だった。

完全に僕のミスだ。


この言葉を聞いた、スーオングロッド本人は、


「ひゃ、ひゃい!!!!」


と、裏返った声で噛んでしまい、スーオングロッドよりもハッキリとS級代理官を目指すと言ったトラーズアンは、驚いた後に、泣きそうな程、悲しそうにして、残り4人の子供達とワルトルットゥ達は、全身で驚きを示すリアクションをした。


事情を知っているペアクーレとツナフォーテは、ちょっと僕の言い方にジト目を向けていて、恐らく全てを予想出来ているであろうネイザーと、ネイザーから聞いたであろうティエットだけはノーリアクションだった。



「ごめん、スーオングロッド。

言い方が悪くて、みんなに勘違いされたっぽい。


ちょっと、大切な話しがあるから呼んだんだけど、この“ハイスツゥレージセカンド”には、執務室が無くて、僕の私室は寝室だけだから、寝室に呼んだんだ。


誤解させてごめんね」


「!!い、いえ、全然、全く、問題無いです!!」



みんなもなんだか安心した様な表情をして、しかし、その後で、スーオングロッドを心配する様な表情を見せている。


「一応、言っておくと、隠す事じゃあ無いけど、スーオングロッドにとって大切な話しだから、2人で話すだけだよ。


気になるなら、話しが終わって、スーオングロッドに聞いても良いからね」



そう言うと、スーオングロッド本人も含めて、大分緊張が取れた様だ。

まあ、此れはモノは言い様で、聞いたところで本人が話すとは限らないのだが…………



そのまま、食堂を一緒に出て、寝室へ。

当然の様にペアクーレは付いて来て、ごく自然に、お茶の用意を始めていた。


テーブルを挟んで腰掛けた、スーオングロッドは落ち着かない感じで、視線をチラチラと部屋中に向けている。

ペアクーレのお茶が出て来て、2人で一口付けてから、話しを切り出した。



「スーオングロッド、昨日、話していた代理官を目指すと云う気持ちは、今日も変わっていないかい?」


「!!はい、変わっていません」


「そうか。

もう、学校で代理官の仕組みは習ったかい?

なる事の難しさについても」


「いいえ、まだ、学校では代理官がどう言った存在か習っただけで、どうやったらなれるのかは習っておりません」


「そうか。

じゃあ、簡単に説明するけど、代理官にはC級、B級、A級、S級がある。


で、其々に試験があって、C級、B級については年に1回1月に、A級については5年に1回9月に試験が行われる。


この試験に合格したら代理官になれるんだけど、代理官は例え勤務が役所や病院であっても、生活法で定められた武術の訓練だけで無く、戦闘の訓練が義務付けられている。


此れは、大きな怪我を伴う可能性の有る厳しい訓練だ。


そして、もちろん、C級代理官の訓練よりもB級代理官の訓練の方が厳しい。

その厳しい訓練に耐えられなければより上位の代理官の試験を受ける事は出来ない。


此処までは良いかな?」


「はい、大丈夫です」


「うん、じゃあ、本題なんだけど、キミは昨日の会話で、S級を目指す様な口振りだった様に僕には感じられたんだけど、僕の勘違いじゃあ無いかな?」


「!!ひゃ、ひゃぃ!!か、勘違いじゃないでしゅ!!」


「大丈夫だよ、スーオングロッド。

緊張しなくて良いから、落ち着いて」


「は、は、はい!!」


「じゃあ、S級代理官がどんな存在かは分かってるかな?」


「え、ええっと、ペアクーレ様や、イデティカ校長先生の様な、その、国王陛下の女性と言うか…………」


「うん、僕の大切な女性である事は間違って無いけど、S級代理官はね、ルベスタリア王国で最上位のA級代理官と同等の能力と権限を持っていて、尚且つ、僕に女性としても人生の全てを捧げてくれた娘達なんだ。


さっきの話しで言うなら、A級代理官試験に合格しなければ、S級代理官にはなれないって事だね。

ただ、逆に言えば、A級代理官試験に合格出来れば、S級代理官になるのは気持ち次第って事でもある。


でも、A級代理官試験に合格出来るのは、本当に一握りだけだ。

人一倍以上の努力と、とても強い覚悟が無ければ合格は出来ない。


もちろん、其れでも頑張るって言ってくれると思うけど、キミには1つ問題がある」


「!!」



真剣な表情でじっと聞いていたスーオングロッドが、ビクッと身体を震わせる。

言わずもがな、自身の体質の事だと思って、身体を強ばらせるている。



「そう、キミの体質の問題だ。


僕がキミが望むなら、男性か女性か、希望する方にしてあげると言ったのを覚えてるよね?

