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せみのおんがえし  作者: 忠野つまみ
3/8

2日目

 ――暑い。


 もう八月だから暑いのは当然だ。しかしいつもよりも数倍暑いように感じる。僕は暑いのが嫌いだ。


 ――エアコンをつけよう。


 ぼくは目を開けずに手探りでリモコンを探す。このふわふわした感覚でいるのが意外と好きだ。そんなことをぼんやりと考えているとリモコンらしきものが手に触れた。


 ――あった。


 ようやく見つけたリモコンをいつものようにやや乱暴に押す。


「――んッ」


 ――なんか、いつもと違う?


 いつもよりも柔らかくて少し暖かい。それになんだか少し懐かしいような気がするが、思い出せない。


「だめっ、ですっ!」

「いててててっ」


 この懐かしい手触りの正体は何かを考えていると、突然頬に痛みが走った。僕は飛び起きて布団から距離をとった。


「朝から何やってるんですか」

「なんで、ここに?」

「それより先にいうことがあるんじゃないですか?」


 布団には頬を膨らませたニーナが座っていた。どうやら怒っているらしい。プンプンという文字が見えてきそうだ。

 昨日もそうだったが、ニーナは不機嫌になると頬を膨らませるようだ。こんなにもかわいい癖がこの世に存在していたのか。


「しゅん君!」

「あっ、その、ごめん」


 ニーナは僕のくだらない考えを見透かしたのか、しかりつけるように僕の名前を呼んだ。しかられるのは何年ぶりだろうか。


「顔を洗ってちゃんと目を覚ましてきてください。話はそれからです」

「……はい」




***




「私が何で怒っているのかわかりますか?」


 物理的に頭を冷やしてきた僕にニーナが問いかける。もちろんぷくりと膨れた頬は維持だ。


「えっと、その、僕がニーナの体を触ったから……ですか?」


 僕はおそるおそる尋ねた。これから水族館に行くのだからこれ以上怒らせてはいけない。


「そうです! 急に触られたのでびっくりしましたよ! ああいうことはまだ早いというか、いや、何でもないです! とにかくだめです。怒ってます!」


 なんだかあまり怒っているように見えない。しかし、そんなことを言ってしまうと本当に怒らせてしまうかもしれないので僕はちゃんと謝ることにした。


「ごめん。寝ぼけててニーナだってわからなかったんだ。許してほしい」


 僕は言い訳をせずにニーナをまっすぐ見つめた。嘘はだめだ。


「決して無理にそういうことをしようとしたわけではないんだ」

「……そんな目で見つめるなんてずるいです。これ以上怒れないじゃないですか」

「ごめん。ありがとう」


 なんとか謝罪を受け入れてもらえた。やっぱりニーナは優しくてかわいい。


「じゃあ準備してください。私は下で待ってますから」

「いや、下には母さんが――」

「風香さんならもう仕事に行きましたよ」

「え?」


 母さんが仕事に行く時間は8時ごろでまだ行ってないはずだ。僕は急いで時計を確認する。


 11時だった。


 7時には起きる予定だったのにどうしてこうなったんだ。形態を確認すると昨日セットしたはずの目覚ましが全部止まっていた。


「しゅん君は私とのデートの日でも寝坊しちゃうんですね。がっかりです」

「いやっ、確かに目覚ましをセットしたんだけど……」

「でも、鳴ってないじゃないですか」

「よーしっ、水族館に行こう!」

「ごまかし方が下手です」


 こうして僕の本当のデートが幕を開けた。




***




「ここが水族館ですか。楽しみです!」


 僕の左手をつかむニーナが満面の笑みで僕を見つめてくる。このかわいい状態は電車の中から続いている。

 電車に慣れておらず、何度ももたれかかってしまうニーナが、もうつかんでいたほうがいいと言って今の形になった。


 二人分のチケットを渡して中に入る。


 さすがは夏休みだ。家族で来ている人やカップルできている人などたくさんの人がいる。僕らもそのうちの一組だ。


「お水の中でも生きられるなんてすごいですね」

「僕たちとは違って鰓呼吸をしているから水でも生きられるんだ」


 ニーナは最初の水槽にべったりとくっついて魚を見ている。するとニーナの周りに魚が集まってきた。まるで人魚みたいだ。


「しゅん君はお魚好きなんですか?」

「小学生の頃はシュモクザメが好きだったなぁ。ほら、あの顔が横に長い奴」

「あれが好きだったんですね。今は違うんですか?」

「今はマンボウが好きかな。のんびりなところがいいんだよね」

「しゅん君にそっくりですね」


 僕は、はしゃぐニーナと話しながら、人生初の水族館デートがこんなにも楽しいのかと感心していた。昔来た時はほとんど止まらずに通った水槽も立ち止まって一緒に見ている。どの魚を見ても楽しそうにしているニーナはとてもかわいい。


