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チートなんて願わなければよかった・・・

作者: かぜかおる




私、マリー。

悪役令嬢ものの小説の電波系ヒロインに転生したの。


子供がトラックに轢かれそうになっているのを助け、自分が轢かれたのが前世の最後の記憶。


気づいたら真っ白な空間で自称神様という人と会話してた。


曰く、私はそこで死ぬはずではなかったが、神様のミスで死んでしまったので転生させてくれる。

転生先は、私が今まで見聞きした小説やゲームなどのどれかの世界。

世界はランダムで選択はできない。

今回は神様側のミスなので、一つ転生にあたって加護をあげるけど何がいい?


悩んだ結果私はチートを希望した。

どんな世界に転生するのかわからないけど、これならどの世界でも通用するかなって思って。


・・・それと、俺TUEEEEEにちょっと憧れがあったり・・・。


だけど、チートと言われても具体的にどうすれば分からないと言われたので転生先で持つはずだった能力を10倍するってことで落ち着いた。

10倍では少なそうに見えるけど、これ以上すると世界のバランスが壊れかねないのでこれで我慢して欲しいと言われた。一応転生特典で元々優秀と言われるレベルの人に転生予定だったのでこれでチートは問題ないらしい。


そんなこんなででは行ってらっしゃーい!

と見送られて、記憶を取り戻したのが6歳の時。


え?何この状況?

ってなったよね。


だって両手両足縛られて、ベットに寝かされていました。

混乱してるうちに変なおっさんが部屋に入って来て、ハァハァしながら「ボクのマリーちゅぁん!」とか言ってくるんだぜ?


もう、気持ち悪いわ怖いわで訳が分からなくなって大声で泣き叫びました。


こういう時小説の主人公だったら、冷静に切り抜けるんだろうけど、一般ピーポーの私には激ムズ案件でした・・・。

主人公ちゃんたち凄すぎるわ。


その後、私の泣き叫んでいる声は外まで響いてて町の警備隊さんが不審に思ったらしく、突撃してきて無事に保護されました!

わーい、パチパチ~!


無事家族と再会できて、おうちに帰って、2、3日経ってやっと落ち着いて考えられるようになって気付きました。

あれ、これ、ざまぁされる電波系ヒロインじゃね?と。


あの時は勘が冴え渡ってましたよ。

特にハマっていた訳ではないけど、もともとネット小説で、書籍化マンガ化、さらには深夜アニメの放送もしていて印象に残っていた作品。

それがパッと頭に浮かんだ。


自分の見た目を確認して、自分が住んでいる国の王子様の名前を聞いて確信した。

悪役令嬢転生もののあの作品だと。


ストーリーはありがちなものだが、悪役令嬢に転生した少女が処刑や没落を回避するために奮闘する。その最中に攻略対象たちのコンプレックスなんかを気づかぬうちに叩き割り、好意を向けられるようになる。

ストーリーの学園編では、攻略対象たちと協力して電波系ヒロインがいろいろやらかすのに対抗しつつ、メインヒーローの王子と恋愛する。

と言ったもの。


このやらかす電波系ヒロインに転生していました~チャンチャン。


一瞬、膝から崩れ落ちてしまったよ・・・。


でも、よく考えれば結構いい転生。

だって、ヒロインは地頭はいいし、魔力や魔法のセンスも大アリ。国で稀少な光属性も持っているので将来は安泰。

電波系になってやらかさず、普通に真面目に生きていればそれだけで勝ち組なのだ。

















なんて、気楽に考えていた時が私にもありました。


普通に真面目に平民マリーとして、精神年齢は〇〇歳になってちょっとばっかし年齢の割りに落ち着いてしまったものの、問題なく生活を始めたはずだったのだ。



しかし、なぜか、誘拐だとか、変態に襲われるだとか、ストーカーに追いかけられるだとか頻発するようになった・・・。


2日に一回はそういうことが起きる。


男の人が怖くなって、段々と外に出るのが怖くなって、家に引き篭るようになった。



確かにマリーはヒロインだけあって、可愛い。

でも、そんなに変態ホイホイするほどじゃない。

小説でもマリーがこんな目にあっていたなんて描写なかったはず。


と思い返している中で気がついた。


・・・これ、もしかして魅了の力?



小説の中でマリーは転生特典でついた魅了の力を昔から無意識に発動させて、チヤホヤされながら育った。そのため、勘違いが正されず、電波系ヒロインになったという経緯があったのだが・・・。


その設定が生きていて、かつさらに私の転生特典でその力が10倍に・・・。




私は、安易にチートだの俺TUEEEEEだのを望んだことを後悔したのだった。


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