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2日間、寝ずに走り続けたおかげで、最速で王都に到着した。

王都に着くと、そのままギルドに行き、ギルマスの部屋の扉を叩いた。


「ギルマス、いるか?」


「アーロンか、依頼の件はどうだった」


「ああ、最悪の報告をしてやる。

 ワイバーンの異常発生が確認できた。

 それと、鳥族の村が襲われ、大半が死亡した」


「なに!!」


「事実だ!それとワイバーンから逃げた魔物達が、山から下りて来ているので

 今迄の魔物の分布図も役に立たなくなっている」


「そうか」


ギルマスは、アーロンの話を聞きながら、メモを取り、直ぐに王へ報告できるようにしていた。


「それと、山に餌がとなる魔物がいなくなると街を襲う可能性が出て来るぞ」


「!!」


「報告は以上だ」


「わかった。

 十分な報告だ、俺はこれから忙しくなるが、お前たちはゆっくり休んでくれ」


「助かる、ここ数日間寝ないで走って来たからな」


「だろうな、お前はともかく、イリスの目の下にも隈が出来てるぜ」


イリスは、思わず顔を隠した。


「まぁ、帰って寝て、疲れを取るよ」


「ああ、それでいい。此処からの仕事は、冒険者と王国部隊の仕事だからな」


「うちの部隊は出ないのか?」


「1チーム位は呼ばれるかもな、後は、貴族の個人的な依頼になるだろうよ」


「そうか・・・まぁ、俺達は帰って寝るよ、じゃあな」


「ああ、おつかれ」


アーロンとイリスは、ギルドを出ると、そのまま家に戻った。


「ふぅ、疲れたな・・・」


アーロンは、そのままベッドに横になろうとしたが、イリスに止められた。


「ちょっと待ってよ、シャワー位浴びなよ」


イリスは、アーロンの手を引き、2人でシャワーを浴びた。

その後、お互いの体を風魔法で乾かしてからベッドに入った。


「イリス、お疲れ様」


アーロンは、イリスを優しく抱きしめた。


「アーロンもお疲れ様」


イリスもアーロンを抱きしめ返した。

そして、2人はそのまま寝てしまった。



その後、ギルマスの報告により、王都では、大規模な盗伐隊が編成された。

それに、冒険者ギルドでも、上位ランクの冒険者達が指名依頼を出され、

先発隊として、魔物の森の奥にあるワイバーンの住処に向かった。


冒険者ギルドからの先発隊の数は、12チーム78人。

Aランクの冒険者を中心にBランクとSランクの冒険者達がいた。

特に、Sランク冒険者チーム”赤き風”と”激流”の2組は、ずば抜けた戦力を持っていた。


「よう、あんた激流のスカーレットだろ、噂はきいているよ」


「赤き風のオスカル様が何の用かしら」


「今回の先発隊のリーダーとしての挨拶だ、宜しく頼む」


「そう言う事ね、こちらも宜しくね」


「ああ、それにしてもギルドも頑張ったな、

 よくもまあ、これだけの上位ランクを集めたもんだ」


「そうね、相手がワイバーンというのもあると思うけど

 国王からの依頼という事が大きいと思うわ」


「だろうな、まぁ、こちらとしては有難いがな」


「うふふ、国王の騎士団が来る前に終わるかもね」


「そうありたいな」


その後も奥に向かって進んで行った。


「そろそろですわよ」


「ああ」


話をしていると目の前にワイバーンの住処といわれる山が見えて来た。


「おい!あれは・・・・・」


「凄いわね・・・」


山の周りに黒い雲が掛かっていると思っていたが

よく見ると、それはワイバーンの群れだった。


山に近づくにつれてその数の多さに驚きを隠せなかった。


皆が、上空のワイバーンの群れに気を取られていて後ろから近づく魔物に気付かなかった。


「ぎゃぁぁぁ」


突然の叫び声に振り向くと、アシッドスネークに噛みつかれ、飲み込まれかけた男がいた。

その大声に反応してワイバーンの群れも一斉に襲い掛かってきた。


「グワァァ!」


オスカルは、全員に指示を出した。


「全員、陣形を崩すな!魔法の使える者は、ワイバーンを狙え、

 その他の者は、周囲を警戒!」


冒険者達が周囲を警戒する中、ワイバーンの住処の方向から雪崩の様な音が響いた。

そして、その音は、冒険者の方へ段々と近づいて行きその音の正体が魔物達の

逃げ惑う足音とだと分かった。


「魔物がきたぞ!!」


「全員、散開!」


オスカルの指示に、殆んどのチームが反応したが

Bランクの冒険者達は反応が遅れ、魔物の群れに飲み込まれた。


「うわぁぁぁぁぁぁ!」


「ひぃぃぃ!」


叫び声が響いたが、その声は、魔物の足音でかき消されたと同時に彼らの命も消えた。


「全員、各チーム毎での行動を開始してくれ」


オスカルは、指示を出した後、仲間と合流し、攻撃を始めた。


「クララ、オリビエ、上空のワイバーンを頼む」


「わかった」


「了解」


2人は、ワイバーンを攻撃した。

その時、別方向からもワイバーンに向かって魔法が放たれた。


「アイスランス」


「ファイヤーアロー」


オスカルが攻撃の放たれた方向を見るとスカーレット達が追従してくれていたのだ。


「スカーレット!」


「はいはい、攻撃に集中しましょう」


「了解した」


オスカルのチームとスカーレットのチームが合流し、混成チームでワイバーン達を倒す中、

他のチームもそれぞれ組んでワイバーンの討伐を始めた。


数時間が経ち、日が沈みだした頃にワイバーンの攻撃が止み、

巣の中に戻って行った。


そのおかげで残された冒険者達は、ようやく休憩を取る事が出来た。



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