第13章 千人の移民 4
第13章
千人の移民 4
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月日は流れて行った…………
そして…………
天才少女現る!!!!
イカルツウィンとデンツウィンの手術は無事に成功。
そして、新入生として学校に通い始めた。
そのまま、冬がやって来て、例年通り大雪だ。
もちろん、結界に守られたルベスタリア王国の王都は何の問題も無いが、王都に篭っての完全な準備期間へと入った。
僕がゴノードを裁いた事件も国民からの支持が上がっただけで、恐怖政治などと批判する様な者は現れなかったので、良い結果だ。
そして、新年を迎えてからは、試験ラッシュだ。
学校の卒業試験。
C級代理官試験。
B級代理官試験。
B級代理官が増えた事で試験も順調に進み、今回からはC級代理官の面接は、僕1人では無くS級のみんなにもやって貰った。
流石にB級代理官の面接は僕がやったので、面接地獄は今回もだった…………
そして、この試験ラッシュで、ルベスタリア王国の歴史は大きく塗り替えられた!!
なんと、我らが天才少女、ハンジーズが若干5歳にして、学校の卒業試験に合格したのだ!!
僕達は大いに喜んで、大卒業パーティーをした。
しかし、僕はある事に気付いて叫んだ!!
「ハンジーズ、5歳でもう結婚出来ちゃうじゃん!!!!」
と…………
僕は法改正を真剣に悩み、そして、悩んだ。
しかし、「此れからゆっくり恋を知って、結婚は其れからですよ」と、余裕の母の言葉に、ハンジーズの早婚問題は、母娘に任せる事にした。
しかし、天才少女は、真の天才少女だった!!
なんと、翌週のC級代理官試験にも合格してしまったのだ!!
面接官は、我が国の法の番人の片翼、ティヤーロだったので、公平公正な結果だろうけど、そもそも、受験していた事を僕に隠していたのが気になるところだ。
しかし、「ハンジーズは夢に向かって頑張ってるんですよ」と、またも余裕の母の言葉がやって来た。
ハンジーズは3歳の時から、“空と速さ”をこよなく愛する幼女だった。
其れは今も変わらないので、もしかしたら、夏のB級代理官試験にも合格して、6歳にして、“エヴィエイションクルーザー”運転手に成ってしまうかもしれない。
そう思いつつ、ハンジーズに尋ねたのだが…………
「ハンジーズ、もしかして次のB級代理官試験の合格も目指してるのかい?」
「うん、絶対に合格するよ」
「そうか。ハンジーズは早く“エヴィエイションクルーザー”を運転してみたいんだね」
「え?其れはもちろん、早く運転してみたいけど…………」
僕の問いかけにハンジーズはなんだか困った様な表情をする。
「ん?どうしたの?」
「だって、私、まだ、レバーまで手が届かないよ?」
「そうか!!確かに!!」
言われてみれば、その通りだ。
ハンジーズはまだ身長が1mを越えたばかりだ。
ハンドルの大きさと左右のレバーの上下幅的にどれほど前に座ろうとも運転出来ない。
「でしょ?“エアーバイク”も“エアーカー”もまだ、背が届かないもん」
「そうだね。
サウシーズが、『ハンジーズは夢に向かって頑張ってるんですよ』って言ってたから、少しでも早く運転してみたいのかと思ってたけど、せめて、もう4、5年しないと身長が足りないか…………」
せめて、130cm、出来れば140cmは身長が無いと運転は難しいだろう。
ハンジーズの夢の為には…………
「私の夢?
私は“エヴィエイションクルーザー”の運転は夢だって思って無いよ?
だって、背が大きくなったら、絶対運転出来るもん。
もう、マニュアルは全部覚えてるし、レバーの力加減や動かすスピードも覚えてるし、B級代理官の模擬試験も満点だったもん」
「え?そうなの?」
「うん、でも、今回は連続で受験出来ないから、無理だけど、前の時の問題も、その前の時の問題も満点だったよ」
「え?本当に?
ハンジーズは、本当に天才だね!!」
「えっへっへ………」
ぐりぐりと頭を撫でる僕に、はにかんだ様に笑う笑顔は、天才少女でもやっぱり歳相応だ。
今日もとっても可愛い。
しかし、そうなると…………
「じゃあ、サウシーズがハンジーズの夢だと思ってたのは、ハンジーズには、手の届く目標地点だったんだね」
「えっと、多分違うよ?
