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パーティーが終った後、ムシロ トムソンは、
自身の屋敷でチャールズ ライナー子爵と会っていた。
「チャールズ様、約束は取り付けました」
「そうか、よくやった、後は任せよ」
「はい、ですが、向こうの指定した場所が、ニルスの屋敷でして・・・」
「気にする事は無い、そんな事よりあの娘は、本当に金を持っているのか?」
「はい、私の娘が、パーティーで見かけると、毎回違うドレスを着て、
驚くほど高価な装飾品を身に着けていると言っていましたし、
今日のパーティーでも、金貨10枚はしそうなネックレスをしていましたから」
「そうか、それ程か!」
「本人も美しく、子爵様なら気に入ると思います」
「これは、会うのが楽しみだな」
「はい、それで子爵様、上手くいきましたら・・・」
「分かっておる、お前にも分け前はくれてやるので、期待しておれ」
そうして、ムシロ トムソンとチャールズ ライナーは、クラスを陥れる計画を進めていた。
一方、クラス達は、屋敷に戻ってから、話し合いをしていた。
「いつかは、こんな馬鹿が現れると思っていたけど本当に現れるとは・・・」
「想定の範囲でしょ、しっかりしてよね!」
「わかったよ、それで、ジョゼとダリルでその男の見張り、エレノアとアンネで身辺調査」
「わかりました」
「バイクは?」
「使う訳無いでしょ!」
「アンネ、今度エレノアと狩りに行くときに出しておくからね」
「うん、頑張る!」
「それから、クラスは訓練頑張ってね」
「はい」
「エーリカとエイダは、留守番よろしく」
「わかりました」
話し合いが終わるとそれぞれの部屋に戻って行った。
そして、翌日から、ムシロ トムソンの身辺調査と監視が始まった。
ムシロ トムソンの監視をするダリルとジョゼは、1日の行動を隈なく調べる為に、
屋敷に張り付いていたが、朝、顔を出した以外、本人が外に出て来る事はなかった。
「あのデブ、動かないね」
「うん、でも、来客は多いよ」
「自分が、動きたくないからじゃないかな」
「僕も、そう思う」
2人は、そんな会話をしながら監視を続けた。
一方、エレノアとアンネは、バイクに乗り、森に向かっていた。
森で珍しい魔獣や大型の魔獣を狩り、それを皮と身に分けて商人の所や
貴族の屋敷に持って行き、話を聞く作戦に出ていた。
「バイクの後ろは私の物」
「アンネ、しっかり狩ってよね」
「わかってる、大物狩る!」
「でも、数が取れないわね」
「大丈夫、アーロンに借りて来た」
アンネは、そう言ってエレノアに指輪を見せた。
「それ、アイテムボックス!」
「うん、借りた」
「よく貸してくれたわね」
「うん、2人が、寝る時にずっと部屋の入り口に立ってお願いしていた」
「あんた・・・2度とそんな事しちゃ駄目よ・・・」
「わかった、もうしない」
その後、2人は、森へ行き、見つける魔獣や獣を狩りまくった。
それから数日間の間、4人が、それぞれの調査で結果をだした。
そして、約束の6日目、クラスは、アーロンとイリスと3人で
ニルス クロード子爵の屋敷に向かった。
屋敷に着くと、ニルスとフィオが待っていた。
「クラスさん、ようこそお越し下さいました」
「ニルスさん、この度は無理を言って申し訳ございません」
「お気になさらず、それよりも待ち合わせの方は、既にお見えになっておられます」
「わかりました」
クラスは、ニルスに促され、屋敷の応接室に向かった。
応接室に入ると、ムシロ トムソンと1組の夫婦が座っていた。
「お待たせ致しました、私が、クラス マルセフです」
「よく来てくださいました、ご紹介いたします。
チャールズ ライナー子爵様とその奥方のドーラ ライナー様です」
「私が、チャールズ ライナーだ。
この度は、私の我儘を聞いてくれて感謝する。
それにしても、貴方は、アイツによく似ているな」
「いえいえ、貴方、目元はあの子に似ていますわよ」
「そうかも知れんな」
そんな会話を聞きながら、クラスは笑いを必死に堪えていた。
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