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フィオは、ニルスから、話を聞き、自分の思っていた以上に危機にある事を知った。
「お父様、爵位を失うとは本当ですか?」
「ああ、最悪そうなるそうだ」
下を向きながら話す父、下を向いたまま動かない母、全てがこの事を物語っていた。
「お父様、誰かお力になって下さる方はいませんか?」
「フィオ、もう誰も我が家には、関わりたくは無いだろう、
それに、そのような事が出来る者など・・・・・」
父の言葉を聞き、フィオは決断をした。
「お父様、力になってくれそうな方に心当たりがあります」
フィオの言葉に、両親は顔をあげた。
「フィオ、そんな人物が本当にいるのか?」
「はい、ただこの事は、家族以外は秘密だと念を押されていますので
この先の話を聞くかは、お父様次第です」
ニルスは、実際に今回の事を企てているのはドイル家だと分かっているが、
それに、反抗するだけの力も人脈も無い事も承知していた。
その為、悪評を流されたり、娘の婚約を潰され、爵位を奪われそうになっても
何も、出来なかった事を悔やんでいた。
そこに、フィオが持って来たこの話に乗らなければ、我が家が終わる事も分かっていた。
「フィオ、その方は信用出来るのか?」
「先の話を聞くなら、信用するしかないと私は思っています」
「あなた・・・」
ニルスは、パトリシアと目を合わせると、パトリシアは頷いた。
「フィオ、聞かせてくれないか」
「はい、最近知り合ったお方で、クラス マルセフという方がいます。
その方は、理由を探り、相手に仕返しを出来る人を知っていると言っていました。
ただ、それなりに高額なので、しっかりと話し合って欲しいとの事でした」
そう言って、フィオは、テーブルの上に地図を書いた紙を置いた。
「それは?」
「ご自宅までの地図だそうです」
「フィオ、我が家の事を話したのか」
「はい、申し訳ありません」
「そうか・・・・」
ニルスは、我が家の事情を知った上での取引なら、本当に助けて貰えるかもと思った。
「それで、高額とは幾ら位なのだ?」
「私にもわかりません」
その時、パトリシアが口を挟んできた。
「あなた、金額なんて幾らでも構いませんわ、言われた金額に足りなければ
ドレスでも、宝石でも持っている物全てを売り払う覚悟はあります」
「パトリシア・・・」
「お母様、私も売れる物は売ります」
その言葉を、聞いてニルスは決意を固めた。
「明日、この場所に行こうと思う」
「貴方、私も同伴させて下さい」
「私が、行かないと紹介できませんから同伴致しますわ」
「わかった、ナタリアの事は、メイドに任せて皆で行こう」
その後、ニルス達は、手元にあるお金と宝石などを集めて明日の準備をした。
翌日、ニルス達は、馬車で地図にある屋敷向かった。
地図に従い、屋敷に近づくと一際豪華な屋敷が目の中に飛び込んで来た。
「フィオ、あの屋敷なのか?」
「来た事は無いので・・・・」
「でも、示された屋敷は、ここで間違い無いようだ」
ニルス達は、屋敷の入り口に馬車を付けると、屋敷の中からメイドが現れた。
「失礼ですが、どちら様でいらっしゃいますか?」
ニルスは前に出て答えた。
「私は、ニルス クロード子爵だ、先日のパーティーで
我が娘、フィオから話を聞いて伺った次第だ」
「少々、お待ちください」
そう言って、メイドは屋敷の中に姿を消した。
そして、直ぐに若い執事が現れた。
「お待たせいたしました、どうぞこちらへ」
執事の案内に従い屋敷の中を歩いて行くと、周りに飾られた調度品の
豪華さに驚かされていた。
「これは、見事な物ですね」
「はい、全てお嬢様の趣味で御座います」
ニルスは、それを聞いてどんな人物が出て来るのかと身構えた。
応接室に案内され、辺りを見渡すと、
落ち着いた雰囲気の中にも華やかさのある調度品と部屋の作りになっていて、再び驚かされていた。
「これは・・・・」
「只今、当主がお見えになりますので暫くお待ちください」
執事は、一礼をして出て行った。
それから間もなく、扉がノックっされてクラスが姿を現した。
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