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箱庭の王様  作者: 山司
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第3章 ルベスタリア盆地 3

第3章

ルベスタリア盆地 3





▪️▪️▪️▪️





「…………疲れたぁ〜…………

良かった…………

思ったより弱い魔獣で…………」



西の川の終着点、洞窟から滝の音の響く池の畔で、僕は先程倒した魔獣 キングエアゲーターガーから目を離さないまま、地面に座り込んだ…………


因みに、倒したのは30分くらい前だ。


でも、以前キマイラに殺された経験から、キングエアゲーターガーがもう一度襲い掛かって来ないか、池の中に仲間が居て、倒した直後の油断を狙って居ないか、不安で不安で、今の今まで気が抜けなかったのだ。


僕は座り込んだまま、元の大きさに戻した“フレキシビリティーソード”と“嵐雷剣”を鞘に仕舞う。



「やっぱり居るよな、魔獣…………

魔獣が居ないのは、草原だけなのかな?

其れとも、僕が出会ってないだけで、草原にも居るのかな?」



僕はこのまま寝てしまいたい気持ちをグッと堪えて、立ち上がると、相棒の“エアーバイク”の所に向かう。


下ろしていた“ゼログラビティバック”を背負い、“エアーバイク”に跨がって、この場から離れようとして…………



「そう言えば、エアゲーターガーの肉って凄く美味しかったよな…………

キングエアゲーターガーの肉ってもっと美味いのかな…………」






「うっっっっっっっまぁぁぁぁぁぁぁい!!!!」


僕はキングエアゲーターガーとの戦いの疲れもあって、まだ昼間だが、今日は此処で休む事にして、キングエアゲーターガーバーベキューを敢行していた。


そして、一口食べた瞬間、思わず叫んでしまったのだ。


キングエアゲーターガーの肉は、僕の人生で、二番目に美味かった!!

一番は残念ながら、僕を呪った不老不死のカルボナーラだ…………


あの空腹の絶頂に食べたカルボナーラは、声も出ない程、美味かった。残念ながら。



「こんな美味い肉をこのまま捨てて行くのは勿体無いなぁ〜……


…………よし!!持って帰ろう!!

どうせ、あの断崖絶壁を登ろうと思ったら何か準備して来ないと無理だ。


“ジーニアスグラス”、僕の“エアーバイク”の最大積載量は?」


「(1,200kg)」


「1,200kgか…………

あのキングエアゲーターガーの重さは?」


「(2,714kg)」


「だよなぁ〜……

やっぱり、全部運ぶのは無理かぁ〜……


でも、勿体無いなぁ〜…………


!!!!そうだ!!」





2日後、僕は逆立ちしたキングエアゲーターガーを背負ってお城に帰って来た。

帰りは、外周の森を抜けた後、真っ直ぐお城に向かったので、川沿いをグニャグニャ進むよりもかなり早かった。


どうやって、キングエアゲーターガーを持って帰ったかと言うと、先ず、何か有った時の拘束用に持っていた鎖の魔導具で上下に分かれたキングエアゲーターガーを縛り上げて、くっ付けた。

そして、キングエアゲーターガーの顎の先っちょに、中身を出した“ゼログラビティバック”を被せたのだ!!


“ゼログラビティバック”は、一部でもバックの中に有れば重さは掛からない。

なので、背負ったバックの上に5mの魚が聳え立っていても全く重さは無いのだ!!


因みに、元々背負っていた“ゼログラビティバック”に入っていた荷物は、テントに入れて“エアーバイク”の下にぶら下げて帰って来た。


こうして、最初の南方遠征は、『超美味い肉を手に入れる』と云う予定外の成功を得た!!

間違っても、確認不足で目標を達成出来なかった失敗遠征では無いのだ!!





