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箱庭の王様  作者: 山司
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第6章 建国 2

第6章

建国 2





▪️▪️▪️▪️





徐々に近付いて来る、直径100km高さ50mの防壁が続く威容に、みんな驚いてくれている。


延々と続く巨大な壁にちょこんと有る小さな門を潜って中に入る。



「え?」

「あれ?」


と、不思議そうな声が聞こえた。

まあ、理由は分かる。


あれ程の壁が続いていたのだ。

途轍も無い大都市が在ると思ったのだろう。


でも、中はまた、草原と一本道が続いているだけだったのだから。

しかし、1人だけリアクションが違った。



「ノッド様、此処はもしや、未発見の古代遺跡都市なのですか?」


と、レアストマーセが緊張した声を上げた。

元Aランクハンターであるレアストマーセは、もちろん、アルアックス王国に在る古代遺跡都市 魔都ウニウンにも行った事があり、常識外の高度な建物は危険な場所だと思っているのだろう。



「ああ、なるほど。違うよ、レアストマーセ。

此処は魔物も魔獣も出ないから安心して良いよ。


其れと、気になってると思うけど、目的地はあの遠くに見えるお城で、彼処も古代遺跡都市じゃあないから安心して良いよ」




その後、小一時間草原の中を走って、湖の畔を西に回って、なだらかに登る橋を渡って、大きな城門の前にやって来た。


僕が、城門のセキュリティを解除すると、大きな門はゆっくりと開いて行く。


僕は後ろを振り向いて、みんなに笑顔を向ける。



「みんな、ようこそ。


此処は僕のルベスタリア王国、ルベスタリア城。


そして、今日から君たちと一緒に暮らす家だ!!」


と、言った。


2km四方の城壁の中に有る、幅1km高さ320mの巨大な城を前に、みんな、言葉も無く、“エアーバイク”からずり落ち掛けていた。


ただ1人、ハンジーズだけが、「おっきい!!」とはしゃいでいた…………





ルベスタリア城はお城の中も途轍もなく広い。

城内の移動も“エアーバイク”だ。


先ずは天井迄30mある1階を走りながら、「此処1階は商業階にする予定」と言いながら、中央のエレベータータワーに向かう。


エレベーターは構造や各階の用途を考えて複数有るが、この中央のエレベータータワーは用途別のエレベーターが集約された建物だ。


セキュリティが厳重に掛かった僕専用のエレベーターやみんな用の側近専用のエレベーターも有る。


彼女達のセキュリティ登録は後日行う事にして、とりあえず、僕専用のエレベーターで僕の生活スペースである40階の国王私室階へ向かった。


其処には、僕のハーレム願望から作られた、2、30人くらいが寛げる様にソファーが並んでいて、簡単なキッチンなんかも完備されたリビングルームが有るので、其処で一旦休憩して、今迄、秘密にしていた事を話す事にした。


と、言っても、地下の賢者 ウィーセマーの遺産と僕の出自であるアフィスターウィン侯爵家の名前は出すつもりは無いが。





「色々と話そうと思うから、軽く食べられるモノと飲み物を準備してくれる?」

と、言うといつの間に鍛えられたのか抜群のチームワークでテキパキと準備が進んだ。

準備の傍ら、順番にシャワーと着替えも行っている。

こういう時のリーダーは自然と最年長のティニーマになっている様だ。



簡単に食事をして、みんなが落ち着いたのを見計らって、「そろそろ、良いかな?」と、切り出した。

みんなが頷いたのを確認してから話し始める…………




「先ずは、僕の名前。

ハンターギルドのギルド証を見た人も居ると思うけど、あらためて。


僕は、ノッディード•ルベスタリア。

此処、ルベスタリア王国の国王だ。


と、言っても、此処には僕達以外は居ない。

何故なら、この国は僕が1人で、この草原に作った国だからだ」


「「「1人で?!」」」



…………今後のチームワークが期待出来そうな程の息のピッタリさだなぁ〜……


「そう。例えでも冗談でも無くて、僕が1人で作ったんだよ。

まあ、まだ作りかけだけどね。


だから、防壁の中はまだほぼ草原だし、1階で見た商業階も空っぽの建物が少し有るだけだったでしょ?