「あの水槽すごく大きいですね! 中の魚も大きいです!」

「あれはマグロって言う魚で、食べるとおいしいよ」

「いいですね! 食べてみたいです」


 からかいたかったのだが、食欲を掻き立ててしまった。

 そんな食欲旺盛なところもかわいい。




***




「あの女の子どうしたんでしょう?」


 マグロコーナーから離れたところで4歳ぐらいの少女がしゃがみこんでいた。はぐれてしまったのだろうか。ニーナも少し心配そうに見ている。ここは僕がいいところを見せなくては。


「どうしたの? お母さん、お父さんとはぐれちゃった?」

「パパ、おトイレから帰ってこない……」

「そっか、じゃあパパを待ってる間お兄ちゃんとお姉ちゃんと少しお話しない?」

「……うん」


 迷子というわけではないらしい。僕と目は合わせてくれないがきっといい子なのだろう。何を話そうかと考えていると少女が不安そうに聞いてきた。


「……お姉ちゃんって、どこにいるの?」


 ん? この子は何を言っているのだろう。


「お姉ちゃんならここにいるよ」

「――ごめんね沙羅、いい子で待っててくれたかな? ん? 君は――」

「ゔぇーんっ! ぱばーっっ!」


 ニーナを紹介したときにちょうど少女のお父さんが帰ってきたと思ったら突然少女が泣き出した。慌てる僕に少女の父親がものすごい剣幕で迫ってきた。


「お前は沙羅に何をしたんだ!!」

「すっ、すみません。この子が迷子だと思って声をかけたんですけど……」

「この人がお姉ちゃんだってせみ見せてきてそれで」

「せみ!? お前は一体何を考えているんだ!!」


 ――――ああ、そうか。そうだった。


「頭おかしいんじゃねえのか!?」

「……すみません。近所の子がせみを好きだったので喜ぶかなと思ったんです。本当にすみませんでした」


 僕は深々と頭を下げた。


「……もういい。いこう、沙羅」


 僕の行動が善意からだとわかったからか、それともこれ以上僕を少女の近くにいさせないためかはわからないが、なんとか許してもらえた。


「……ごめんなさい」

「いや、いいんだ。僕が勝手に調子に乗っていただけだから」


 謝るニーナに僕は力ない笑顔で答えた。申し訳なさそうにするニーナもまたかわいいが、今はそのかわいさを享受するような気分ではない。


 忘れていたが、ニーナは恩返しに来てくれたせみだ。きっと僕に幸せを与えてくれるだろう。でもせみだ。


「僕らも行こうか」

「……はい」


 気分を変えるために移動を始めたがさっきとは違って会話が生まれない。つらい。


「……あれは何ですか?」


 外に出たところでニーナが聞いてきた。きっと雰囲気をよくするためだろう。ニーナにそんなことをさせてしまっている僕が情けない。


「あれはペンギンだよ。かわいいよね」

「私、ちょっと怖いです」


 ニーナが僕の指を軽く握っている。その手が少し震えている。ペンギンは好きになれる愛らしい見た目をしていると思っていたが、ここまで怖がられてしまうこともあるのか。


 ――ああ、ニーナがせみだからか。


「じゃあ早く次に行こうか」


 僕はニーナの手を引いて足早にペンギンコーナーを離れた。


 そのあとは水槽や展示物を少し見ただけで、気づいたらお土産コーナーについていた。水族館というのはこんなにもあっけないものだっただろうか。

 先ほどから僕はスマートフォンを確認している。今はもう5時半だ。楽しい時間はあっという間に過ぎるというが、どうやら半分がつらい時間でも同じ様だ。


「何か買いませんか?」


 悄然とした様子でニーナが提案する。こういう時はペアルックのキーホルダーとかを買うべきだろうか。それともぬいぐるみなんかを買ってあげたほうがいいのだろうか。

 店の中を見ながら悩んでいると迷子もどきの少女と目が合った。


「いや、出よう」


 叫ばれたら警察に突き出されてもおかしくないのでそそくさと出口に向かった。


 僕は何をしているんだろう。せっかくこんなにもかわいくて優しいニーナがいてくれて、しかも彼女になってくれたというのに。お土産も買わずに水族館デートが終わってしまった。


 僕は無言のまま駅へ向かう。足が重い。

 ――動かない?


