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箱庭の王様  作者: 山司
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第17章 奴隷 5

第17章

奴隷 5





▪️▪️▪️▪️





我がルベスタリア王国に新たに加わった6人の元奴隷達は、現在、ルベスタリア国立学校に通っている。


両性具有のスーオングロッド、ツノの有る少女のトラーズアン、キバの有る少年のアフェンジ、ツノとキバが有る少年のフラムフォーゲ、片腕がオーガの様に巨大な少年のネアロム、両腕が巨大な少年のローナグムの6人だ。


全員が幼い頃は、その特徴が其処迄目立っておらず、普通に幼少期を過ごし、徐々に特徴が目立って来たり、突如その特徴が露わになったりして、バケモノ扱いを受け、間も無く奴隷として親に売られてしまった子達だ。


12歳から14歳の少年少女で、スーオングロッドと同じく、記憶の消去は行わずルベスタリア王国で暮らす事を選択した。


スーオングロッドに関しては、性別を何方かにする提案を行ったが、残念ながら他の5人は、その身体的な特徴を消してあげる手段が無い。

なので、周囲からの嫌悪の視線を恐れていた様だが、他の5人に対しては、アエルゲインの存在が恐怖心を拭うキッカケになってくれた。



もちろん、初めて見た者は、彼らに驚いたが、其れだけだ。

その後は、口々に、「ルベスタリア王国に来れて、ラッキーだったな」、「此処にはキミ達を差別する様な人は居ないから安心して」と、優しく声を掛けていたそうだ。


本当に、僕は国王として鼻が高い。

ルベスタリア王国民は僕の誇りだ。



そして、彼らが学校に通い始めて2週間程経った今日、ルベスタリア国立学校校長のイデティカから相談を受けた。


「…………つまり、『メシャベチャンへの恐怖心を完全に消し去る方法が無いか』と、彼らから相談されたって事か…………」


「はい、彼らもルベスタリア王国に馴染んで来て、この国を裏切りたく無いと思い始めている様です」


「なるほどね…………

でも、トラウマって云うのは、自分で乗り越えるか、更なる何かで上書きするしか無いだろうと思うんだよね…………」


「…………ノッド様、其れなら私に良いアイディアがある!!」


ペアクーレがそう言って、ガッツポーズをした。

確かに、ペアクーレはちょくちょく天才的なアイディアを出してくれるのだが、なんだかこの自信に満ち溢れた言い方に、僕は若干の不安を抱いた…………






「「きゃああああああああ!!!!」」

「「うわああああああああ!!!!」」



恐怖に叫ぶ少年少女に、3mはあろうかと云う、ラージビルドオークが迫る。

その巨体で振り上げる金属の棍棒は、彼らを一撃で葬ってしまいそうな迫力がある。


しかし、その棍棒が振り下ろされる事は無かった…………


僕が、左右真っ二つに斬り裂いたからだ。


その後も、少年少女の悲鳴に引き寄せられた、オーク系魔物が次から次へとやって来たが、まあ、何の問題も無く、僕が全部真っ二つにしてお終いだった。


初めて見た魔物の恐ろしさに、そして、延々とやって来る魔物の数に、叫び続けていた少年少女達も、僕が50体目を斬る頃には、大人しくなり、100体目を斬る頃には、怖がりもしなくなっていた。



僕達が今、居るのはアルコーラル商国に在る古代遺跡都市の1つ、魔物街 アコウツウだ。

そして、叫んでいた少年少女達は、元奴隷の6人だ。


此処に来た目的は2つ。


1つは、賢者 ラノイツロバーの遺産の“エヴィエイションクルーザー”が隠されていそうな場所に目処が立ったので探しに来たこと。


此れは、この春から行っていたルベスタリア王国軍ワルトルットゥ師団の古代遺跡都市調査の成果だ。

現在はトンネル工事に多くの人員を割く事になった為、アルコーラル商国に在る3つの古代遺跡都市の調査は、一旦中断しているが、元々モルツェンが最も怪しいと言っていた魔物街 アコウツウは優先的に調査をしていたので、既に残り6ヶ所までは絞れていた。