ママが言ってる『私の夢』は、ママ達と同じS級代理官になる事だよ」
「え?」
「ちゃんと、試験に合格したら私にもS級代理官になれる可能性は有るよね?」
「そ、そうだね」
確かに、僕が現在決めているS級代理官の条件は、A級代理官になる事だ。
A級代理官への昇格は、形だけの様な試験と面接で僕を最優先にする判断が出来て、絶対に生涯僕を裏切る事が無いと確信出来るかどうか。
そして、その中で、女性としても全てを捧げて尽くしてくれる事がS級の条件なので、此処は本人の気持ち次第だ。
現在の条件ならば、ハンジーズがB級代理官試験合格間違い無しなら、S級代理官になる事は間違い無い。
ハンジーズが可能性と言っているのは、僕が頷くかどうかと云う意味だ。
…………ハンジーズが学校を卒業した時に、「ハンジーズが結婚出来てしまう」と、叫んで、法改正を考えていた僕に、やんわりと止めさせたサウシーズの狙いはコレだったのか…………
更に、天才少女ハンジーズは、僕を追い詰めて来る!!
「其れに、ママみたいにオッパイが大きく無くても、S級代理官にはなれるよね?」
そう言って、ハンジーズが視線を向けた先は、リティラだ。
リティラも先日14歳になり、胸も膨らみを見せて来ているが、出会った頃のリティラはまだ11歳で、大変スレンダーな体型だった。
ハンジーズの視線を受けてしまったリティラは、両腕で自分の胸を抱き締めて、ガックリと項垂れてしまった…………
視界の端で、17歳になっても未だスレンダーな、グレーヴェが2次被害を恐れてか、そっと隠れている…………
「……そうだね……」
そう、僕にはこう答える以外の選択肢は無かった…………
しかし、ハンジーズの追撃は、まだ、止まらない。
「私はもう、ノッド様が決めた法律で、大人だから、S級代理官に選んで貰える事も出来るよね?」
『ぼ、僕のばかぁ〜〜……!!
みんなに早く結婚して貰って、どんどん新しい国民を産んで貰おう。
って、浅はかだった、僕のばかぁ〜〜……!!』、心の叫びが、思わず口から出てしまいそうになるのを、グッと堪えて、そして、出した言葉は…………
「……そう、だね…………」
だった…………
それしか、無かった…………
そして、ハンジーズは、最終兵器を投入して来た!!!!
「私は此れからもず〜〜っと、ノッド様と一緒に居たいし、ノッド様も私が他の誰かのお嫁さんになっちゃったら、寂しいでしょ?」
そう言って、唇に指先を当てて、潤んだ上目遣いで僕を見詰める、ハンジーズ5歳!!
分かっている!!
ハンジーズは賢い子なので、普段は、こう言った幼い仕草はしない。
此れは、母直伝の必殺技だ。
ハンジーズは其れを分かってやっている。
でも!!
でも!!
なんて、あざと可愛いんだ!!!!
そして、僕は今、「娘は絶対に何処にも嫁には出さん!!」と、豪語する父親と、「大きくなったらパパと結婚する!!」と、言われて有頂天になっている父親の気持ちを同時に味合わされている!!
と、思っていたら、
「もちろんだよ、ハンジーズは絶対に誰にも渡さない」
と、僕の口が勝手に自動音声を発してしまう。
そして、僕の右手も自動で、そっとハンジーズの頬に優しく触れる。
僕の人生の大半を費やして磨いて来た、女性への対応が、反射で行動してしまった。
すると、ハンジーズは、先程迄の女の子の顔から一転、女性の顔になって、僕にうっとりした視線を向けると、ゆっくりと、瞼を閉じて、僕の右手の身を委ねる…………
冷静な方の僕が大声で突っ込んでいる。
『英才教育受け過ぎだろ!!
ハンジーズは、まだ、5歳だぞ!!』と…………
そして、そう言えば、ついこの前、元勇者パーティーのサンティデルテに、「ロリコンも立派な愛の形だよ」って言ったなぁ〜……と、思ったのだった…………
今回の代理官試験は、前回の特例とは違い、C級、B級、連続受験は出来ない。
合格者の結果は、C級代理官169人、B級代理官の合格者は77人。
よって、現在の代理官の人数は、C級代理官298人、B級代理官198人となった。
C級代理官の中には、ハンジーズの他にも、ツナフォーテ、イカルツウィン、デンツウィンの3人も含まれている。
出来れば、この3人には夏のB級代理官試験、秋のA級代理官試験と進んで貰いたいと思う。
ハンジーズは応援したい気持ちと、僕の道徳観がまだ戦っている…………
そして、春の550人、秋の1,000人の移民が今回の学校卒業試験で殆ど合格したので、198人に増えたB級代理官には、其々の専用装備を支給して行き、少量のポーションを使った訓練も進めて行った。
元勇者パーティーの面々は、死亡偽装の際に装備の殆どを使ってしまったので、以前よりも貧弱な装備になってしまったが、A級になったら勇者パーティー時代よりも良い装備になるので、今は我慢して貰う。
教育に訓練にと、忙しくも充実した日々が続いて、春がやって来る…………




