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箱庭の王様  作者: 山司
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第7章 来春 2

第7章

来春 2





▪️▪️▪️▪️





2月に入って、訓練、訓練、建築、勉強、訓練、訓練、自由と云うパターンから、訓練、勉強、建築、勉強、訓練、勉強、自由と云うパターンに変更を掛けた。


春に向けて、教育係として勉強のスパートを掛ける。

此れまで色々と教えて来た中で、其々の得意分野へと割り振って指導して行って貰う為の知識をしっかりと養って貰うからだ。



今年は100人の移民を考えていて、一応予定では10歳前後の孤児を中心にしようと思っている。


理由は、僕への忠誠心を植え付け易いから、少し成長すれば労働力になるから、そのくらいの年齢から女の子だと別の危険が有るからだ。


其れよりも幼い子供だと、手が掛かる時間が増えるし、逆に成人していると1人1人の適正を見るのに時間が掛かる。


もちろん、捨てられた赤子や、今にも死にそうな人を助ける事もあるだろうが、自業自得で落ちぶれたオッさんすら救う程、僕は清い心では無い。



なので、みんなの今年の仕事の割り振りは、子供に勉強を教える事と、簡単な仕事を教える事が中心だ。



先ずは法律の指導は、ティヤーロとレアストマーセだ。

2人の真面目な性格がそのまま活かされる感じになった。


次に勉強の指導は、リティラとイデティカとグレーヴェだ。

グレーヴェは以外だったが、この3人は論理的に物事を伝えるのが上手い。

学校はずっと継続するので、後々にはこの3人の誰かを校長にするだろう。


そして、仕事の指導は、ディティカとネクジェー。

ディティカは農業、畜産がメインで、ネクジェーは工業、商業がメインだ。

この2人も暫くはこの部門のトップになって貰うだろう。

後々は役場で取り纏めるだけにするつもりだが、当分先だろうからだ。


其れと、料理の指導と、食事作りをティニーマとペアクーレが担当する。

順次、連れて来た子供達に自分で作れる様にして行くつもりだが、暫くは2人に頑張って貰う。

この2人は子供達が料理当番をこなせる様になる迄の予定だ。


最後に、サウシーズは役場での管理と分析をお願いする。

サウシーズは几帳面で、整理整頓が得意だった事と、数字にも強くて分析力もあり、其れを纏めたり、文章にするのも得意で、更に、ディティカ、イデティカ姉妹の第六感とはまた違った直感力も有る。

完全に官僚としての能力を持ち合わせていて、もしも、僕の秘書や国の宰相を選ぶなら間違いなく彼女だ。と、云う程の適正が有る。



10人の中で家庭面では、ティニーマ、戦闘面では、レアストマーセ、そして事務面では、サウシーズといったリーダー選びになるだろう。


2月からの勉強は、其々の分野の知識を伸ばす事と教え方を学ぶ事が課題だ。





先ずは、ティヤーロとレアストマーセの場合。



「…………と、云うのがこの国の憲法です。

此れは何があっても絶対に守って下さい」


「…………………………」


「ええっと、どうですか?」


「そうだね……

先ずティヤーロ。法律はなんで守らないといけないと思う?」


「え?其れは、そう云う決まりだから……」


「はっは……

世界中の人がみんなティヤーロみたいだったら、どの国の王様も楽で良いだろうね。

レアストマーセはどう思う?」


「其れは、法律が無ければ無法者で溢れるからでしょうか?」


「そうだね。そう云う意味合いもあるね。

2人とも間違ってないよ。


法律は本来なら守って当然のモノで、無ければみんなが好き勝手してしまう。


でも、法律を守らない貴族や無法者の多いアルアックス王国に住んでいた2人には難しいかもしれないけど、本来は法律はスムーズに集団が生活出来て、国民が自分の身を守る為に有るんだよ」


「国民が自分の身を守る為ですか?

王様が支配する為じゃなくて?」


「もちろん王様は国民を支配するよ。

でも、歴史上の多くの国では、王様は国民を支配する代わりに、国民を守るモノなんだ。


かと言って、誰だってそうだけど、嫌いな人は守りたくなんか無いよね?