▪️▪️▪️▪️





第1回南方遠征から帰って来て、2週間が経った。

僕は現在、第2回南方遠征を行っている。


今回は完全に趣向を変えてみた。


今までは、第1回南方遠征も北東の森を目指した時も移動力重視で、荷物は自分で背負ったバックと“エアーバイク”の荷台のバックに必要なモノだけ詰め込んで行っていた。

あくまで旅をイメージした行動だったからだ。


しかし、今回は違う。

今回は、“エアーバイク”の後方に3台の“エアーバイク連結荷車”を引き連れて大量の資材と食料を持って移動しているのだ。


第2回南方遠征の目標地点は第1回南方遠征と同様に南方の山脈の頂上だが、遠征の目的は、山頂への拠点作りと其処までのルート作りに変更したからだ。


先ずは、外壁南門から続く道を作りながら進んだ。

そのまま、外周の森に到達すると、次は森を切り拓き山脈までの道を作りながら進んだ。

そして、山脈まで到達してからは麓に簡易拠点となる小屋を建てて、持って来た生活用品を設置して食材も備蓄して、其処で宿泊滞在が出来る様にした。


其れから、準備して来た梯子を組み立てた。

山脈の断崖絶壁に合わせた115mの梯子だ。


梯子が完成したら梯子の脚を固定する設置台を用意して、断崖絶壁の上迄梯子を掛けた。


因みに、登った後は基本的に梯子は森に向かって倒す。

こうすれば、勝手に使われる事も無いし、普通は100mの崖を飛び降りるなんて出来ない。

“エアーバイク”で飛び降りる事を前提にした対応だ。


梯子を使って断崖絶壁を登り、登りついた場所に梯子の上部を固定する設置台を置き、その周囲を掘り返して平らにして行き広めの荷物置き場を作った。


其処迄の工程が終わってから、一旦お城に帰って、再度、資材と食料を詰め込んで戻って来てから、梯子を何度も往復して断崖絶壁の上の荷物置き場に全て運んだ。


その後、昨日まではずっと階段作りを繰り返していた。

階段と言っても、1段辺り20mもある“エアーバイク”用の階段だ。


山を20m登っては、掘り返して拓けた場所を作り、“エアーバイク”まで戻って“エアーバイク”でジャンプする。この繰り返しだ。


此れも侵入者対策の一環だ。

とは言っても遠い未来の話しだろうが…………




そして、今、最後の1段である山頂に階段を作る為やって来た。



「…………あれ?森?」


山頂から見下ろしたルベスタリア盆地の反対側、其処には荒野と砂漠が広がっている筈だった。

しかし、今見える姿は、森、荒野、砂漠と続く景色だ。



「…………メガネのマップが更新されてるな……

つまり、あの森はルベスタリア盆地が出来て以降に広がった森って事か。


まあ、そう云う事もあるか。

“アーカイブ”の情報は、何千年も前のモノだもんなぁ〜……



……………………もしかして、アレって街か?人が住んでるのか?

いや、もしかしたら古代遺跡都市で魔物が居る可能性もあるか…………



凄く気になるけど、先ずは階段を作って、此処に小屋を建てるのが先決だな。

さっさとやってしまえば今日はテントの準備をしなくて済むし!!」



僕は凄く気になる山脈の反対側の事を頑張って一旦忘れ、手に持つ魔導具“ディガップピックル”を地面に突き刺す。


この“ディガップピックル”は、お城の基礎作りや堀作り、果ては除雪作業にも大活躍した、長さ⒈5m程の先端の尖った鋭い棒状で持ち手側にパネルの付いた魔導具だ。


使い方は簡単で、先ずこのピックルを地面に突き刺す。

するとパネルの左下に刺さった深さが表示される。

其処からパネルを操作して広さを指定してピックルを引き抜くと、指定した広さの地面がピックルの刺さっていた深さと平行にズポッと引き抜けるのだ。

最大で深さ1m縦横100mまでの地面が重さを一切感じさせず引き抜ける優れ物なのだ。



こうして、あっと言う間に階段兼小屋の建設予定地を作りながら山の標高をちょっと下げると、次は小屋の建設だ。


僕は“エアーバイク”でジャンプして、再び山頂に戻って来ると、次々と資材を下ろしては、小屋を建設して行った。




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