でも、此れは、キミがルベスタリア王国の一般市民として暮らして行く事を前提で言ったんだ。


代理官になるなら、この、男性か女性かになる手術を行う意味が無くなってしまうからだ」


「!!そ、そんな!!」



スーオングロッドが、今にも泣きそうな顔で、身を乗り出して来る。

僕は、其れを手で制して、「落ち着いて、最後まで聞いて」と言って続きを話す。



「先ず、代理官になると、手術の意味が無くなる理由は、さっき言った過酷な訓練にある。


代理官の訓練は大きな怪我を伴う事もある訓練だ。

だから、訓練で怪我をしたら、直ぐに怪我回復ポーションを飲むんだけど、コレが問題だ。


怪我回復ポーションを飲んでしまったら、手術を行った事も回復してしまう。


普通に生活するのなら、怪我回復ポーションを頻繁に飲む事は無いから、万が一、大きな怪我をしたら、その後でもう一度手術をすれば良いけど、代理官になったらそうは行かない。


だから、もし代理官になるなら、男性か女性かどちらかの身体になる事は諦めなくてはいけない。

そして、S級代理官になるか、そのままのキミを受け入れてくれる相手を探すかのどちらかになる」


「!!」



僕が先程制止したからか、スーオングロッドは口をキュッと結んだまま、涙目だった顔を驚いた様な表情に変えてその後でまっ赤にしている。



「一応ハッキリと言っておくと、僕はキミがA級代理官試験に合格したら、S級代理官として、そのままのキミを受け入れるよ。

だから、A級代理官試験に合格出来たら何の心配も要らない。


でも、もしも、途中で挫折してしまったら、代理官を続けてそのままのキミを受け入れてくれる相手を探すか、代理官を辞任して男性か女性かどちらかとして生きるかの選択をしなければいけない。


但し、此処にも問題がある。

ハッキリ言って、ダメだったら辞任すれば良いと考えている様では、先ずB級代理官にすらなれない、A級代理官は絶対に無理だ。



だから、キミは他の子達の様に、『頑張って挑戦しよう』と云う気持ちでは無く、『絶対にS級代理官になる』と云う強い覚悟で取り組むか、最初から代理官は諦めて普通に暮らすかを決めた方が良いと思う。


もちろん、今此処で答えを出す必要は無いよ。

ゆっくり考えて、決めれば良い。


その上で、今現在、キミはどう考えてる?」



スーオングロッドは、期待と不安の入り混じった表情で、「1つだけ質問しても宜しいでしょうか?」と、断って聞いて来た。


「あの、『そのままの私を受け入れて下さる』と、云うのは、やはり、私の身体を同情して下さってと云う事ですか?」


「いいや、キミの期待している通り、僕はキミの体質の事は全く気にしない。

だから、そもそも、キミの体質の所為で受けて来た辛い日々には同情しても、キミの体質そのものには同情自体していない」



僕の言葉を噛み締める様に、スーオングロッドはゆっくりと目を閉じると、今迄に無い、強い意志の篭った目で、僕を見詰めて来た、そして…………


「私は必ずS級代理官になります!!」


ハッキリとした声でそう言った。


最初に話した、洗脳されて嘘に塗れた声でも、昨日迄の何かに怯えた様な声でも無い。

自分の意思持って、自分に自信を持ったハッキリとした声で。



その声と真っ直ぐな眼差しに、僕は彼女が必ずS級代理官になるだろうと確信した。


僕は、ゆっくり立ち上がって「期待しているよ」と、彼女の頭を優しく撫でた…………






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