だから、王様は法律を決めて、ちゃんと法律を守っている嫌いじゃ無い人を守るんだ。


其れはつまり、国民は法律を守るから王様に守って貰える。

自分の身を守る為に、王様に守って貰える自分で居る為に法律は有るんだよ」


「王様に守って貰える自分…………」


「そう、ルベスタリア王国 憲法 第6条は?」


「「全てのルベスタリア王国民は、王国民で在る限り、国王ノッディード・ルベスタリアの慈悲を賜わる事が出来る!!」」


「そうだね。

『王国民で在る限り』って云うのが?」


「「法律を守る人!!」」


「そう。人は誰しも『やれ!!』って言われた事はしたく無いよね?

でも、自分で『やった方が良い』と思った事は自分からするよね?

其れが自分を助けてくれた人の為になるなら、尚更じゃないかな?」


「以前仰られていた、『国民が自らノッド様に従って、自分の意志で裏切らない国』と、云う事ですね」


「レアストマーセ、良く覚えてたね。

そう、みんなが僕に従った方が幸せになれる。

僕に守って貰える為に絶対に裏切らないって思える様に伝えて行って欲しいんだ。


じゃあ、もう一度、どんな伝え方が良いか考えようか」


「「はい!!」」





リティラとイデティカとグレーヴェの場合。



「………なので、この計算は…………」

「………で、この文字は、こっちは払って、こっちは止めて…………」

「………ここの単語はこっちに掛かってて…………」



「うん、3人とも凄く分かり易いよ。

此れなら小さな子でも、ちゃんと分かると思うよ。


じゃあ、3人には予定通り、勉強と一緒に剣術と体術の基本も授業で教えて貰おうと思う。

と、言ってもレアストマーセに習った事を教えてあげたらいいから」


「でも、私達はグレーヴェ以外は余り剣術も体術も得意ではないですけど大丈夫でしょうか…………」


「其処は問題無いよ。

剣術や体術を教えると云うよりは、剣術や体術の訓練の仕方を教えて欲しいから。


あ!!そうそう、僕が教えた時みたいに、ボディータッチ多めになり過ぎない様にね。

僕が嫉妬しちゃうかもしれないから」


「えっと…………」

「はぃ…………」


ちょっとした冗談だったのだが、イデティカとグレーヴェが真っ赤になった。

こう云うのは今迄余り無かったから新鮮だったのかもしれない。


しかし、リティラは眉間に皺を寄せて悩んでいる…………


「……ノッド様、寝技や関節技の体術はどうやって教えたらいいでしょうか…………」


…………そう言えば、レアストマーセがリティラは小柄だから、関節技を中心に教えようと思っていると以前言っていた…………


リティラの体術はそういった余り力が要らないモノだったのか…………


しかし…………

悩ましい…………


今回連れて来る予定なのは10歳前後の孤児だ。

もちろん、中には男の子も居るだろう。


リティラは11歳だが、誰もが認めるであろう美少女だ。

男の子達にとって、そんなリティラの寝技や関節技は、きっとご褒美でしかない!!


もしも、其処でニヤついている男を見掛けたら、僕は本気で殴ってしまうかもしれない!!


冗談で言ったのだが、冗談では済まない可能性がある!!



「…………そうだね、リティラ。

男の子は直ぐに体格も良くなるだろうから、打撃系だけにして、寝技や関節技は女の子限定で教えるのはどうかな?」


「そうですね。

あ!!でも、女の子同士の方がって云う女の子も居るかも…………」


確かに!!

でも、何故だろう…………

女の子同士の百合百合しい感じなら許せてしまいそうな自分が居るのは…………



「リティラ、そんな低い確率、気にしてたら先生なんて出来ないよ」


と、グレーヴェのナイスフォローが入った。


「でも、グレーヴェさん。私の全てはノッド様のモノなので…………」


「其れは私だってそうだけど…………!!