「待ってください」


 ニーナが足を止めて言った。僕の手は先ほどよりも強く握られている。その手が震えていることに気づいてまた情けなく、申し訳ない気持ちになる。


「あれ、乗りませんか?」


 ニーナは観覧車を指さした。夕日に照らされて見づらいがなんとか一番上が見える。なかなかに大きい。観覧車なんて楽しいとは思えない。だってニーナは……。


「でも、」

「乗りましょう!」


 断ろうとしたときにニーナが僕の手を引いて観覧車へと走り出した。夕日に照らされて光るプラチナブロンドの髪が風になびく。それに見惚れていると観覧車の列についていた。


「ちょっと疲れましたね。大丈夫ですか?」


 少し息を切らしながら笑って尋ねてくる。ニーナは体育会系女子だったのか。こんな子が朝にジョギングしてたらみんな後ろをついて行ってしまうだろう。汗を額ににじませているニーナは僕にとって新鮮でかわいかった。


「いや、それよりも観覧車には……」

「もう並んじゃいました。後ろの人の迷惑になってしまうのでこのまま乗っちゃいましょう」

「後ろの人は順番が早くなるからむしろうれしいんじゃ……」

「細かいことを気にしたら負けなんですよ?」


 なんだかさっきからニーナが少しあざとい気がする。高校生の頃はぶりっ子を見るだけでもわざわざため息をつくほどあざとい行動を嫌っていたのに、ニーナを見てると頬が緩んでしまう。


 列は順調に進んであと少しというところで後ろから笑い声が絶えず聞こえてくることに気づいた。その瞬間にあの時の情景が思い出される。周りが僕のことを笑っている。指をさしてる人間もいる。怖い。


「あと少しで乗れますよ。大丈夫です。私がいます。だから大丈夫です」


 僕の左手を両手で包む。暖かい。僕はニーナの手を意識しながら深呼吸して順番を待った。それから10分くらいしてようやく順番が回ってきた。真下から見上げるとどれだけ大きいかがよくわかる。


 僕は係員に促されるままに観覧車に乗り込んだ。




***




「ようやく二人きりになれましたね」

 向かい合って座ったニーナがにこやかに優しく僕に言った。そのためだったのか。


「でも、いつでもあの高さまで行けるんだからこんなもの退屈でしょ?」


 僕は自分の手を見つめながらふてくされた態度でつぶやく。僕が調子に乗ったために雰囲気が悪くなったのにニーナに当たってしまうなんて僕は屑だ。観覧車が上へ行くにつれて僕の気持ちはどんどん落ちていく。やっぱり僕はこんなところにいてはいけないんだ。


「そんなことはありませんよ」

「え?」

「やっとこっちを向いてくれましたね。頑張ってもあんなに高いところまではいけませんよ。疲れちゃいますから」


 心を読まれたのかと驚いて顔をあげるとニーナと目が合った。水色の瞳に夕日が差し込んで静かに燃えているように見える。きれいだ。


「そっか」


 僕はまた下を向く。

 僕はニーナと釣り合っていない。見た目はもちろん内面でも、それだけでなく種族も。


「あははっ! 冗談ですよ。マグロのところで私をからかった罰です」

「え?」


 冗談? 何が?

 ぽかんとする僕をニーナはクスクスと笑っている。心が癒される音色だ。


「冗談って何が?」


 当然僕の頭がまともに働くはずもなく頭に浮かんだはてなをそのままニーナに投げかけた。すると、少し間があった後におかしそうに言った。


「なに言ってるんですか。私が空を飛べるわけないじゃないですか」


 飛べない? なんで? ニーナは何を言っているんだ?


「それは納得していない顔ですね? しゅん君は顔に出やすいです。そういうところ、とてもかわいいですよ」


 はてなやら照れやらで頭がいっぱいになってパンクしたのかやたら顏が熱い。かわいい女の子がかわいいって言ったらよりかわいいが増してかわいいがよりカワイイになってしまうじゃないか。


「からかうのはこの辺にしておいて。私をちゃんと見てください」


 席を立ったニーナが僕の頬を優しく包んで顔を上げさせる。手を包んでもらった時よりも暖かい。それとも僕の顔がさっきよりも熱くなっているのだろうか。


「どうですか?」

「……どうって、何が?」


 昨日のように見つめ合う。特別変わったところはない。昨日よりもかわいくなったというと昨日がかすんでしまうのでそれは適当ではない。昨日と違うと感じるのであれば、夕日の影響が強いのだろう。昨日よりも力強さと温かさを感じるような気もする。だが、かわいさは同等だ。


「またそうやってくだらないことを考える!」


 添えられていた指が僕を引っ張る。そんなにも僕は顔に出やすいのだろうか。


「ちゃんと見てください!」

「ちゃんと見てって言われても、ニーナはニーナでそれ以外に変わったところなんて……」

「わかってるじゃないですか。私はニーナです」


 ニーナは当たり前のことを誇らしげに言った。月夜に白ワンピースを着たプラチナブロンドの髪の女の子が名前を名乗ったのだ。しかもそれはおとといのことだ。忘れるわけがない。