しかし、その6ヶ所は危険な可能性もある為、S級A級代理官でチームを組んで探索する予定になっていた。



もう1つが、元奴隷6人の『メシャベチャンへの恐怖心を完全に消し去る方法が無いか』と云う、彼らから相談に応える事だ。


この相談を受けた直後、ペアクーレが思い付いた方法が、この古代遺跡都市探索に同行させる事だった。


そして、極力僕に魔物を倒して欲しいと云う要望だった。


僕はこの話しを聞いて、僕の強さを見せる事で彼らの恐怖心を取り除く事が目的だと思っていた。

ルベスタリア王国は強い国王が守っているから安心だと伝えるのが目的だと。

しかし、此れは若干違った事をその日の夜に知る事となった…………




今回のメンバーは、僕と元奴隷6人に親衛局の4人と、ワルトルットゥ師団から、大将ワルトルットゥ•ヒーロー、中将ラウニーラート•セントブレイド、中将サンティデルテ•アローレイの3人だ。


言っておくが、僕はワルトルットゥが家名をヒーローにしようとした時に、キルシュシュに言ってやんわり止めようとしたからね?

其れでも、ヒーローにしちゃったんだからね?



ワルトルットゥ達が同行しているのは、元奴隷6人の護衛と、今回の探索はワルトルットゥ師団で行っていたので、結果を見たいだろうと思ってだ。


まあ、ワルトルットゥ師団から3人と言っただけで、ワルトルットゥ本人含む最高幹部3人で来るとは思って無かったが…………



と、云う訳で、総勢14人と云う大パーティーで、古代遺跡都市を進んでいるのだが、戦闘は僕1人だし、僕が倒した魔物は、ルーツニアス、ネイザー、ヴィアルトの3人が直ぐ様、魔核と装備品の回収をするだけで、他のメンバーは基本暇だ。


もちろん、6人の子供を抱えているので油断はしていないだろうが、油断している様にしか見えない…………


そんなグデグデ状態で辿り着いた最初の目的地、其処は以前回収したのと同じ大型のエレベーターが有る工場だ。


3階建くらいの高さをぶち抜いた工場で、恐らく“エアーバス”の製造工場だろう。

残念ながら、稼働はしていないが、エアポートタワーのモノと同じ“エアーバス”の製造ラインが3レーン程有った。


とは言え、“エアーバス”そのものは、1台も無い。

魔都 ウニウンでは、壊れているモノは放置されていたが、もしかしたら、アルコーラル商国では壊れたモノも回収しているのかもしれない。


さすが、商人の国と言ったところだろうか。



この工場に限らずだが、目的地は地下の方だ。

この魔物街 アコウツウが小規模な古代遺跡都市とは言え、中心部の地下はやはり危険な可能性が高いので、ルベスタリア王国軍にも中心部の地下の探索はさせていない。


その中で、“エヴィエイションクルーザー”の出し入れが可能そうな大型エレベーターの有る建物をピックアップして貰った訳だ。




全員で大型エレベーターに乗って地下へと向かう…………

降りて行くエレベーターの中で、先程迄のグダグダな雰囲気は一変して、ワルトルットゥ達も緊張感の有る雰囲気になった。


この工場は、地下3階まで有る様で、先ずは地下1階へ。

其処で待ち受けて居たのは、キングブラストモビリティオークと云うAランクの魔物だった。




オーク系の魔物の特徴は、ピッグ系の魔獣の様な顔に大柄な体型…………。いや、肥満体型をしていて、オーガ系の魔物よりもパワーが強い分、動きが遅い。


其れと、繁殖力が異常に高く、人間の女性を攫って苗床にする可能性が他の魔物よりも高い。


なので、女性ハンターには非常に嫌われている魔物だが、逆に動きが遅い分倒し易いので、男性ハンターには獲物として結構好かれる魔物だ。


しかし、ブラストモビリティオークは動きが遅く無い。

風魔法で全身を包み、弾丸の様なスピードで突っ込んで来る魔物だ。


更に、キングともなれば、5m近いその身長にデブデブしい巨体で、まるで“エアーバス”が突っ込んで来るかの様な破壊力だ。

そんな魔物が広い駐車場の様なスペースに20体以上居る。


「ブヒヒヒヒヒヒ!!!!」

「「「ブッヒーーーーーー!!!!」」」


先頭の一際大きなキングブラストモビリティオークが雄叫びを上げると、周囲のオーク達も一斉に雄叫びを上げる。



「「きゃああああああああ!!!!」」

「「うわああああああああ!!!!」」


その雄叫びに、せっかく慣れて来ていた6人の子供達がまたも悲鳴を上げた。


その悲鳴を背中に聞きながら、僕は駆け出し、愛刀の一振りを抜く。


「……“千変万化改”、伸びろ100m、“イモータルデマイス”起動!!」



ズバババババババ……………………!!!!