あ!!その?!ええっと!!」


そうでも無かった…………


「グレーヴェ。完全にリティラに言い負けてるよ。

リティラ。グレーヴェの言う通り、可能性は低いんだから、もしも、そう云う子が居たら、その時に考えれば良いと思うよ」


さすがイデティカ、今度こそナイスフォローだ。


「其れに、もしも、そうだったら、そのまま折っちゃえば問題無いよ」


そうでも無かった…………


「…………3人共、もしも、そう云う女の子が居たら、先に相談してくれるかな?

その子には僕が直接、キミ達が僕にとって大切な女性だって伝えるから」


「「「大切な女性!!はい!!分かりました!!」」」



…………今日も、息ピッタリだなぁ〜……





ディティカとネクジェーの場合。



「…………と、云う感じで調整していくんだ。

まあ、此れは放っておいてもかなり状況が変わらなければ問題は無いけど、一応予定では、牛や豚なんかの家畜も買って来るつもりだから覚えておいて」


「「はい!!」」


現在、ディティカとネクジェーには、家畜の世話用の魔導具について教えている。

ディティカは農業、畜産がメインで、ネクジェーには商業、工業をメインで管理して貰うつもりだが、商業と言っても商品は僕から支給で、工業と言っても材料は僕から支給になるので、商売として利益を上げる必要が無い。


なので、当面は農業と畜産がメインの仕事になるだろうから、ネクジェーに関しては、当面はディティカのフォローの方が比率が圧倒的に高くなる。


なので、一緒に魔導具について覚えて貰っているのだ。



「此れで一通りの魔導具の使い方は終わりだから、2人は明日から牛舎、豚舎、鶏舎、洋服工場、雑貨店の設計をしてみてくれるかな」


「建物の設計ですか?」

「私達がですか?」


「うん。此れから人が増えて来たら、家畜小屋や工場も増やして行かないといけないよね?

だから、僕が協力しなくても、キミ達が人を使って建てて行ける様になって欲しいんだ。


もちろん、最初は僕がチェックしてから建てて貰うけど、思い付きじゃあ無くて、ちゃんと勉強してから効率的な建物になる様にして欲しい」


「はい……」

「分かりました……」


2人は返事をしつつも既に考え始めている。

しかし、現在2人は余り設計の様な事は得意では無い。

なので、とりあえずアドバイスをしておいた。


「2人とも、先ずは、自分達が作業するとして、何をして、どう云う動きをするのかを考えてみよう」


「何をして……」

「どう云う動きをするのか……」


「そう。そして、次は家畜小屋なら動物が、店舗ならお客さんがどう云う動きをするか考える。

其れが纏まったら、建物の構造を勉強してから組み立てて行けばいい。

1番最後にデザインをしたら完成だ。


そうだな…………


ダラダラやっても仕方ないから、先ずは1週間後に1度提出して。

もちろん、其れまでに聞きたい事があったら聞いてくれたらいいから」


「「1週間で、全部をですか?」」


「うん。大丈夫だよ、1つ出来たら次はすんなり出来るから。

まあ、僕は元々建築の勉強をしてたからだけど、このお城の設計も3日くらいだったよ?」


「「ノッド様と一緒にしないで下さい!!」」


「まあ、でも最初の提出は1週間後だから。

もし間に合わなかったら、罰ゲームね。エッチなヤツ」


「エッチな……」

「罰ゲーム……」

「其れって……」

「ご褒美なんじゃ……」


…………忘れてた、2人とも、そう云う方が好きだった…………

目覚めさせちゃったんだった…………


どうしよう、「いつものよりも厳しめで」って言っても喜ばれそうな気がするし、「やっぱり、出来たらご褒美で」って言ったら、中途半端でもとりあえず持って来そうだし…………


2人とも、そう云うところは頭の回転速いからなぁ〜……


は!!閃いた!!