ついでに言うなら、キミ達が住んでた砦や、途中の小屋もこの春に僕が作ったんだよ」



と、言うと「え?小屋って?」と、ティヤーロが呟いた。

みんなも、驚きからティヤーロの言葉で、疑問顔になっている。



「山越えの時に、降りたところと、山頂で泊まったでしょ?」


「!!あの、お屋敷の事ですか?!」

「え?アレが小屋?!」


と、質問したティヤーロを筆頭に次々と疑問の声を上げた。

まあ、大勢泊まれる様に、そこそこの広さと部屋数は有るが、簡易的な宿泊場所だから、1部屋づつは狭い。


と、思っていたのだが…………


部屋の狭さに対して理解を示してくれたのは、レアストマーセとリティラだけだった。

まあ、確かに、ティヤーロ、ティニーマ親子やサウシーズ、ハンジーズ親子が住んでいたアパートは小屋の部屋よりも更に狭かったから仕方ないかもしれない。



このままでは、話しが進まないので、次に行く事にした。



「とりあえず、小屋の事は良いよ。


其れでだ。僕は色々と大量の魔導具が有るから、今後もどんどん、国を発展させて行こうと思っているんだけど、其れで、国民を集める事にしたんだ。


ただ、アルアックス王国に住んでたキミ達なら分かると思うけど、あの国の連中にこの国の事が見つかったら絶対に戦争になるだろうから面倒でしょ?


だから、ちゃんと僕を慕ってくれて、この国の不利益になる様な事を絶対にしない国民だけを集めようと思っているんだ。


その第一段階として、僕が心から信頼出来る側近を、僕に絶対の忠誠を誓って、生涯僕に尽くしてくれる側近中の側近を10人集める事にした。


其れが、キミ達だ!!」



僕が全員を順に見回すと、全員が力強い意志の篭った瞳で、頷いてくれる。

そんな瞳に満足した僕もゆっくりと頷いた。



「キミ達10人の役割りは、たった2つ。


1つは、僕にとってかけがえの無い存在として、僕を支えてくれる事…………


おっと、先に言っておこうか」



僕の「かけがえのない存在」発言で、真っ赤になってしまった娘が続出してしまった為、先にキチンと言っておこう。



「ティヤーロ」

「は、はいぃ!!!!」


「ティニーマ」

「はい」


「サウシーズ」

「はい」


「レアストマーセ」

「ひゃ、ひゃい!!」


「ペアクーレ」

「はい!!」


「5人は、公私共に全てに於いて、僕を支えて欲しい」


「「「はい!!!!」」」


ティヤーロとレアストマーセはガチガチに緊張して、ティニーマとサウシーズはうっとりと、ペアクーレは力強く、返事をした。まあ、人生経験の差だろう。



「続いて、ディティカとイデティカ」


「「ひゃいぃ!!!!」」


「キミ達は心の準備が出来たら、5人に加わって僕のプライベートも支えてくれ。

其れまでは、信頼出来る配下として…………」


「あ、あの!!」

「大丈夫です!!」


「え?」


「「出来てます!!心の準備!!」」


「…………ええっと、そう?

だったら、キミ達も、公私共に僕を支えてくれるかな?」


「は、はい!!喜んで!!」

「不束者ですが宜しくお願いします!!」



『…………心の準備、早くない?』と、思ったが、嬉しい誤算だ。

ただ、この2人を区切ったのがちょっとカッコ悪かっただけだ。


気を取り直そう!!



