とある貴族の罠
前回の依頼から、1ヵ月程経ったある日、屋敷に招待状が届いた。
招待状は、クロード家からで、是非に出席して欲しいとの事だったので
何時も色々な方のパーティーに出ているクラスは、出席すると伝えた。
そして、パーティー当日、少し早い時間に屋敷の前に1台の馬車が止まり
御者が挨拶に来て、屋敷のメイドに伝えた。
「本日は、旦那様からお迎えに伺うように言われましたので参りました」
「わかりました、こちらへどうぞ」
そう言うと、メイドは庭のテーブルセットに御者を案内をし、お茶を出した。
「お嬢様の準備にはまだ時間が掛かりますので、その間はこちらでお待ちください」
「はい」
御者の男は、軽く頭を下げた。
屋敷に戻ったメイドは、クラスの部屋に向かった。
メイドは、ノックもせずに部屋に入り、クラスを起こした。
「クラス!お迎えが来てるよ」
「う~ん・・・・」
「起きてよ!」
クラスは、ボ~としながらも目を薄っすらと開けた。
「エレノア・・・おはよう・・」
「おはようじゃないわよ!
今、何時だと思っているの?」
「昨日は、朝まで仕事していたのよ・・・」
「あなた、パーティーの前日は、早く寝なさいって言っているでしょ!・・・もう・・」
「ごめんなさい・・・なんか、気になっちゃって・・」
「いいから、早く起きて、シャワーを浴びて来て、後はやっておくから」
「エレノア、いつも有難う、大好き!」
「あなた、段々、アンネに似て来たわよ」
エレノアは、クラスを起こした後、ドレスの準備を始めた。
そして、ドレスやアクセサリーを並べて待っていると、
アンネとクラスが、2人揃ってエレノアの元にやって来た。
「なんで、アンネまで髪が濡れているの?」
「クラスと一緒に入ったから」
「・・・・・・」
「エレノア、怖い顔してどうしたの?」
「アンネ、クラスは迎えが来て急いでいるの、だから大人しくしていて」
「わかった・・・エレノア、私の服は?」
「あーーーーもうっ!自分で探しなさい!!」
「はーい!」
その光景を見ていたクラスは、着替えをしながら笑っていた。
「エレノアとアンネは、本当に仲がいいのね」
「あの子が、甘えてくるの!」
「友達というよりは・・・・・お母さん?」
「せめて、姉と言ってよ・・・・・」
クラスは、エレノアに手伝って貰い着替えを終えた。
「忘れ物は無い?武器は持ってる?」
「大丈夫、ちゃんと持っているわよ」
クラスは、スカートを捲り、銃を見せた。
「最近、訓練も厳しくなっているけど体は大丈夫なの?」
「うん、平気、自分の身は自分で守らないとね」
「わかった、でも無理はしないでね」
「有難う、アーロンもイリスもいるから大丈夫だよ」
クラスは、エレノアと一緒に屋敷の玄関に向かうと、
途中で、アーロンとイリスに出会った。
「エレノア、お願いだからアンネを下着姿で屋敷内を走り回らせないで欲しいな」
「え!」
「おかげで、とんだとばっちりを受けたよ」
「見なきゃいいじゃない!」
「そう言う事ですか・・・」
アーロンに対して不機嫌そうなイリスを見て、エレノアは納得した。
「ところで、アンネは?」
「エーリカとエイダの所に行ったよ」
「なら、安心ね」
「最近、よく一緒にいるよね」
「あの子、誰とでも仲良くなるから」
「そう言えば、そうだね」
そんな会話をしながら玄関に着くと、態度と表情を切り替えた。
「行きますか」
「はい」
クラスの返事でドアを開け、屋敷の外に出た。
アーロンがドアを開け、クラスが姿を現すと、御者の男は立ち上がり一礼をした。
そこに、メイドのエレノアが近づき、御者に伝えた。
「お嬢様の準備が整いましたので、宜しくお願いします」
「はい、かしこまりました」
御者が馬車に乗ると、アーロンが扉を開き、クラスの手を取って馬車に乗せ、
その後に、イリス、アーロンの順に乗り込むと、エレノアが御者に合図を送った。
「行ってらっしゃいませ」
エレノアが、馬車に軽くお辞儀をすると、馬車が進み、クロード邸に向かった。
クラスが、クロード邸に到着すると、玄関でフィオとニルスが出迎えていた。
馬車が止まり、アーロンのエスコートでクラスが降りて来ると、フィオとニルスが
近づいて来た。
「この度は、私共のパーティーにお越し頂き有難う御座います」
「こちらこそ、呼んで頂いて光栄ですわ」
「では、こちらに」
ニルスが腕を差し出してきたので、クラスは、エスコートを任せる事にした。
そして、会場に入ると多くの視線を受け、クラスは一礼をした。
「当主、自らエスコートとは・・・」
「ほう、最近、色々な所で見かける娘だな」
クラスは、ねちっこい視線を受け、とても嫌な空気を感じた。
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