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箱庭の王様  作者: 山司
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第15章 組織編成 2

第15章

組織編成 2





▪️▪️▪️▪️





ルベスタリア暦4年11月11日



毎年、なんだかんだで、合同誕生日パーティーとなっていたティニーマの誕生日だが、今年は全員、誕生日に祝えたので、ティニーマ1人を祝う会になった。


ティニーマは元々四肢が壊死する病気を患っていて、出会った時はとても老け込んで居た。

しかし、僕の手術によって病気も治り、栄養もしっかり摂れて回復してからは、実年齢よりも10歳以上若く見えるくらいに若返っていた。


更に、アエルゲインの作った“肌の若返り魔導具”も使い、見た目だけで無く、肌のきめ細やかさや、張りなんかも、10代後半くらいに若返った。


元々、姉妹の様だったティニーマとティヤーロの2人だが、性格の違いの所為で、今はティニーマの方が妹の様にすら感じるくらいだ。



そんな、ティニーマだが、彼女は今日、39歳になった。


どう見ても、10代後半の様だが…………




「…………じゃあ、始めよっか。

ティニーマ、乾杯の挨拶をお願い」


「はい。

では皆さん、私、妊娠しました。

乾〜〜〜杯!!」


「「「乾〜〜〜杯!!」」」


「「「……………………」」」


「「「ええええええええええ!!!!!」」」


「ティニーマ、今、『妊娠しました』って言った?」


「はい、言いました」


「ええ!!お母さん、妊娠したの?

って、其れを誕生日の乾杯のタイミングで、いきなり言う?!」


「もう、妹が出来たからって、慌てる歳じゃないでしょう?お姉ちゃん」


「え?ティニーマ、どうやって女の子だって分かったの?」


「…………勘です。

ティヤーロの時も何となく分かりました」


「…………なるほど…………」


「ティニーマさん、お腹触っても良い?」


「ペアクーレ、触っても良いけど、まだ、2ヶ月だから全然分からないわよ?」


「うん、其れでも良い。

2年後に向けての願掛けだから」


「そうなのね。

だったら、幾らでも触って良いわよ」


「だったら、私も!!」

「「私も!!」」



乾杯の挨拶だった筈だが、誰一人、グラスに口を付けず、結局、全員がティニーマのお腹を順番に触り始める…………


…………其れって、普通は僕が最初じゃ無いだろうか…………



みんなが落ち着くのを待ってから、結局、僕は最後にお腹を触った。

ティニーマの云う通り、まだ、全然分からないが、僕の子供が居るんだと思うと何とも言えない気持ちになる。


ただ、“嬉しい”と云う気持ちは間違いなく有る。

きっとこの気持ちは人一倍大きいだろう。

だって、僕はずっと、子供を諦めて生きて来たんだから…………




誕生日パーティーは、妊娠お祝いパーティーとなって、とっても盛り上がった。


僕は涙が出る程、嬉しかった。

涙の言い訳は、お酒の所為にしたけど、本当は、僕に子供が出来た事をみんなが“祝福してくれた”からだ…………







「…………本当にありがとう、ティニーマ。

本当に、本当に嬉しいよ」



僕は、ベッドの上で、ティニーマをグッと抱き寄せる。

柔らかなティニーマの肌が触れてピッタリと寄り添って腕の中から見上げてくる瞳と目が合う…………



「ふふ……。私の方こそありがとうございます。

子供が出来た事ももちろん嬉しいですけど、ノッド様が、こんなにも喜んでくれたのが私はとても嬉しいですよ」


「はは……。ちょっと、はしゃぎ過ぎだったかな…………


でも、本当に嬉しいんだ…………


ティニーマ、僕が侯爵家の息子だって話しはしたよね。

僕は次男でね、侯爵家の跡継ぎ問題が起きない様に、父と兄に、契約を持ち掛けた。

其れが10歳の時だ。


僕は其れ以来、貞操帯を着けて、来たるべき時迄の自由を手に入れた。


『僕に子供を作る権利は無い』

『僕の子供は誰も望んでいない』


ずっと、そう思って、その来たるべき時迄生きていた。


まあ、その来たるべき時に、色々あったから、今、ルベスタリア王国が在る訳だけど、やっぱり、心の何処かで、『僕の子供は誰も望んでいない』って思ってた頃の事が残ってて、今日、みんなが祝福してくれた事が本当に嬉しかったんだ。



其れと、僕が“不老不死”になった事で子供が出来ない可能性もちょっとだけ考えてたから、ティニーマが妊娠してくれて、安心したって云うのもあってさ…………」


「……そうだったんですね。

でも、安心して下さい。


私のお腹には、今、間違いなく、ノッド様と私の子供が居て、この子は、絶対に両親から心から愛されて、ルベスタリア王国の全ての人から祝福されて産まれて来ます」


「うん、ありがとう。

愛してるよ、ティニーマ…………」


「私もです、ノッド様…………」



今年は、全員の誕生日を祝う事が出来ている。

誕生日プレゼントは、2人っきりの甘い夜だ…………





ティニーマの妊娠が分かった翌日、なんとレアストマーセからも、


「ノッド様、その、私も妊娠していました」


と、夕食時に言われた。


「!!本当に?!