「……“千変万化改”、戻れ、“イモータルデマイス”解除…………」



キーーーーーン…………



先程迄の、怒号の雄叫びも、少年少女の悲鳴も、時間が止まったかの様に静まり返り、僕の納刀の澄んだ音だけが、地下室に響き渡る…………


静寂は一瞬。


直ぐに、ズウウウン、ズウウウン、ズウウウン…………と、重いモノが倒れる音と、グチャべチャグチャべチャグチャべチャ…………と、血と肉が大量に落ちる音が続いた。



「…………一刀ですか…………」

「さすがに今のは真似出来ないですね」

「ノッディード陛下、ちょっと強過ぎでしょ……」


ワルトルットゥ達3人が思わず呟いている。

ペアクーレ達は、時々僕の訓練を見ているので無反応で、少年少女6人は、完全に固まっていた。


当たり前の様に、ルーツニアス達が戦利品の回収をする中、僕は一応取り零しが無いかと、他の魔物が居ないかを軽く見て回った。



恐らく、この地下1階は、完成した“エアーバス”の駐車場だったのだろうが、既にこの階には“エアーバス”どころか、魔導具自体何も残っては居なかった。



その後、地下2階も地下3階も、キングブラストモビリティオークの群れが居たが、まあ、同じく一刀両断だ。


地下2階も駐車場、地下3階は動力室だったが、この工場には“エヴィエイションクルーザー”は見当たらなかった。


そのまま、第2目的地、第3目的地も空っぽで、初日の探索は終了。

日が沈んでから、合流ポイントで、“エヴィエイションクルーザー”、“ハイスツゥレージセカンド”に戻った…………





“ハイスツゥレージセカンド”で、ゆっくりと風呂に入って、食事を摂り、みんなで今日の感想を元奴隷6人に聞く流れになった。

魔物街 アコウツウに一緒に行ったメンバーに加えて、“ハイスツゥレージセカンド”の運転手として同行しているツナフォーテとティエットも参加だ。



「…………で、どうだった?」


「国王陛下、カッコ良かったです」

「はい、とっても素敵でした」

「凄過ぎて、その、凄かったです」

「凄く強くてびっくりしました」

「うん、強かった」

「びっくりした」



ペアクーレの質問に、子供達は、アコウツウでの興奮を思い出したかの様に、拳を握って答える。

ちょっと、語彙力がアレだが、まあ、初めて魔物との戦闘を見たのだ、上手く表現は出来ないかもしれない。


みんなも暖かくその様子を見守っている中、唯一ツナフォーテだけが羨ましそうにしていた。

今のS級代理官の中では、ツナフォーテだけが僕が戦っているところを見た事が無いからかもしれない、後で聞いておこう。



「……じゃあ、魔物はどうだった?」


「こ、怖かったです…………」

「はい、とても…………」

「あんなに怖いと思って無かったです」

「大きかったです」

「凄く大きかった…………」

「怖かった…………」



「でも、最初だけでしょ?

ノッド様が居れば怖く無かったでしょ?」


「あ、はい。国王陛下とご一緒でしたら怖く無いです」

「はい、国王陛下は素敵です」

「全然怖く無いです」

「はい、大丈夫です」

「うん、怖く無い」

「怖く無い」



子供達の答えに大きく頷くペアクーレ。

僕としては、若干1名、なんだか変な回答をしている様な気がするが、スルーする様だ。


「じゃあ、順番に並べてみて。

強くてカッコいいノッド様と、貴方達を片手で簡単に握り潰せる魔物と、貴方達に悪口ばっかり言って偉そうに命令して何度も何度も殴ったり蹴ったりしても貴方達を殺す事も出来ない様な非力なメシャベチャン達。