「なら、最後に、リティラ、グレーヴェ、ネクジェー」


「「「はい!!」」」


「キミ達は、僕の信頼出来る配下として…………」


「ノッド様、私達も、その、そう云う覚悟で、ええっと…………」


「ノッド様。私もグレーヴェも、ノッド様の女になる覚悟で、此処に来ました。

なので、他の方々同様に、公私共に全てに於いてノッド様をお支えします」

「はい、お支えします!!」


「ええっと、でも、2人は…………」


「ノッド様!!私もです!!

私もノッド様を全部支えます!!」


「ええ?!リティラ、キミは…………」



…………どうしよう…………

正直言って、3人の美少女に、こう言われるのは嬉しい限りだが、3人は未成年だ…………


と、僕が言葉に詰まったところへ、「ノッド様、ちょっと宜しいですか」と、ティニーマが僕を部屋の外に連れ出した。


多分、僕の迷いを察してくれたのだろうと思い着いて出る。

其れ自体は正解だったが、アドバイスの内容は予想外のモノだった。



「ノッド様。迷われてるのは、3人の年齢ですか?

其れとも、経験ですか?」


ティニーマの言葉で、僕はハッとした。

僕は年齢の時点で3人をそう云う対象から除外していたが、3人は既に経験済みだ。

其れも、最悪の経験だ。


3人が居る所で、こう云う話しはデリカシーが無かったかもしれないと、一瞬反省した僕だったが、ティニーマから直ぐに否定が来た。



「迷われているなら、一旦受け入れて頂けませんか?」


と…………


僕はティニーマの言葉を疑問に思いながらも、視線で先を促す。



「リティラもグレーヴェもネクジェーも辛い経験をしているのは聞いています。

でも、ノッド様が助けられた事で、其れは男性に対する恐怖とは違うモノになっています。


リティラに関しては、寧ろノッド様に受け入れて貰えない方が辛い筈です。

多分ですけど、自分が汚されてしまったモノとか、汚いモノの様に感じてしまうんじゃないかと思います。


なので、ノッド様がお嫌でなければ、彼女の気持ちを受け止めてあげて貰えないでしょうか?


グレーヴェとネクジェーに関しても同じ様な気持ちだと思います…………」



…………なるほど、女性ならではの意見だ。

僕は、嫌な思いをしたら、同じ様な目に遭う事は絶対に避けたいんじゃないかと、決めつけていた。

気遣いのつもりが拒絶と受け取られてしまったら、本末転倒だ。


幸い3人とも、言葉に出して「大丈夫だ」と言っているのだから、そのまま、受け入れて、いざ、その時に無理だったら、其処からゆっくりケアして行く方が良いだろう。


そう思って、ティニーマの言葉に頷き掛けて…………



「分かったよ。僕も嫌な訳じゃ無い。

寧ろ嬉しいくらいだから…………


って、其れでも、3人とも未成年…………」


「年齢の事なら、其れこそ、ノッド様の気持ち次第じゃないですか?

ノッド様は王様なんですから。


王族や貴族の方達は、未成年どころか、一桁の年齢でも婚約や結婚をするんですから、もちろん、そう云うコトをされているんでしょう?


じゃないと、20代でお孫さんが居る訳無いですもんね」



……………………何だと?!

成人前に結婚?!

20代で孫?!


デラトリ王国では婚姻は、成人した15歳からだった。

其れは、王族も貴族も平民も関係無い。


しかし、アルアックス王国では、王族や貴族は、自分達だけ成人のルールすら完全に無視していると云うのか?!


やっぱり、アルアックス王国は腐っている!!

あの国の腐敗は、行き着くところ迄、行き切っている!!



……………………でも、みんなの常識がそうなら、丁度良いか。


僕もその常識に乗っかろう!!



僕は内心を全面的に隠して、柔らかく笑顔を作ると、


「……ありがとう、ティニーマ。

やっぱり、頼りになるね」


と、言ってキスをして誤魔化した!!





その後、リティラ、グレーヴェ、ネクジェーにも、公私共に全て支えて貰う事を伝えた。


僕は、10人の“奥さん的な”女性を手に入れたのだった…………





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