「また顔に出てますよ? 今あなたの目に映っているものを言ってみてください」

「ニーナが目の前にいて、夕日に照らされているからおとといや昨日会った時とはまた印象が違くて、でも全部かわいくて。それで……」

「もういいです!」


 頭に浮かんだことをそのまま言ったら、顔を赤くしたニーナに「もういい」と言われてしまった。機嫌を損ねてしまっただろうか。また調子に乗ってしまった。どうしようか。


「ああ、別に怒っているわけではないんですよ? ただちょっと恥ずかしくて……」


 よかった。いやな思いをさせてしまったわけではなかったようで安心した。だとすると今までかわいいと頭で思っていたことを口に出せばニーナの照れた顔を見ることができるのか。


「つまりですね、しゅん君が見ている私、それが私なんですよ。しゅん君が今日どういう風に私を見ていたのかはわかりません。でも、初めて会った時も昨日も、そして今も、しゅん君の目に映っているのは私はこの私なんです」


 つまり、どういうことでしょう。哲学的なことは僕にはわからない。僕は経営学科だ。


「まだよくわかっていないっていう表情ですね。……仕方なしです。えいっ」

「――っっ!!」


 キスされた。夕日さす観覧車でキスされた。この話の流れでどうして、いや、話の流れ云々ではなく、こういうのはまだ早いって言ってたのに。


「今しゅん君にキスをしたのは私ですよね?」

「う、うん」

「妖精のニーナではなく、人魚のニーナでもなく、ましてや別次元のニーナでもない。今ここにいる、このニーナなんです。わかりましたか?」


 お説教キスに目を白黒させている僕の隣にニーナが座る。こぶし一個分程度の距離でニーナの息遣いが少し荒いことが分かってしまう。


「今更ですけど、もし私がこの高さまで自力で飛べるとしても、一緒に観覧車に乗ってますよ。だって、しゅん君と見る景色を見たいんですから」


 ニーナは顔を赤くして恥ずかしそうにしてるが目をそらさずに伝えてくれる。いつの間にか僕たちは手を握り合っていた。ニーナのぬくもりが僕を安心させてくれる。


「えっと、つまり、手を握ってくれているのは目の前にいるニーナで、そのニーナが大事ってこと?」

「あってますけど説明されるとなんだか恥ずかしいのでやめてください」


 手を握りなおして警告してきた。きゅっと握られた手が気持ちいい。恥ずかしがってるニーナもカワイイって言ったらまた怒るだろうか。


「ほら、頂上に着くのでおバカなことを考えてないで景色を見ましょう。……あれが海ですか? すごく広くてきれいです!」


 お説教がとても長く感じていたが、まだ半分も過ぎていなかったのか。でもよかった。もし乗ってる時間ずっとしょげていたら、今のニーナを夕日に照らされた海に添えてみることなどできなかったのだから。


「吸い込まれてしまいそうですね、ってなんで私のこと見てるんですか! せっかくここまで来たんだから海を見てください」

「せっかくここまで来たならニーナを見ないと損じゃないか。ここでしか見れないニーナをしっかり記憶に刻まないと」

「さっきのはそういうことじゃないです!」

「わかってるよ。ありがとう」


 そんなやり取りをしている間に終わりが見えてくる。楽しい時間はあっという間にすぎるというのは本当だったらしい。逆だったらどれだけ良いだろうか。

 くだらないことで悩んでいたことを悔やみながら観覧車での空の旅は終わった。スタッフに促されるままに僕たちは観覧車を降りる。もちろん手はつないだままだ。もう離さない。


「そんなに強く握らなくても私はここにいますよ?」


 僕をからかうようにニーナが言う。


「わかってる。でも離したくないんだ」

「急にかっこつけるの、ずるいですよ?」

「ニーナがかっこいいと思ってくれるならどんなずるでもするさ」

「……調子に乗りすぎです」


 プイっとそっぽを向いてしまった。しかし、胸元で髪を円を描くようにいじっているのが分かる。きっと照れているのだろう。どんなニーナもやっぱりかわいかった。




***




 帰りの電車は定番の肩にもたれかかる形だった。疲れたサラリーマンたちが隣でジェットコースターに乗っていることが良くあるのであの形は期待していなかった。

 しかし、くぅくぅと寝息を立てているニーナは天使だった。比喩ではない。


「じっと見ていたんですか!?」

「そりゃ天使だったからね。見なきゃ損だよ」

「またそんなこと言って……。罰として明日は私の買い物に付き合ってもらいます」

「いいの!?」

「罰なんだから嬉しそうにしないでください」


 電車を降りた後はこんな感じのやり取りで明日のやることが決まった。


 恋をするとモノクロだった世界が色鮮やかになるとよく言うが、全くそんなことはなかった。





 今はニーナがまぶしすぎて他の色なんて目に入らない。


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