「間に合わなかったら、罰ゲームだけど、もし、間に合って、更に一発合格だったらご褒美をあげるよ」


「「ご褒美ですか!!」」


「うん。何でもは無理だけど、キミ達の希望も聞くよ?」


「必ずやり遂げます!!!!」

「絶対合格します!!!!」


「う、うん。頑張ってね……」


2人の気合いの入り方が尋常じゃない、ちょっと気圧されてしまった。

なんだか、背後にオーラが見える気がする…………


もしかしたら、他の娘達も、みんなのやる気スイッチは「ご褒美」かも…………






ティニーマとペアクーレの場合




「2人とも、調子はどう?何か不足しているモノとかは無い?」



ティニーマとペアクーレの担当は料理の指導だ。

なので、教え方はわざわざ考えなくても、作りながらその都度その料理を教えれば良い。

その代わりに、2人には6階の学校エリアに在る大食堂と、7階から9階の一時宿泊階の準備をお願いしている。


大食堂は学校エリア全体用で、一時宿泊階も緊急時の避難所も兼ねているので、大食堂は各階1,000席の3階建、一時宿泊階は各階1万部屋在る。

もちろん、今から全て使う訳では無いので、先ずは余裕をもって200人分を一旦用意して貰って、時間が余れば100人単位づつどちらも追加して行って貰う予定だ。



「あ、ノッド様。

そうですね…………。衣類はまた、1人づつ買い込んで連れて来られる予定ですか?」


「いや、今年は纏めて買って来るつもりだけど、何か気になるモノとかある?」


「えっと、女の子用の下着が物資備蓄庫に全く無かったので…………」


「…………ああ、ごめんね。女性用の下着はサンプルが無かったから…………

だったら、女性用の服も足りないよね?」


「はい。服は子供用なので男の子でも女の子でも大丈夫なモノも有りますけど、女の子用となると殆ど無いですから」


「だよね。だったらサンプルになりそうな下着と服を幾つか貸してくれる?

複製するから…………」


「ノッド様。其れをティニーマさんに頼んだら、子供達の下着が大変な事に…………」


僕とティニーマの会話にペアクーレが慌てて待ったを掛ける。


「!!そうか、確かに!!」


しかし、ティニーマは余裕の表情でこう言った。


「ノッド様。女の子は生まれた時から女性なんですよ」


と…………


…………どっちが正しいのか…………

…………どっちも正しいのか…………


ペアクーレの言う危険性は、ティニーマの下着がエロ下着だからだと云うのは直ぐに分かる。

ティニーマの言うのは、女の子は小さな頃からでもオシャレをしたがり、大人振りたいと云う事だろう。

僕にも2人の姪がいたから、分からなくも無い…………


と、僕は思いました。

でも、違ったのです。


「だから、いつそうなっても良い様に、常に準備しておかないと!!」


と、ティニーマが続けたから…………


オシャレでも、大人振りたいからでも無く、いつでも大人の階段が登れる様にだった…………



結局、女性陣の衣類や下着を預かって色々な種類で複製する事になった。

みんな50着づつ買って来ていて、ハンジーズを合わせて11人分、550着は有る。

その中で、無難なモノを選んで貰った。


一応、ティニーマも普通のモノも持っていた…………





サウシーズの場合



サウシーズもティニーマとペアクーレ同様に準備を中心に行って貰っている。

サウシーズの担当は役場だ。


ただ、サウシーズに関しては物の準備と共に書類の用紙作りも頼んでいる。

此れはルベスタリア王国にとって非常に大切な事だ。



僕は全国民が幸福に暮らせる国を目指しているが、人間の欲望は果てしない。

その全てを満たす事など不可能だ。


なので、幸福に対して線引きをしようと思っている。

其れは、真面目に一生懸命働けば自分と家族の衣食住が必ず保証され、万が一、働く事が出来なくなっても、最低限の衣食住が必ず保証されると云うモノだ。


此れを僕が直接手を貸す事無く維持するには、国民の財産の管理と適正な税金が不可欠だ。


国民の財産を管理するのは、ルベスタリア王国の法律では個人資産以外の世襲は認められないからだ。

どれほど大商会の御曹司だろうが、親の跡を継ぐ事は出来ない。

そして、個人資産であろうと遺産として受け継ぐ場合には多大な税金が掛かる。


平たく言えば、自分で頑張る以外に金持ちにはなれないと云う事だ。



普通ならこんな事を言われると頑張りたく無くなる。

しかし、ルベスタリア王国には、怠惰を許さない法律と其れを見張る僕の代理官が居る。

みんな真面目に一生懸命働くしか無いのだ。


因みに、最悪どうしようも無いヤツに関しては、記憶の消去後の再教育や追放もある。


此処までやると国民の不満は徐々に溜まって行くのが通常の国家だろう。


だが、ルベスタリア王国は違う!!