メシャベチャン達って本当に怖い?」


「え?其れは…………」

「全然怖く無いです」

「う、うん、魔物に比べたら…………」

「そう、だね、魔物に比べたら…………」

「怖く無い?」

「そうかも…………」



「そう、メシャベチャン達なんて、全然、全く、これっぽっちも怖く無い。

怖かったのは、貴方達がまだ子供で、アイツらが大人だったから怖かっただけ。


貴方達もちゃんと訓練して強くなれば、今日見たメシャベチャン達よりも怖い魔物達にだって勝てる様になる。


前にも話したけど、私も子供の頃に悪い大人から何度も酷い目に遭った。

でも、ノッド様と出会ってから私も強くなった。


ノッド様みたいに早くは無理だけど、今の私なら、今日見た魔物程度なら、1人で全部倒せる。


だから、貴方達も子供をイジメる事しか出来ない様な小物のメシャベチャン達を怖がるより、強くてカッコいいノッド様みたいになれる様に頑張った方が絶対に良い」


「あ、あの、私なんかでも、本当に国王陛下と同じ様に強くなれるのでしょうか?」


「ノッド様と同じくらい強くなるのは無理!!」



不安気に質問して来たスーオングロッドをバッサリと斬り捨てるペアクーレ。

しかし、落胆するスーオングロッドに直ぐにフォローを入れる。


「え?!や、やっぱり無理ですよね…………」


「でも、今のノッド様と同じくらい強くなる事は出来る。

多分、今の私は出会った頃のノッド様くらいには強くなったと思うけど、ノッド様もどんどん強くなるから追い付けない。


だから、今日見たノッド様を目標に頑張れば良い」


「そ、其れって、僕も国王陛下みたいに、あんなでっかい魔物をズバババ……って、倒せる様になれるって事ですか?」


「あの倒し方は、武器との相性が有るから、同じ事が出来るとは限らないけど、あのくらいの数の魔物を1人でも簡単に倒せる様にはなれる」


「ぼ、僕もですか?」

「僕もですか?僕は手が…………」


「なれる。

頑張ってB級代理官になれば、専用の装備品が貰える。

そうすれば、大きな手にもちゃんと合う装備品が貰えるから、心配要らない」


「大きな手にもちゃんと合う…………」

「専用の装備品…………」


「ぼ、僕、頑張ってB級代理官になります!!」

「僕も!!」


「なに言ってるんだよ、目指すんならA級だろ?」

「そうだね、A級代理官を目指そうよ」


「だったら、私はS級代理官を目指す…………

やっぱり、私じゃあ、S級代理官は無理ですよね…………」



何となく盛り上がって来ていた雰囲気だったが、不意にトラーズアンが額のツノを触って悲しそうに笑う。

其れを見たスーオングロッドも胸に手を当てて悲し気に目を閉じた。



「貴方達が見た目の事を気にしているなら其れは関係無い。

ノッド様は、絶対にそんな理由で拒んだりしない。


でも、確かに、今の貴方達じゃあS級代理官になるのは無理。

S級代理官は、ただ憧れるだけでなれる程簡単じゃない。


ツナフォーテなんて、1年近く、毎日3時間しか寝ずにずっと勉強してた。

もちろん、勉強じゃなくて、私やワルトルットゥさん達みたいに、戦闘面で頑張っても良い。


ただ、何方を選んでも、本当に凄い才能が有るか、私みたいに死ぬ気で努力しないとS級代理官もA級代理官にもなれない」



…………ツナフォーテが頑張ってたのは知っているが、まさか毎日3時間睡眠で勉強を続けていたとは…………


チラッと見ると目が合って、ちょっと恥ずかしそうに頭を掻いている。


其れと、毎回思うのだが、ペアクーレは、天才側と努力側を比較する際に、必ず自分を努力側にするが、ペアクーレは絶対に天才側だ。

きっと、そう思っているのは僕だけでは無い筈だ。



ペアクーレの言葉に、ワルトルットゥ達3人は、ツナフォーテに対してちょっと尊敬の眼差しを向けていたが、当の子供達のリアクションは違った。



「…………其れなら、頑張れるかも…………」

「3時間も寝られるなら、全然大丈夫です!!頑張ります!!」


と、云うモノ…………

恐らく、彼らはもっと過酷な奴隷教育をされていたのだろう。

スーオングロッドとトラーズアン以外の面々も俄然やる気になっている。



「其処迄、やる気が有るなら、頑張ってみたら良いと思う。


だったら、明日は最初の試練。

『ノッド様が居れば何も怖いモノなんて無い』って本気で思えたら、今日みたいに突然魔物が現れても、どんなに強そうな魔物が現れても、怖がったり叫んだりする事は無い。


そして、本気でS級やA級代理官を目指すなら、『ノッド様の役に立てる自分になる』為に、敵の魔物もノッド様の戦いも命掛けで学ぶ教材になる。


明日はそう云う気持ちで同行したら良い」


「「「はい!!」」」





子供達の決起集会終了後、“ハイスツゥレージセカンド”の僕の寝室に、ペアクーレ、ルーツニアス、ツナフォーテが集まって来た。


僕は、今回元奴隷の6人を同行させたのは、『ルベスタリア王国には僕が居るから安心だよ』と、云う事を伝えたいからだと思っていたが、ペアクーレには違う意図が有った様なので聞いておこうと思ったからだ。