ありがとう、レアストマーセ!!」



その後、昨日同様に大騒ぎになった。

レアストマーセも今月来ていなくて、昨日のティニーマの話しを聞いて、もしかしたらと思って、ティニーマに相談したらしい。


現在、子供を希望しているのは、妊娠が分かったティニーマとレアストマーセ、其れと、サウシーズとディティカとキルシュシュだ。


他のみんなは、タイミングを見計らっている。

理由は、僕の春から夏の間の行動がどうなるかハッキリしてと、仕事での空きが出来る事に対しての対応が確立出来てからにしようとしているからの様だ。



そんな中での、ティニーマに続いてのレアストマーセの妊娠で、子供を現在希望していないメンバーは、昨日に引き続き、大いに喜んでいたが、希望している、サウシーズ、ディティカ、キルシュシュの3人がレアストマーセにお祝いの言葉を送った後で、少し神妙な顔をしていた。



「……あの、ティニーマさん。

良かったら、明日、私も検査をして貰えませんか?」


「あの、私も良いですか?」


「宜しければ、その、私もお願いしたいのですが…………」


「其れは良いけど、もしかして…………」




結果、ティニーマ、レアストマーセ、サウシーズ、ディティカ、キルシュシュの5人は、全員が妊娠していた。

その事は、ルベスタリア王国民全員に伝えられ、ティニーマの言葉通り、全ての国民から祝福の声が上がった。



ルベスタリア王国では、全ての国民は、毎朝僕に感謝の祈りを捧げる事が生活法で定められている。

まあ、ルベスタリア王国民にとって僕は命を救ってくれたり、苦しい生活から救ってくれたりした、“救いの神”の様な存在だ。


いや、存在だった…………


5人のS級代理官の懐妊は、妊娠の事実と共に、避妊を解除した5人のS級代理官が、全員解除後、1ヶ月以内に妊娠していた事実も同時に広めた。


此れによって、僕は、“子宝の神”としても、崇められる様になった…………



しかし、此れに待ったを掛ける者が現れた。


其れは建国祭のキングエアゲーターガーの美味しさが忘れられなかった者達だ。

彼らは、僕を“食の神”として崇め始めたのだ。



すると、元々僕に命を救われて、最も敬虔な僕の信者とも云える者達が、正しく“救いの神”として崇める様に主張し始めた。



彼らの主張は徐々にヒートアップし、もはや、宗教戦争が秒読み状態かと思われた…………


訳は無かった。


我らが3人の聖女が、正式に発表したのだ。


「ノッディード・ルベスタリア陛下は、神では有りません。

“救いの神”でも、“子宝の神”でも、“食の神”でも有りません。


ノッディード・ルベスタリア陛下は、ほぼ神に等しい御力と、神をも上回る優しさを兼ね備えられた、人を超えた、ノッディード・ルベスタリア陛下と云う存在です。


良く考えて下さい。

神が、一度でも、貴方方の生命を救った事がありましたか?

神が、一度でも、貴方方に豊かな食事を与えてくれた事がありましたか?


ノッディード陛下は、気紛れで願いを叶え、奇跡を起こす神の様な曖昧な存在では有りません。

事実として、私達に幸福な生活を齎して下さった実在する御方です。


ですから、ルベスタリア王国民は皆、ノッディード陛下の齎して下さった幸福と云う事実に感謝の祈りを捧げるのです。


ルベスタリア王国に於ける礼拝は、願い、求める、モノでは無く、私達に幸福を齎して下さった、ノッディード・ルベスタリア陛下への感謝の礼拝なのです…………」



この3人の聖女からのルベスタリア法聖庁正式発表で、言い争っていた者達は皆んな納得して、このくだらない諍いは落ち着いた…………



と、報告を受けた。

まあ、事実でも有る。

しかし、人々が本当に争いを止めたのは、この後の、ティヤーロの言葉にあった事を僕は知っている。



「…………と、云うのが、ルベスタリア法聖庁からの正式な言葉です。


そして、此処からは、私個人の言葉です。


良いですか、皆さん。

ノッド様を神如きと一緒くたにするなんて、私が許さないから、よ〜〜〜〜〜〜く、覚えておいて下さい。

ノッド様が許しても、私が個人的に絶対に許しませんから」


と、母直伝の、凄まじく怖い優しい笑顔で、ティヤーロが言ったからだ。

そして、争いが収まったのは、その場の全員が、ティヤーロにビビって、即土下座で、僕を“神如き”と同一視した事をみんなで仲良く謝ったからだ。



一緒に防犯カメラ映像を見ていたペアクーレは、


「此れこそ、聖女の在るべき姿。

ティヤーロは、分かってる」



と、凄く褒めていた。


僕は聖女っぽくしなくても良いとは言ったが、『なんか、違うんだよなぁ〜…』と、思わずにはいられなかった…………





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