王家の判断
竜の巣に侵攻していたフローランド王国とコール王国の混成軍は
竜の襲撃の一報を受けて、急いで戻っていった。
それから半年後、コール王国で生き残っていた民たちは、
フローランド王国に仕事と食糧を求めて山脈を抜けて来ていた。
だが、生き残っいた者達が増えるに連れて、フローランド王国にも食料が無くなり始めていた。
そして、1年が経った頃には、食料危機に陥り、王都の情勢は不安定になり、
野盗や人攫いが増えていった。
だが、冒険者ギルドは、野盗討伐に乗り出し、次々と屠っていった。
その為、野盗にならず、新しくギルドを立ち上げる者達が現れた。
そして、新しく5つのギルドが立ち上がり、その殆んどが前回の竜討伐のおかげで
生き残った者達で結成されていた。
5つのギルドは、それぞれに特色を持ち、連盟を結成したのだった。
新しく出来たギルド連盟は、自分達が元コール王国の兵士である事を告げ、王への謁見を求めた。
王への謁見が叶うと、そこに代表者として現れたのは、ゲオルだった。
「この度は、陛下に拝謁をお許し頂き有難う御座います。
私達は、コール王国の騎士団でしたが、国が滅び、新しい君主を探しておりました。
そこで、この国でギルドを立ち上げ、陛下のお役に立ちたいと考えています」
「わかった、この国の為になる事を期待しておるぞ」
「有難う御座います。
私達は、まず手始めに、この国に蔓延る裏の者達を討伐して見せましょう」
「ほう、裏の者というのは」
「はい、悪の組織、闇ギルドで御座います」
謁見の間で、悪の組織と言われた闇ギルドを庇うことの出来ない王は決断を迫られたが、
元騎士団長という肩書もあって、最終的に王は、闇ギルドを切り捨てた。
「そうか、成果を期待しておるぞ」
「はっ、必ずやご期待に添えさせて頂きます」
そして、新ギルド連盟は、国の認可を得た事になったが、闇ギルドは討伐対象になった。
翌日、この事を聞いたクラリスは、アーロン達に連絡を取ろうとしたが
第1王子のサイモンと第2王子のジェイクに止められた。
「クラリス、何処に行こうというのだ」
「私は、恩を仇で返す事は出来ません。
ですから、アーロン達の元に行き、謝罪致しますわ」
「父上の決めた事だ、それを私達が裏切ってどうするのだ!」
「そうだ、お前の勝手な行動が俺達にも被害をもたらす事を考えろ」
「それは、余りにも勝手だと思います」
「だが、父上がお決めになったんだ、俺達はそれに従う義務があるのだぞ」
「そんな・・・」
「もういい、お前は、部屋にいて頭を冷やせ!」
クラリスは、兄弟によって部屋に閉じ込められた。
その頃、闇ギルドでは、全員が集合していた。
「冒険者ギルドのギルマスから連絡が入った。
それは、俺達の手配書が、出回ったとの事だ」
「それは、どういう事?」
「新しくギルド連盟が設立されたのだが、そのギルド連盟の初任務が闇ギルドの討伐だという事だ」
「王は、その事を知っているのか」
「ああ、知っている。
この命令を最終的に決定したのは、王だ」
メンバー全員が黙ってしまった。
「なぁ、ギルマス、俺達は捨てられたという事か」
ギルマスは、重くなった口を開いた。
「すまんが、その通りだ」
「わかった・・・」
皆が、沈黙し、重い空気の中、再びギルマスが口を開いた。
「今後の事だが、このギルドは解散する。
もう、どうにもならん事だ、覚悟を決めてくれ」
その言葉に、ケリーが答えた。
「わかった、ギルドを解散し、それぞれに生きよう」
「そこで、これまで貯めていた運転資金を均等に分けようと思う」
そう言うと、ギルマスは、奥の金庫から袋を取り出し皆の前に置いた。
「此処に、金貨500枚ある、これを1チーム60枚ずつ配る。
勿論、俺と職員で1チームと考える。
残りを養成所に今後の生活費と渡す」
そう言うと、職員と一緒に皆に配った。
全員に金貨が行き渡った事を確認するとギルマスが聞いて来た。
「次に、車の事だ、これは勝手に決めさせて貰ったが
金貨240枚で譲る事にした。希望者が多かった場合は、じゃんけんだ」
そう言って希望者がいるか聞いたら、イヴとポールとギルマスの3人だった。
3人は、じゃんけんで決める事になり、殺気の籠ったじゃんけんで勝ったのはギルマスだった。
ギルマスは、40枚を引き、各チームに40枚ずつ配った。
そして、ギルドは、解散した。
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