…………いや、まあ、そんな理由が無くても、3人とも僕の寝室に来ただろうけどね。



「因みに、ペアクーレとしては、どう云う結果になる予定だったの?」


僕の唐突な質問も、ペアクーレは来ると思っていたのだろう、直ぐに淀み無く答えた。


「最初から6人ともA級代理官を目指す様にさせようと思ってた。


あの子達は、私と同じ。

大切なモノが出来たら命掛けで必死に守る様になると思ったから、ノッド様をその対象にする為に、ノッド様が自分を守ってくれるかけがえの無い存在だって自分の目で見て知って貰うのに同行させた」


「なるほどね…………

その過程で、メシャベチャンへの恐怖を取っ払おうと思ってた訳か。


因みに、S級代理官に立候補するのは予想外だったの?」


「…………私は予想外だったけど、ティニーマさんが…………」


「…………ティニーマは、予想してたんだ…………

因みに、スーオングロッドもなんだかS級代理官志望っぽい感じになってたけど、其れもティニーマには予想通り?」


「はい、ティニーマさんは、スーオングロッドも、『きっと、ノッド様のカッコいいところを見たら女の子で確定しちゃうわよ』って言ってた」


「さすが、ティニーマさんですね……」

「ですね、今は同年代に見えるくらいなのに……」


「だね、ティニーマの“女の勘”はもはや魔法だよね。


…………しかし、スーオングロッドはちょっと問題も有るね……」


「?スーオングロッドはノッド様の好みじゃ無かった?」


「ああ、いや、そう云う意味じゃなくてね。

僕がスーオングロッドに、男か女か心が決まったら好きな方にしてあげるって言ったのは覚えてる?


でも、其れって普通の国民として生活する事が前提だったんだよね。

だって、手術しても、代理官になって訓練をし始めたら、怪我回復ポーションを飲まない訳にはいかないでしょ?」


「!!怪我回復ポーションを飲んだら、手術しても元に戻る?!」


「そう、多分ね。

スーオングロッドにとっては、両方とも有って、正常な状態だからね。


僕としては、スーオングロッド自身が本気でS級代理官になりたいなら、今のままでも良いけど、本人がどう思うかだよね」


「…………さすが、ティニーマさん…………」


「ん?ティニーマがどうしたの、ペアクーレ?」


「ティニーマさんは、多分、今の怪我回復ポーションの問題にも気付いてたと思う。

『スーオングロッドがS級代理官に加わったら幅が広がるわ』って言ってたから…………」


「ティニーマ、さすが総合病院 統括院長だなぁ〜………

いや、こっちも“女の勘”の方かなぁ〜……」




僕達4人は、揃って大きな溜め息を吐いた…………


ティニーマの飽く無き欲求は、凄いの一言だ。

此処に居る3人のS級代理官の面々も、ティニーマによって新しい扉を何度も開かれて来ている。


まあ、僕としては嬉しい発見の数々で、本人達も、恥ずかしくて恥ずかしいだけで、イヤな訳では無い筈だが、どんどんエスカレートし、どんどんレベルアップして行くので、戸惑いが隠せない感じだ。


現状既にそうなのに、ティニーマが更なる幅広さを導き出そうとしていると有っては、思わず溜め息も出ようと云うモノだ。


まあ、僕も含めて全員、この溜め息の中に僅かな期待が混じっているのだが…………



とりあえず、スーオングロッドに関しては、明日の状況を見て、本気でS級代理官を目指すならば、明日の夜の夕食後に個別で話す事にした。



明日の探索予定地は、今日よりも上位の魔物が居る可能性が高いので、明日で心が折れてしまう可能性もあるが…………


多分、女性関連で、ティニーマが予想を外す事は無いだろうなぁ〜…………






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