ルベスタリア王国民は全国民が文字と計算と法律を学ぶ。

その上で、税金の用途と国家の資産を全て公開するからだ。


此れは為政者が完全な潔白で無ければ出来ない。


僕は完全なる潔白だ!!

更に言うなら、僕はこの世にカジノが在る限りお金には全く困らないから、国民から搾取する必要が全く無い!!


そして、この国で僕に次ぐ権力者とも言える国王代理官の給料はちょっと裕福な家庭程度だ。

金や権力を求める者がなるのでは無く、僕とルベスタリア王国の為に尽くそうと云う者が付く役職なのだ。


だからこそ、国民の支持を得つつも絶対的な支配が出来る。




と、云う訳で正しく収入や資産を国民が報告するのはとても重要で、その為の用紙も、分かり易いモノが望ましい。

その記入用紙をサウシーズに作って貰っているのだが…………



「…………凄いな、完璧なんじゃないだろうか…………」


「本当ですか?良かった!!」


サウシーズにお願いしていたのは、個人の情報を記入する書類、個人の収入と資産を記入する書類、商会の情報を記入する書類、商会の収入と支出と資産を記入する書類の4種類だ。


サウシーズが作ったその記入用紙も完璧と言っていいモノだったが、彼女は更に、役場で管理する為の其れらの書類を分類、分析する為のモノまで作っていたのだ!!


まさに“出来る女”と云うヤツだろう!!



「其れと、此れも作ってみました」


「………凄いな…………

なんだか、さっきから凄いしか言ってない気がするよ…………」


更に出て来たのは、書類の書き方の説明に記入例と注意事項だ。

もはや、非の打ち所がない。



「どうでしょう?何処か修正箇所はありますか?」


「……………………いや、このまま採用で良いよ」


「やった!!じゃあ、一発合格ですよね?

ディティカとネクジェーに聞いたんですけど、一発合格の人には、“ご褒美”があるって……」



…………やっぱり、みんなのやる気スイッチは「ご褒美」か…………

この分だと、みんなが知っているんだろうな…………



「そうだね。

本当は、ディティカとネクジェーのやる気を出させる為に言ったんだけど、此処まで完璧に仕上げてくれたサウシーズにもご褒美が有って然るべきだね。


サウシーズは何が希望なの?

僕に出来る事なら、ある程度の無茶も聞くつもりだよ?」


「だったら、春になって、王都アルアックスに行ったら、ノッド様を1日独占させて貰えませんか?

ハンジーズにはお留守番をして貰って2人っきりで」


「其れは、ハンジーズが大丈夫なら別に良いけど、そんな事で良いの?」


「そんな事じゃ無いですよ!!

ノッド様は、どうこう言って、何かしらお仕事をしてますし、私達の事も全員を気に掛けてくれてます。

だから、24時間独占出来るのはとっても貴重です!!」



…………そう云うモノか?

僕としては、基本24時間365日遊んで暮らしていると思って生きているんだが、そんなに働いてるイメージだったとは…………


此れは所謂、好きな事を仕事にしているってヤツか…………


だけど、まあ、僕としてもサウシーズに一日中べったりデートしたいと言われて断る理由は無いし、サウシーズとハンジーズは、今年の移民計画で、王都に行くメンバーに組み込むつもりだったから問題無い。


後はハンジーズ次第だな。

サウシーズは24時間って言い方をしたから、きっとそう云う事も含めてなんだろうし…………


そう思って僕は了承した。

この“僕とのデートチケット”が、今後のご褒美の定番になるとも知らずに…………




こうして準備を進めながら、僕達は日々を過ごして行った。

春の訪れは間も無くだ…………






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